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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 四十四
夢を見た。
とても、リアルな夢だった。

槍のような、薙刀のような刃物を手にした、多分二十歳前後だろう、男だ。
精悍な顔つきで、中々格好良い。
場所は……どこだろうか。
砂埃が舞い上がるから荒野かと思っていたら、閑散とした場所にある、お城の前だった。

お城と言っても、日本の白鷺城やら大阪城ではない。
装飾が施された低い塀。
中に見えるのは、赤い屋根瓦を戴いた、豪勢な平屋。
……なぜお城だと判断したのか、疑問に思うほどだ。

中には甲冑を着た男達が、こちらも槍のような何かを持ってうろついている。
男は、数を確かめるように目を動かした。


推定槍を手にした男は、城壁を軽く飛び越えて侵入した。
驚く兵士達を横目に、一目散に駆けていく。

……目指すは、王の寝室。

意外に長く入り組んだ道を、まるで分岐などないかのように進む。
建物の、恐らく中央にほど近い場所に、目的の部屋はあった。

「陛下」
男は、扉を開いて中の男にひざまづき、声を掛けた。
その声は、息一つも乱れていない。

「……誰じゃ、そちは」
動揺した、部屋の男。
推定槍を持った男は、顔を上げると、きっと目を吊り上げた。
「そのお命、頂戴つかまつる」

それから後の展開はよく分からなかった。
ただ、陛下と呼ばれた男を殺した事、そして、男も殺された事は、夥しい血の匂いと共に、覚えている。

「あー……、すげえ夢見た」
秋も半ばだと言うのに、パジャマは汗に塗れている。
手元の携帯で何気なく時間を確認して、気づいた。
「古代琉球王国の謎展、今日だっけ」

それは、近くの美術館で先日から開催されている特別展だ。
この美術館で開催される普段の特別展と言えば、火災予防やら、川の環境を守ろうやら。
要するに対象が小学生の、小さなものばかりだった。

それが、主催は放送協会、後援に文化庁というレベル。
刺激の少ない田舎でのビッグイベントというもの珍しさから、高校の友人達で行こう、という話になったのだ。

「ああ、あった」
散らかった部屋から宣伝のチラシを発掘する。
裏には、夢の男が持っていた推定槍の写真。
「えーと『げき』?って言うのか」

単独犯の男は、目的を果たしたが間もなく死んだ。
死ぬ時に、彼は何を思ったのだろう。

とりあえず、この『戟』なる武器はちゃんと見てこないとな。

「さ、準備するかー」


完。
夢・戟・単独犯でした。
戟はげきと読んで、矛のような物です。
wikiペではあんまり詳しくなかったので、(しかも別サイトの丸写し?)何となく、で話を済ませてみました。
あ、古代中国の武器なので、沖縄には多分ありません。(ぇっ
夢と現実が入れ替わる系?を目指したのですが、途中で諦めましたw
このお題、何日放置したんだか。
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プロフィール
書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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