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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 文章 > 三題噺 三十七
東西南北、世界を回るおれの父親は、現在ホノルルにいる。
父親は何の仕事だって?
……おれが聞きてえよ。

ごく稀に帰ってきても、父親は仕事の話を一切しないのだから仕方がない。
ただ、「日本のメシうめえ!」と普通の白いご飯や煮崩れた魚やら焦げた肉を食っては喜ぶだけだ。
まぁおれとしてもそう言われるともちろん悪い気はしない。

さて、そんな父親から、携帯に電話が掛かってきた。
着メロと同時に、休み時間の終わりを告げる鐘が鳴る。
海外にいる時は滅多に掛かってこない父親からの電話だ。
俺は授業をサボる事に決めた。

通話ボタンを押して着メロを止める。
「おー、おれおれ。元気?」
「誰。その手の詐欺には乗らないよ」
ひどいなー、もう。と父親のわざとらしい声が聞こえる。
うん、とりあえず元気そうだ。
「冗談だよ。どうしたん?」
「いやー、それがさー」
父親は勿体振るように言葉を切って。
一言こう言った。

「佃煮食いたいの」

は?
父親が和食党らしいのはかなり前から知っていたけれど。
何ゆえ佃煮?
「別に良いだろー。食いたいの。ちっさい浅蜊のやつな」
父親は散々我儘を言うだけ言うと、送ってくれよな信じてる!と謎の信頼を示して電話は切れた。

「ったくもー……」
食べたいと言ってきたのだから仕方がない。
国際電話代、高いんだろうなぁと思いながら、おれは教室へと歩き始めた。



完。
佃煮・ホノルル・東西南北でした。
ホノルルってどこですk 追記:ハワイだそうです。
しかし全く関係ないですねホノルル。
お父さんのお仕事はスパイかもしれません。
ちなみに母親はいませんよ。職場結婚だろうなぁとは思いましたが。
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プロフィール
書いている人:七海 和美
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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