気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ずるり、ひょこ。ずるり、ひょこ。
片足を引き摺るような音が、後ろから迫る。
俺は、人ならざるモノが見える、体質だ。
何年か前に死んだ姉貴も、同じ血だった。
片足を引き摺るのは、足を亡くしたということ。
そして、死んでからまだそんなに経っていない。
そう、姉貴は教えてくれた。
姉貴の月命日のために、お供えに好物だった明太子を買った帰り。
これも何かの因果だろうか。
姉貴は言った。
足に限らず、命が尽きた時に身体の一部を亡くすと、そこに低級霊が絡みつくのだそうだ。
僅かながら魂が流れ出る場所に張り付き、魂を食って自らを成就させようとするらしい。
だが、霊になってからある程度の期間が過ぎると、彼らも自力で低級霊を祓えるそうだ。
そのある程度、という大雑把な期間は、人によって異なるらしいが。
もちろん、その取り憑かれている期間は、短ければ短いほどいい。
姉貴は言った。
あんたも見える立場にいるんだから、そういう人を見かけたら助けてあげなさい、と。
情けは人のためらず。いつか自分に還ってくるから。と。
「しゃーねーなー」
俺は、独り言にしては大きな声で溜め息を吐くと、後ろを振り返った。
片足を引き摺っていたのは、男の子だった。
引き摺っている左足よりも先に俺の目に入ってきたのは、顔だった。
右目が、欠けている。
子供の方が祓う力は弱いのに、足と目、低級霊二匹に絡みつかれてはさぞかし辛いだろう。
……足取りが重かったのは、二匹いたからだったのか。
「チビ、遅くなってごめんな」
勝手に大人だろうと推測していた俺は、かがんで子供を抱きしめると、一言謝った。
子供は力なげに、俺の腕の中でふるふると首を振った。
雰囲気から察するに死んでから一週間、いや、もう二週間は経っていそうなのに、まだ力が弱い。
俺は手で右目の、そして左足の低級霊を引き剥がす。
このままでは、多分もう一回絡みつかれるだろう。
俺は、覚悟を決めてもう一度強く子供を抱き締めた。
きょとん、としたあどけない子供の顔。
目を閉じて、額に口づける。
「~~~~~~~~~……」
姉貴の少し後に死んだ、祖父から教えてもらった文言を唱える。
どーでも良いが、これを唱えていると、明太子をツマミにお茶をすする姉貴の顔が思い浮かぶのは。
なんか場違いな気がする……。
唱え終わると、目には眩しい光が灯る。
光は二つに分かれ、子供の右目と、左足に吸い込まれていった。
しかしずっと頭にハテナ浮かべてるなぁ、このチビ……。
「ほら、これでもう怖い思いしなくて良いんだぞ」
「……ふぅん」
肩をぽんぽんと叩くと、子供は納得したようなしないような顔でそう答えた。
「……あのお化け、もう来ない?」
「ああ、来ないよ」
お化けって、お前もある意味お化けだろうが。
俺は胸中そう突っ込みを入れながら、子供の問いかけをできるだけ笑って肯定した。
「ばいばい、お兄ちゃん」
子供は去るべき時を知ったらしい。
くるりと回ると、手を振りながら来た道を帰っていった。
完。
お題は足音・消毒・明太子でした。
えええ、何この組み合わせwww
と最初に思った通り、はちゃめちゃな展開ですね。
ちゃんと使ったの、足音ぐらいな気がする……あわわ。
消毒は毒=低級霊。
明太子はもうオマケ扱いですねorz
てか三題噺で四本書いて、毎回お題の一個が扱い微妙な気がします。
ちゃんと生かしきれるように頑張ろう。
片足を引き摺るような音が、後ろから迫る。
俺は、人ならざるモノが見える、体質だ。
何年か前に死んだ姉貴も、同じ血だった。
片足を引き摺るのは、足を亡くしたということ。
そして、死んでからまだそんなに経っていない。
そう、姉貴は教えてくれた。
姉貴の月命日のために、お供えに好物だった明太子を買った帰り。
これも何かの因果だろうか。
姉貴は言った。
足に限らず、命が尽きた時に身体の一部を亡くすと、そこに低級霊が絡みつくのだそうだ。
僅かながら魂が流れ出る場所に張り付き、魂を食って自らを成就させようとするらしい。
だが、霊になってからある程度の期間が過ぎると、彼らも自力で低級霊を祓えるそうだ。
そのある程度、という大雑把な期間は、人によって異なるらしいが。
もちろん、その取り憑かれている期間は、短ければ短いほどいい。
姉貴は言った。
あんたも見える立場にいるんだから、そういう人を見かけたら助けてあげなさい、と。
情けは人のためらず。いつか自分に還ってくるから。と。
「しゃーねーなー」
俺は、独り言にしては大きな声で溜め息を吐くと、後ろを振り返った。
片足を引き摺っていたのは、男の子だった。
引き摺っている左足よりも先に俺の目に入ってきたのは、顔だった。
右目が、欠けている。
子供の方が祓う力は弱いのに、足と目、低級霊二匹に絡みつかれてはさぞかし辛いだろう。
……足取りが重かったのは、二匹いたからだったのか。
「チビ、遅くなってごめんな」
勝手に大人だろうと推測していた俺は、かがんで子供を抱きしめると、一言謝った。
子供は力なげに、俺の腕の中でふるふると首を振った。
雰囲気から察するに死んでから一週間、いや、もう二週間は経っていそうなのに、まだ力が弱い。
俺は手で右目の、そして左足の低級霊を引き剥がす。
このままでは、多分もう一回絡みつかれるだろう。
俺は、覚悟を決めてもう一度強く子供を抱き締めた。
きょとん、としたあどけない子供の顔。
目を閉じて、額に口づける。
「~~~~~~~~~……」
姉貴の少し後に死んだ、祖父から教えてもらった文言を唱える。
どーでも良いが、これを唱えていると、明太子をツマミにお茶をすする姉貴の顔が思い浮かぶのは。
なんか場違いな気がする……。
唱え終わると、目には眩しい光が灯る。
光は二つに分かれ、子供の右目と、左足に吸い込まれていった。
しかしずっと頭にハテナ浮かべてるなぁ、このチビ……。
「ほら、これでもう怖い思いしなくて良いんだぞ」
「……ふぅん」
肩をぽんぽんと叩くと、子供は納得したようなしないような顔でそう答えた。
「……あのお化け、もう来ない?」
「ああ、来ないよ」
お化けって、お前もある意味お化けだろうが。
俺は胸中そう突っ込みを入れながら、子供の問いかけをできるだけ笑って肯定した。
「ばいばい、お兄ちゃん」
子供は去るべき時を知ったらしい。
くるりと回ると、手を振りながら来た道を帰っていった。
完。
お題は足音・消毒・明太子でした。
えええ、何この組み合わせwww
と最初に思った通り、はちゃめちゃな展開ですね。
ちゃんと使ったの、足音ぐらいな気がする……あわわ。
消毒は毒=低級霊。
明太子はもうオマケ扱いですねorz
てか三題噺で四本書いて、毎回お題の一個が扱い微妙な気がします。
ちゃんと生かしきれるように頑張ろう。
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書いている人:七海 和美
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