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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 三十一
草木も眠る丑三つ時。
俺は、廃校になった幼稚園を使ってホラー系スタンプラリーをやっていた。

ルールは簡単。
地図に示された場所に置いてあるスタンプを紙に押して帰ってくるだけだ。
二階建てだが、元々幼稚園なだけあって、建物自体大きくも広くもない。

それではあまりに簡単すぎる、と言い出した友人の提案で、明かりをなくす事にした。
懐中電灯なし。
加えて六月から続く梅雨のため、月明かりもない。

「じゃあ行ってくる」
「おー」
先頭はホラー大好き、友人♂。

「ねえ、一緒に、行ってくれない……?」
友人がいなくなるなりそう言い出したのは、同じく友人ただし♀。
「うーん……お前怖いの嫌いだもんなぁ」
なのになぜここにいるのかと言えば。
前述の友人♂の誘いを断り切れなかったからに他ならない。

「十分も掛かんねえのに、弱いんだなー」
異論を唱えたのは、言いだしっぺの友人こちらは♂。
「けど、一応女の子だぜ?」
「そりゃそうだけど」
とりあえず行ってくる、と残し、友人♂その二は建物へと入って行った。

「……じゃあ、二人には内緒な」
「! うん」
友人♂その二が見えなくなったのを確認して、俺は提案した。

しかし一緒に入るのは良いが、一緒に出るとまずい。
最悪、友人二人が監視の上で一人ずつ回らされる事にもなりかねない。
俺は地図を眺めて、そして気づいた。
「二階の端と一階の端に一個ずつあるから、最後にここで別れよう」
「そしたら帰ってくる時間がズレるから、多分ばれない」
地図を指し示しながら、俺は提案する。

「うん、ありがとう」
そして、俺たちは建物内へと入った。




「……ねえ、何かおかしくない?」
「奇遇だな。俺も思った」
建物がぐらぐらと揺れている。
ズズズ……と重いものを引きずって無理矢理動かすような音がする。
「っきゃああああああ!」
窓から見える景色が動く。
いいや、動いているのは……俺たちがいる建物の方だ。
建物がゆっくりと角度を変えていく。
まるで回転するかのように。

「外に出よう!」
友人の手を引いて俺は今来た廊下を引き返す。
……けれど。
「ねえ、ここ玄関よね?」
「ああ……」
靴箱はあるのに、玄関はない。
……玄関だったところは、全面のガラス張りになっていた。

「窓も開かねえ」
ドンドンと叩いてみるが、びくともしない。
高校の窓ガラスでも、叩けば少しぐらい手応えはあったのだが。

「とりあえず、二人を探そう。じっとしてても多分何も変わらない」
「……うん」


俺は友人の手を引いて、異様に真っ暗な校内を歩き出した。




完。
スタンプ・丑三つ時・回転でした。
わお、ひでえwww←
過去に書いた話に、「スタンプ3」というのがありまして。(未公開・未完)
それをモデルにしてみました。

回転が強引すぎますね。
そして男三人に女一人ってどうよw
しかし読み切りなのであんまり人数出せないのですよ……(´・ω・`)
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プロフィール
書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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