忍者ブログ
気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
[3190]  [3189]  [3188]  [3187]  [3186]  [3185]  [3184]  [3183]  [3182]  [3181]  [3179
ざっくざく > 文章 > 三題噺 五十!
俺は太陽系防衛隊の広報官。
と言っても去年の夏の臨時募集で入った、まだ半年のぺーぺーだけれども。

太陽系防衛隊、任務の内容は一応は宇宙、太陽系の監視活動なんだけれど……。
望遠鏡でひたすら空を眺め続けるそれを初めて見た時、新星でも探しているのかと内心思ってしまった事がある。
……実際、新星や新彗星の発見例は近年、太陽系防衛隊がほとんどを占めているらしい。

ちなみにそれは『現場』のオシゴト。
広報部に所属する俺は、防衛館という博物館の見回りや説明、そこで配布されるチラシや販売される冊子の編集をやっている。

個人的には冊子作りが一番楽だった。
膨大な資料を読みつつ、それを対象年齢毎に分かりやすく解説する。
好き嫌いが分かれるらしいが、活字もデスクワークも不得意ではない俺には割と合っていた。

「よ、今から昼メシ?」
「おう。オムライスにしてみた」
肩を叩かれて、俺はプラスチックの食券を見せながら答える。
後ろから声を掛けてきたのは、同じ夏の臨時採用で入った現場の友人だ。
ちなみに、全寮制となる一ヶ月の研修期間中に同じ部屋で共同生活を送ったのもこいつだ。

「なぁ、春の隊員旅行の告知、見た?」
「え?ああ、もう出てるんだ。まだ見てねーや」
隊員旅行は毎年春、五月のゴールデンウィーク前後に三日間の日程で行われる。
その中で行われる抽選会で、更に三日程度の豪華旅行があるのだ。
去年はハワイ、一昨年はラスベガス。
ラスベガスの時は、カジノで一億ほど勝ってそのまま退役した人がいるという噂だ。

「抽選、宇宙旅行日帰りパックだってさ」
「は?」
ちょっと待て。
宇宙旅行?日帰り?
太陽系防衛隊と名乗っているからといって、そんなにしょっちゅう宇宙に行ける訳じゃない。
一定以上の立場で、なおかつ勤続年数が十年だか何だかで、その上筆記と実技の試験があって、更にめんどくさい機械関係の資格を三つぐらい持っている事が最低条件。
もちろん健康診断と体力検査と精神検査は言うに及ばず。
……要は一般人と同じく、憧れてはいるものの、手の届かない存在な訳で。

それが例え日帰りでも、行ってみたい。

「エントリー、する?」
「もちろん!」
友人の問いに、俺は即答した。
ああ、もちろん抽選会はエントリー式だ。
行きたくない人がいるのかどうかは知らないが、行きたいと思う人だけが参加する仕組み。


どんな旅行だろう。
宇宙ってどんなところだろう。
っていうか日帰りってどういう事なんだろう。

疑問と期待で、俺はどきどきしていた。

完。
広報官、宇宙旅行日帰りパック、共同生活でした。
自衛隊の広報官って何やってらっしゃるんだろう←
豪華旅行の元ネタは「みらい工業」からです。
社員旅行のエジプトで出されるクイズに全問正解すると一年間の休暇、だったかな。
夏季・冬季休みが長い事で有名だそうです。

四十九のログ取り損ねました……。
「と」だけ覚えているのですが。
PR
【 この記事へコメント 】
名前
コメントタイトル
URL
本文
削除用パスワード
累計アクセス数
アクセスカウンター
レコメンド
プロフィール
書いている人:七海 和美
紹介:
更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
忍者ブログ [PR]