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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 五十九
こんにちは、和美です。
この記事は『 三題噺お題作成ツール 』 を使って出てきたお題を元にした小説です。
話の展開が全般的に唐突。
主人公視点、個人名なし、読み切り、です。
同じテーマの記事はカテゴリー「文章」からどうぞ。



ふー、ふー。
少し息を吹きかけて一口齧り、また息を吹きかける。
かくて眼鏡は面倒臭い。

俺は職場で唐突にもらった焼き芋を、本体が持つ熱 …… ではなく、立ち上る湯気に苦戦しながら食べていた。
「芋、旨い?」
隣からの声に、俺は口内を芋でいっぱいにしたまま無言で頷いた。
口の中に物を入れたまま喋るものではない。
「そっかー。なら良かった」
猫のように丸い目が、細くなる。

細い黒目に、地は黄色みを帯びる。
初めて会った時、まるで宝石のようだと評したら「 ナンパ? 俺ストレートなんですけどごめん 」 と謝られたのが、俺たち最初の会話だった。
誤解されないように言っておくが、俺だってストレートだよ。


閑話休題。
先程、「職場で焼き芋をもらった」と表現したが、事実からは少し外れる。
職場で …… 馴染みの取引先からもらったのは、普通の …… 生のさつま芋だ。
それを隣の友人が、どこからか持ってきたアルミホイルを使って器用にも焼いてくれたため、今俺が食べている焼き芋が完成した。

「芋って喉にもだけど、歯に詰まるから面倒臭いんだよな」
友人が愚痴を零す。
家でなら食べるが、職場には爪楊枝が置いていなくて食べられない。と。
「 歯に詰まるってそんなに気になるか?」
口内の芋を胃に送って、俺は尋ねる。
「 気になるよ。中途半端な隙っ歯だから、全部の歯に一本ずつ黄色い芋が挟まるんだぞ 」
イーッと見せた歯を指して友人が困り顔をするから、俺はその歯に黄色い繊維が挟まっている状態を脳内で合成して ……
「…… ぶっ 」
吹き出した。
「 お前なあ!」
「 俺も焼き芋好きなんだぞ!」
「 あははは、ごめ …… くくく ……」
怒る友人に、俺は笑いが止まらないまま謝って。
「 じゃあ家まで芋持って帰るの手伝ってやるから、一緒に食お。な?」

「…… じゃあいい。一箱よろしく 」
「 一箱 …… お、おう 」

一箱って、何kgあるんだろう。
俺自転車なんだけど、どうやったら段ボール箱が載るんだろう。
( 俺の自転車に荷台なんて物はない )

簡単に請け負ってしまった重量級の荷物に、俺はいい感じに冷めてきた芋を頬張りながら悩むはめになってしまった。


焼き芋
キャッツアイ
隙っ歯
でした。
ぼんやり書き進めていたらキャッツアイ( 最初はそのまま猫を出そうと思っていました ) を忘れてしまったので、友人がキャッツアイ化しました。
ストレートはLBGTに対応する言葉で、異性愛者の意味です。
ノーマルではないので注意。

アルミホイルは、友人氏が職場に個人的に置いている防災セットの中から出してきました。
なんで歯に詰まる事を気にして焼き芋を諦めるのに、爪楊枝を入れていないんでしょうね。
これに気づいて追加したとかだと良いです。

職場の取引先 ( 両方とも第三次産業 ) から細くて小さいさつま芋を三箱頂いて、( 1kgぐらい持って帰りました ) 毎年困っていると聞いたのでそんな話に。
久々の三題噺でした。
2018.9/18
2019.7/4更新
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プロフィール
書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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