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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 二十三
文化祭の出店内容を決める、ホームルーム。
俺らのクラスは非常にいい加減というか適当というか、非常にマイペースな雰囲気だ。
こういう事項になると、特にその雰囲気は顕著になる。
「どーすんだよもう……」
黒板を背にし、俺はコンコンとチョークで黒板を叩いた。
「えー、別に何でも良いよ」
「てか適当に決めてよ」
教室のあちこちからいい加減な言葉が聞こえる。
「ちょ……お前らなぁ……」
ちなみに俺が進行役を務めているのは、四月に文化祭実行委員に任命されてしまったからである。
もちろん俺が立候補した訳じゃない。
「ったくもー……」
グチグチ言いながら、俺も妙案がある訳じゃない。
結局俺も、このクラスの一員なのである。
先日……五月末に行われた体育祭の時は、出場種目が決まっていたからくじ引きにしたのだけれど。
文化祭は何もない状態から決めるのだ。同じ手は使えない。
「あー、近隣のクラスはもう喫茶店とか何とか決まってるらしいけど」
「別に出店内容が多少重なっても良いらしいです」
俺は先週の文化祭準備会議で言われた事を、再度繰り返す。
「何かやりたい事……マジでない?」
ホームルームが始まって早くも十分が経とうとしている。
俺はすでに諦めかけながらも、一応聞いてみる。
うーん、ほんとそろそろヤバイんだろうけどなぁ。
コンコンと教室の扉が鳴らされる。
「はいー?」
「えーと、どう?」
俺が返事すると、入ってきたのは一つ離れた隣の組の文化祭実行委員だった。
「どーもこーも相変わらず」
俺があきれ返ったような返事を出すと、そいつはほっとしたような顔をした。
「うちのクラスさぁ、部活やってる奴が多くて、売り子とか足りなくなりそうなんだよ」
「そんで、うちと共同出店て形取れないかなーって思ったんだけど」
「はぁ……」
まさか他のクラスと合同出店とか。
そんな話が浮上してくるなんて思わなかった俺は、呆気に取られるしかない。
「え、それで良くね」
一人が声を上げた。
静まった中では、その呟きも、随分大きく聞こえた。
それに呼応するかのように、賛同の声が上がる。
「決まりで良いじゃん」
「おーけってーい」
「ちょ、お前ら……」
一気に賛成に傾くクラス内を制し、俺は実行委員に確認する。
「えーと、普通の喫茶店?」
「一応甘味処って名乗ってるけどまぁ喫茶店だわな」
「出すのはティーバックの紅茶とインスタントのコーヒーに、あと一部女子が作る焼き菓子」
これはメンバー決まってるよ。と言い添えられる。
「要するに表で客にお茶出す人がいない訳」
「りょーかい」
言いながら、俺は未使用だった黒板に概要をまとめていく。
「はい、これで良い?反対意見ないなら決まり」
教室の中が静まる。
ていうか、これで決まりみたいな顔で帰る準備を始めるな。
「じゃあ決まりな」
「えーとじゃあA組のことよろしくお願いします」
実行委員が頭を下げる。
「おー、どう?」
扉を開けてひょっこり顔を出したのは、共同出店が決まったA組の、ムードメーカーとでも呼ぶべき人。
「決まったー」
実行委員が軽く返事をする。
「よし、じゃあ三本締めしてこうぜ」
……は?
「三本締め。決まったら三回手打つんだよ。知らない?」
「……いや、それは知って「じゃあやろうぜ。さーんはい」
クラス全員で三度打った手の音は、少し離れたA組まで届いたそうだ。
完。

近隣・賛成・三本締めでした。
あ、久々にまともに書きやすそうw と思ったんだけど……ううん、すんなり話が進みすぎる気がして断念><
このやる気のなさは某所チームですww(えええ
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書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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