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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 三十四
地球上で三ヶ所目の被爆地となったのは、前回・前々回と同じ日本国内だった。
日本は数十年振りの戦争に巻き込まれていた。

戦争が始まったのは数か月前。
相手国とは基盤国力に莫大な差があったものの、三ヶ国から陸海空をほぼ同時に攻め込まれ、後述する人的要因も重なって初期応戦が遅くなり、長期化に繋がってしまった。

「……全く、あの気違い防衛大臣が!」
「あの、准尉」
一曹が嗜めるような目で私を見る。
しかし事実だ。

売国奴の噂があった党が政権を取って成立した内閣。
その防衛大臣は最初の攻撃当時、一週間の外遊に出ていたのだ。
以前の例に漏れず、大臣が外遊から帰って来たのは、予定から更に一日経った六日後だった。
大臣の申請がなくては内閣も動けず、戦局は相手方へと傾いてしまった。

さて、私は一週間分の兵糧を保管する場所を選定していた。
兵糧が被害に遭っては士気に関わる。
「この空き地は?」
「そちらは先日焼夷弾の被害に遭いました。危険でしょう」
地図を指しながら、土地勘のある士長に聞いていく。

「この工場は何だ?」
「……そちらはナタデココ加工工場跡地です。今は無人ですから使えるかと」
「工場か。内部は機械だらけでは?」
「いえ。鉄器不足の折りに供出されました」
五年ほど前に起きた、大規模な鉄製品盗難事件。
不必要な鉄器を全国から集めた際に空になったのか。
「よし、ここにしよう」
「指示を出してくる。案内を頼む」
「はっ」
私は衛生部隊に指示を出すため、駐屯テントを出た。



完。
兵糧・ナタデココ・被爆でした。
……ビキニ湾とか?程度しか思いつかなかったのですが、結局未来日本が舞台……もとい被害に。
相手国は書いていませんが、一応設定はあります。
政治色が濃くなるので明言は避けました。ってか十分政治色出てますねw
まさかの戦争物第二弾はまさかの連続女性視点でした。
(男性視点と女性視点を交互に書いているのです)
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プロフィール
書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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