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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺
我が家には、謎の置物がある。
そのうちの一つが、今目の前に鎮座している招き猫だ。

招き猫なんて、十軒か二十軒ほどの家庭を探してもらったら一匹ぐらいいるんじゃないのか。

そう思われる人も中にはいるだろう。
けれど。
こいつはただの招き猫ではない。

小判を持った猫の背中に張り付いた尻尾。
尻尾の付け根の直下から伸びる、黒い紐。
そう、この招き猫は電気で動くのだ。

しかも招き猫のくせに、動くのはお金を招く手じゃない。
一定間隔を空けて、ぱちくり、ぱちくりと目を瞬かせるのだ。
悠々と道路に寝そべる猫について、詳しい知識を持っている訳ではない。
けれど。
一般的に、猫というのは瞬きをする生き物なのだろうか。

この謎の電動招き猫、動くところがもう一つある。
動く、と呼んで良いのかどうかは分からないけれど。
「にゃごーん」と、口を閉じたまま鳴く。
こちらは今のところ、気まぐれに。


さて、これが語り手である自分の手元にある理由に入ろうか。

母親が物置を片付けていたら出てきたそうだ。
彼女は昨日から物置の片付けに精を出していた。
いわく、夏になると物置の中は涼しく、快適なのだそうだ。

出てきた招き猫は、もう二十年ほど前になる、両親の結婚祝いにもらった、らしい。
らしい、というのは、置いてある場所から推測されるというだけであって受取人である両親の記憶にも残っていないそうだ。

ちなみに両親とも、実家も現在も招き猫に世話になる職業には就いていない。

そんな経緯で発見された招き猫は、とりあえず箱ごと居間に持ち出された。
白地に茶色い虎柄で、見た目だけは可愛かった。


だが。
恐らく新品と思われる招き猫には、欠陥があった。
「にゃごーん」という声に混じって時々「キィーーン」と耳障りな音が出てくるのだ。
その原因究明と修理は、ラジオ・パソコンを自作し、テレビ・プリンターを修理させられた経験のある自分に一任された。

そんな事情。


不快音が確かに出ることを確認したため、コンセントを抜く。
普通はスイッチぐらいあるものなんだけどなぁ。と猫の背中を眺め回す。

その時、床に、丸い光が二つ描かれた。


完。

な・ん・ぞ・こ・れ☆
アプリ「三題噺」で出てきたお題「高音」「招き猫」「電気コード」で書いてみました。
主人公男くさいな。
まぁ良いや。
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書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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