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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 六十!
こんにちは、和美です。
この記事は『 三題噺お題作成ツール 』 を使って出てきたお題を元にした小説です。
話の展開が全般的に唐突。
主人公視点、個人名なし、読み切り、です。
同じテーマの記事はカテゴリー「文章」からどうぞ。



「日本沈没」という名前の小説があった。
その小説は随分と話題になり、案の定映画化され、その後、「日本以外全部沈没」とかいう題名のパロディ小説が出たのを覚えている。

だが、今のこの状態は。
「会社だけ水没?」
パロディにしては地味。
題名も面白くない。
パニック映画にしようにも、逃げ惑う人がいない。
小説であれば粗筋の時点で編集者から、映画であればプロットの時点で制作会社から、いずれも却下されてしまう素案である。
まあ、筆力がある作家なら、その題名と舞台設定でも、読者や観客を惹きつける作品が出来上がるのかもしれないけれど。

「残念、ここは虚構じゃなくて現実よ」

作品を投げ出した事で知られる監督の、最新映画のキャッチコピーを思い出させる声が後ろから聞こえる。
そういえば特撮が好きで、でも監督は嫌いで、見に行こうかどうか悩んでいたっけ。
「先輩、」
私は振り向いて呼びかける。
営業部専属の事務である私とは違い、経理部で係長を務める女性。
腕を組んでやれやれと呆れたような顔で立っていた。

「で、何よこれは」
「何よこれは、と言われたら……答えてあげる世の情けはないみたいですよ?」
「なんでうちの会社だけ水没してんのかしらね」
「さあ?」

会社が単独で持っている、五階建ての自社ビル。
建築時の法律だか税金対策だかで、ビルの……会社の名前が書かれた看板の横にある階段から、半分地下に降りた場所を一階としている。
(だから、外見は一応四階建て半である)

今、その一階が丸ごと水に浸かっているのだ。

「ま、理由なんて考えても仕方がないわ」
「ちょっと経費でバケツでも買おうかしら」
えー……
先輩の言葉に、営業やら広報やら開発やらその他、あちこちに所属する男性社員の嫌そうな声が挙がる。

バケツなら、すぐそこの商店街に銀色のが売っている。
経費でバケツを買う事に異論はない。
けれど、会社に溜まった水をバケツで汲み出していたら、人が何人いたって日が暮れてしまう。
まだ、朝だけど。

「じゃ、どうする? 仕事ができなくても終業時間までは帰れないわよ」
先輩の質問に、先程は批難の声を挙げたみんなが言葉を詰まらせる。

「ま、ぼーっとしているしかないんでやりますけどね」
「あと十分経ってからなら」

現在八時二十分。
始業時間まで、もう少し。


「それもそうね」


……バケツを売っているお店が十時開店だと私達が気づくのは、それから十分経ってからだった。

-了-
お題は水没、会社、商店街でした。

会社も商店街も水没したのか……w
三題噺を保存した時の↑の呟き以外、何も思いつきませんでした……。
結局会社だけが沈没することに。

日本沈没、日本以外全部沈没、両方読んでいませんし、映画も見ていないのでどんな話なんだか。
ちなみに「虚構か、現実か」は新世紀エヴァンゲリオンをぶん投げた、庵野秀明監督の映画「シン・ゴジラ」
……破まで公開されたので最新作ではなくなりましたね。
完結するとは思っていません。

水没理由は、近くの工事とかの振動がきっかけで地下水が湧き出たためです。
夜間は施錠してある扉の隙間から漏れ出したので、階段も水没しました。
上階へ昇る階段はビルの裏側。
二階の窓は防犯対策で金網を入れてあるので、割っても社内には入れません。

……この理由だと、水を汲み出す作業が終わりませんね。
頑張れみんな。
2018.9/18、公開:2021.01/25
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PV数より共感が欲しい。
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