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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 美術鑑賞 > クルックシャンク展に行きました
クルックシャンク展
五月二十六日日曜日、伊丹市立美術館で開催されていた、クルックシャンク展に行きました。
こんにちは、和美です。
方向音痴で迷いました。
そんな美術館の鑑賞記事です。

【目次】

  1. 伊丹市立美術館
  2. クルックシャンク展の感想
  3. 同時開催:1. 講座のセンセイ
  4. 同時開催:2. 柿衛文庫

1. 伊丹市立美術館

伊丹市立美術館
伊丹市立美術館は、名前の通り大阪府伊丹市にあります。
伊丹市は空港に一度行った事がある程度で、美術館は今回が初めてです。
特別展はどこかでチラシをもらってきて、興味が沸いて時間があったので行きました。
最終日でしたが、行って良かったです。

柿衛かきもり文庫、伊丹郷町館、
伊丹市工芸センターと共に、古いんだか新しいんだかよく分からない、みやのまえ文化の郷という白い漆喰の建物の中にあります。
JR伊丹駅から徒歩六分との事なのですが、駅から妙に遠い割に案内もなく、十分ほど迷ってしまった気がします。
伊丹市立美術館の庭園

2. クルックシャンク展の感想

ジョージ・クルックシャンクは、この特別展で初めて知った風刺画家です。
十九世紀のイギリスで活躍した人ですが、『 不思議の国のアリス 』 の挿絵で有名なジョン・テニエルも描いていた有名な風刺雑誌 『 バンチ 』 には一度も呼ばれていません。

作品は基本的に白黒で線画のみの版画ですが、着色された作品も多かった気がします。
和美は白黒の作品が苦手なのですが、風刺画のためか一枚ずつに解説があり、思った以上に楽しめました。
所蔵品展の割に数が膨大な上、外が暑くて冷房が強く、後半は少し疲れてしまいましたが ……。
一つ目の展示室の最後にあった「ちょっと疲れたよ」「展示室外のベンチで休憩すると良いよ」という会話のおまけに少し救われました。

まず面白かったのが、時代と共に変化していく流行の服を描いたシリーズ。
和美も絵の参考にファッション雑誌は見るのですが、全くその発想がなかったので羨ましいです。
風刺画は社会情勢を斜めに構えて見る癖が必要だと思っているので難しいですね。
男女共に太っているのに、服の流行では女性はどんどん体の線を隠すように分厚くなっていき、男性は身体の線を強調するという逆の方向に進んで行ったのが面白かったです。
ドレスの下にクッションや骨組みなどを入れてお尻の形を強調するバッスルに、背負った子供を載せている絵がありました。
実際にやった人がいたら面白いですね。

『 風刺画 』 という割には細かく台詞が入っていて、手書きの英語は読めないので解説に書いてある翻訳だけ読んだのですが。
文字がものすごく多くて、当時の人達はちゃんと読んだのか、それとも流し読みだったのかが気になりました。

クルックシャンク自身もお酒が好きだったらしいのですが、妻が病気になった事をきっかけに、父親も尊敬する画家もお酒で身を持ち崩しているという理由で、愛飲家から断酒だけではなく、過激な禁酒派にまで転向したのはすごいなと思いました。

酒が人間をダメにするんじゃない。人間はもともとダメだということを教えてくれるものだ。
という立川 談志の言葉を思い出します。

クルックシャンクのオリジナル作品として、お酒で人生を破滅させた人達の作品が二つありました。
一つ目は ≪ 酒瓶 ≫
元々子供が三人いて、猫を飼うほど裕福な家庭だったのに、主人公の男がお酒に溺れたところから始まる話です。
男は酒に溺れたため無職になり、服を売り払って酒代に変え、借金のかたに家財道具を取られ、幼い末の妹が死に、お金がなくなったために妻を殺して、男は精神病院に入ります。
最終場面では、娼婦になった娘と放蕩した息子が精神病院の父親を見に来るのですが。
「 母親を殺した父親でも会いに行くんだなぁ 」 と思ってしまいました。

二つ目は親に捨てられた姉弟が、治安の悪い溜まり場のような酒場に行ったところから始まります。
( 解説によると、悪の温床であるジン酒場との事 )
姉は娼婦として売られ、弟は放蕩の果てに強盗で捕まり、流罪になった島に行く途中の船で息を引き取ります。
という話の流れが絵の横に貼られた解説に書いてあるので、解説を読んでから絵を見ていたのですが。
「 姉が夜の橋から投身自殺するこの最終場面は、十九世紀の名作版画の一つ 」 という評価も一緒に書いてあるので、先入観を持ってしまって困りました ……。
  • 袖の部分が破れたままのためお金がないと分かる。
  • 画面の右隅にいる橋の上のカップルが飛び降りに気づいて驚き、止めようとしているが間に合わない。
  • 姉は飛び降りる恐怖を和らげるためか、目を隠している。
  • 狂乱を示唆する満月
  • 橋のアーチは運命の車輪のよう
という細かい点は、作品を見てから知りたかったです。
橋の上のカップルは、間に合わない悲劇を強調するために存在しているのでしょうね、と漫画 『 ベルサイユのばら 』 の解説を思い出しました。

過去に行った 『 怖い絵 』 展でポスター絵にもなっていてすごく綺麗だった、八日間で廃位されたケリー王女の話も一枚だけあったので、もっと詳しく知りたかったです。
夏目漱石の短編小説 ≪ 倫敦ロンドン塔 ≫ の元になった、≪ ロンドン塔 ≫ で、ケリー王女の生涯を軸にした歴史小説だそうです。

スケッチ画集も色々あったのですが、そのうちの一枚に、「 当館に所蔵していない一枚とセットになった作品 」 と解説があって驚きました。
繋がった作品なのにバラバラに売ってしまったのでしょうか ……。

冒頭に書いた通り、序章によると館蔵品展の割に図録が出ていて驚きました。
絵葉書がないのは残念でしたが、図録があるので満足です。

3. 同時開催:1. 講座のセンセイ

美術館と続くミュージアムショップを出た場所にある他の展示会場で、『 講座のセンセイ達 』 展という特別展が無料で開催されていまして。
入り口から着物が飾られているのが見えたので、ついでに寄りました。
市民講座で機織りや手織りなどを教えている講師の先生達が作った作品を展示する特別展です。

和美は大阪市民なので伊丹市に通うのは難しいですが、通える範囲なら開講されている講座も分かり、先生の実力も知れるので良いですね。
チラシはあったものの、無料特別展なので図録と出品目録はありません。
他の特別展で出されたのか、表紙がお猪口の写真になっている図録に心惹かれましたが、我慢しました ……。
行っていない特別展の図録はなるべく買わないように心掛けています。

4. 同時開催:2. 柿衛文庫

柿衛さん
美術館と共に柿衛かきもり文庫という一部屋だけの小さい展示室があり、共通入場券を買ったので見ました。
柿衛かきもりさん 』 と愛称をつけられた由来については紹介がありましたが、展示室の名前になっている柿衛文庫や、柿衛さんが何をした人なのかは分からず。

今回の特別展は、柿衛さんの中学時代の絵や文書など。
古書店から話を聞いて紹介された、個人蒐集家の人の全面協力で特別展を開催したそうです。
柿衛さんが何をして名前を残した人かが分からないのですが、お世辞にも上手いとは言えない作文や、平均的な小学生の画力の絵を買い集めていた個人蒐集家の人の熱意に感心しました。
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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