気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 五十七
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軍事航空機博物館。
そんな名前の施設に、俺は友人と一緒に遊びに来ていた。
「戦闘機ってやっぱ格好いいよなー」
「なー。桜花とかまじすげえ」
数十年前、実際に戦闘に使われていた機体を目前にして、俺も友人も興奮気味だ。
「お、あっち空母だってさ」
「まじで!?」
空母――航空母艦。
戦闘機が発着できるほどの大きさの軍艦をどうやって持ち込んだのか。
空母への案内を見ながら歩く俺の足を、不意に誰かが掴んだ。
「おとーさん……」
足下を見ると、まだ年端も行かない女の子だった。
「迷子か?」
「どう見ても迷子だな」
ズボンを掴まれている俺の代わりに、友人がしゃがんで子供に話しかける。
「こいつはお前のおとーさんじゃないよ」
「おとーさん、どこだ?」
友人の言葉に子供はきょとんとした顔だが、ズボンからは手を離してくれた。
「案内所連れて行くか?」
「……だな」
館内にスタッフは見あたらず、少し遠いが入り口にある案内所に預ける事にした。
「はいぶりっと」
「へ?」
「はいぶりっとの車で来たの」
俺と友人に手を引かれて歩き始めた子供は、ぽつぽつと話を始めた。
「おお、ハイブリッドカーか」
「うん。水色なの」
ハイブリッドと言われて、なぜか真っ先に最近テレビで宣伝している電気自動車が思い浮かんでしまった。
いや、ガソリンと電気を併用するのがハイブリッド車だろ、と自分で突っ込みを入れる。
「ちび!」
怒気をはらんだ呼び声に顔を上げると、怒り顔の若い男性が見える。
「何ふらふらしてんだよ」
小学校にも上がらないような年齢に向かってその言い方はどうなんだろう、と思っていると。
父親らしき男性は子供の手を引いて行ってしまった。
「……別に良いけどさぁ」
「礼もなしか」
友人と二人、顔を見合わせて呟いた。
完。
お題は空母、ハイブリット、子供でした。
子供ちゃんの名前が真っ当なものであることを願っています。
ええきっとろくでもない名前でしょうね。
最初に個人名を出さない、と決めておいて良かったです。
ちなみに「思い浮かんだ電気自動車」は日産のリーフ。
そんな名前の施設に、俺は友人と一緒に遊びに来ていた。
「戦闘機ってやっぱ格好いいよなー」
「なー。桜花とかまじすげえ」
数十年前、実際に戦闘に使われていた機体を目前にして、俺も友人も興奮気味だ。
「お、あっち空母だってさ」
「まじで!?」
空母――航空母艦。
戦闘機が発着できるほどの大きさの軍艦をどうやって持ち込んだのか。
空母への案内を見ながら歩く俺の足を、不意に誰かが掴んだ。
「おとーさん……」
足下を見ると、まだ年端も行かない女の子だった。
「迷子か?」
「どう見ても迷子だな」
ズボンを掴まれている俺の代わりに、友人がしゃがんで子供に話しかける。
「こいつはお前のおとーさんじゃないよ」
「おとーさん、どこだ?」
友人の言葉に子供はきょとんとした顔だが、ズボンからは手を離してくれた。
「案内所連れて行くか?」
「……だな」
館内にスタッフは見あたらず、少し遠いが入り口にある案内所に預ける事にした。
「はいぶりっと」
「へ?」
「はいぶりっとの車で来たの」
俺と友人に手を引かれて歩き始めた子供は、ぽつぽつと話を始めた。
「おお、ハイブリッドカーか」
「うん。水色なの」
ハイブリッドと言われて、なぜか真っ先に最近テレビで宣伝している電気自動車が思い浮かんでしまった。
いや、ガソリンと電気を併用するのがハイブリッド車だろ、と自分で突っ込みを入れる。
「ちび!」
怒気をはらんだ呼び声に顔を上げると、怒り顔の若い男性が見える。
「何ふらふらしてんだよ」
小学校にも上がらないような年齢に向かってその言い方はどうなんだろう、と思っていると。
父親らしき男性は子供の手を引いて行ってしまった。
「……別に良いけどさぁ」
「礼もなしか」
友人と二人、顔を見合わせて呟いた。
完。
お題は空母、ハイブリット、子供でした。
子供ちゃんの名前が真っ当なものであることを願っています。
ええきっとろくでもない名前でしょうね。
最初に個人名を出さない、と決めておいて良かったです。
ちなみに「思い浮かんだ電気自動車」は日産のリーフ。
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書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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