忍者ブログ
気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
[3043]  [3042]  [3041]  [3040]  [3038]  [3037]  [3036]  [3035]  [3034]  [3033]  [3032
ざっくざく > 文章 > 三題噺 十!
「もうすぐ、目的地に到着いたします」
私は、アナウンス用の声に切り替えてマイクを取った。

大手旅行会社のガイドである私は、今回サーカスの観劇旅行にバスガイドも兼ねて参加した。

今回観劇するサーカス団の特徴は、何と言ってもこけしだ。
いきなりそんなことを言っても意味が分からないだろうから、順番に解説していこう。

まず、サーカス団のマークに使われている。
公演案内のチラシにも、パンフレットにも、とりあえずこけし。

ところで、こけしの性別は、と聞かれれば、はぁ?と最初に思われるだろう。
そして、大半の人が女性では、と答えられるだろう。
このサーカス団、団員は全て女性だ。

さぁ、そのこけしを描いて、と言われれば、大半の人が大体同じような顔を描く。
おかっぱ頭に、まっすぐ切り揃えられた前髪。
開いているのか閉じているのか判断がつかない目。
密やかに笑っているように見える、微妙な口元。
個性が出るのは、主に首から下だ。

このサーカス団、団員は全て同じような顔をしている。
顔、と言っては失礼だろうか。
化粧で、全員同じ顔に見せているのだ。

――なぜそんなことをするのか。
とあるインタビューによると、演技に集中してほしいからだという。
個性を消すことによって、誰がやっているか、ではなく、何をやっているか、に注目してほしいのだという。
そのインタビューには、団員・団長の名前も出ていなかった。
読者に分かりにくいから、編集部でA、B、と振ったところ、サーカス団名義で止めてほしい、と意見が来たそうだ。

「こちらがサーカスの行われる○○大演場でございます」
「では皆様、サーカス団『マトリョーシカ』の演技を、どうぞごゆっくりお楽しみください」
そうアナウンスして、私はマイクを置いた。

完。
こけし・サーカス・バスガイドでした。
えー、とバスガイド……?
普通のガイドさんですね、これでは。
こけし愛好家の皆様申し訳ございませぬ。
でも同じ顔に見えげふん。

三題噺も適当にさぼりつつ十作目ですよ。いつまで続くかな。←←
PR
【 この記事へコメント 】
名前
コメントタイトル
URL
本文
削除用パスワード
累計アクセス数
アクセスカウンター
レコメンド
プロフィール
書いている人:七海 和美
紹介:
更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
忍者ブログ [PR]