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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 四十七
最近の言葉で表現するなら、秋葉系、とやらになるのだろうか。
日本語を無意味に片仮名表記するのは好まないが、やはりここは漢字の秋葉系、より片仮名でアキバ系と表記した方が似つかわしい気がする。

僕のお気に入りの場所……古く朽ちかけた温室に、彼は眠っていた。
物語のように死んでいる訳でも、童話のように果物を喉に詰まらせて窒息している訳でもない。
元々植木鉢でも置いてあったのだろう鉄の台に腰掛けて、その人は眠っている。

厚い眼鏡を掛け、大人しくて、地味で、少し痩せていて、時々同級生の嘲笑のネタにされる人。
直接の関わりはなかったから、目の前で寝られると……反応に困る。
いや、放っておいても構わないのかもしれないが、それも何となく嫌だった。
「んー……うぅ、はぁ……」
呻くような寝言の後、眼鏡の奥の目がゆっくりと開かれていく。

「……!」
しまった、と僕はとっさに思った。
眠っていたせいでうっかり、顔と顔の距離が……異様に近づいていたからだ。
「ええと、その」
「……ごめん、寝てた……。ふぅ」
僕の慌て様とは真逆に、目覚めたばかりの彼は眉間を押さえて瞬きする。

「ああ、この温室よく来るんだっけ」
「……ああ」
彼の思い出したような呟きに、とりあえず是と答える。
そっか、と彼は言って、立ち上がり伸びをする。

「ここ、燕が来てたんだ。去年」
「だから、今年も巣作りに来るかなって思って見に来てみたの」
彼の説明に、僕はふうん、と頷くような声を漏らすしかなかった。
渡り鳥を見つける事自体が、変わり者としか言いようがない。
……冒頭で言ったアキバ系、の発言は取り消すけれど。

「一周回ってもいないから座ったら、そのまま寝ちゃったみたい」
ごめんね、と彼は淡く微笑んだ。

……何を謝る事があるのだろうか。
ここは、誰が立ち入っても構わない共有スペースなのだから。

「……別に良いんじゃないの。僕の場所じゃないんだし」
「また、燕とか雀とか探しに来れば」

「……そう?お邪魔じゃないのなら、また来ようかな」
居心地良いよね、ここ。

そう、また淡く笑って、彼は温室を出た。


完。
渡り鳥・温室・秋葉系
うわ何これ酷い。
秋ww葉www系wwwwwとか思ってたら、文章は更に酷くなった件。
自称、僕より俺の方が似合いますね多分。
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書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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