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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 美術鑑賞 > 藤田美術館展に行きました
藤田美術館展1
五月二十九日水曜日に、奈良国立博物館で開催されていた 『 国宝の殿堂 藤田美術館展 〜 曜変天目茶碗と仏教美術のきらめき 〜』 展に行きました。
こんにちは、和美です。
そんな美術館の鑑賞記事です。

【目次】

  1. 藤田美術館
  2. 特別展の感想:1. 曜変天目編
  3. 特別展の感想:2. その他編
  4. 常設展の感想

1. 藤田美術館

今回の特別展は全て、大阪市にある私設美術館、藤田美術館の収蔵品です。
大規模改修中のため、収蔵品が奈良国立博物館で公開になりました。
国宝を最も多く収蔵している私設美術館として有名だそうです。
今回は国宝が九件出品されていて、目玉は表題にある曜変ようへん天目てんもく茶碗。
茶道でお茶を飲む時などに使われる、大きめのお茶碗です。
内外に名前の由来にもなった 『 曜変 』 と呼ばれる青い斑文が出来るのが特徴。
中国の南宋時代に作られたらしいという事しか分かっていませんが、完全な形の物は全て日本にあり、いずれも国宝に指定されています。
収蔵元は東京の静嘉堂文庫、滋賀県の大徳寺龍光院、大阪の藤田美術館。
滋賀県はMIHO MUSEUMで特別展があり、ちょうど一ヶ月間ほどは史上初の同時公開がされていました。

藤田美術館は今回の特別展で初めて写真を見ましたが、展示室に飾られていたライオンの絵が竹内 栖鳳に見えて驚きました。
現住所から徒歩圏内なので、こんな態度の悪い博物館ではなく、元の美術館で見たいです。

2. 特別展の感想:1. 曜変天目編

藤田美術館展1
会場到着後は、真っ先に曜変天目の最前列を見るための列に並びました。
曜変天目の感想が異様に長くなったので章を分けます。
入口に最大八十分待ちと書かれていたのですが、並んだ時点で十分追加されているので係員の虚偽説明ですね。

曜変天目茶碗が出土品ではなく伝世品だという事に驚きました。
茶碗なのでそんなに古くもないのかなと思いましたが、欠片は時々中国で出土するそうなので不思議です。
三碗しか残っていない理由は、実は中国では忌み嫌われていたという珍説まで浮上したようですが。
この説は南宋の宮廷関連遺跡から破片が見つかったため完全否定されています。

実は制作当時から割と技術が必要だったとか、そもそも作れる人が一人しかいなかったという可能性も充分考えられると思います。
技術方面では、冷戦時代にロケットを飛ばせる技術を持った科学者はアメリカに一人、旧ソ連に一人しかいなかった、という話もありますし。
三碗も日本にあると言いますが、完全な形で残っているのが世界に三碗しかないので、誰かが偶然作れただけという可能性は捨て切れません。

並んでいる最中に他の展示品が見られるかなと思っていたのですが、説明が列からは絶対に見られない場所にしかなく、時間を潰すための説明文も少ないのでがっかりしました。

曜変天目は三碗とも写真でしか見た事がなく、本物を見るのは今回が初めてです。
個人的に、写真で見る限りでは静嘉堂文庫所蔵が一番綺麗ではないと思っていて、世間一般の評価が気になっていたのですが。
ニュース記事で

静嘉堂文庫美術館が展示する曜変天目茶碗は『 稲葉天目 』 の通称がある。
三点の中でも特に斑文と虹彩が鮮やかに出ているため、最も華やかな美しさを持つとされ、「 天下第一の名碗 」「 小碗の中の大宇宙 」とも呼ばれる。
という表記を見つけて驚きました。
斑文がはっきりしているのが苦手です。

見込みこみと呼ばれるお碗の内側は単眼鏡でじっくり見られましたが、光源の影響で外側に散る曜変が全く分からなかったのが残念です。
図録の解説によると、

一見、最も控えめな印象を与える。
( 中略 )
高台のつくりは極めて丁寧であるが、高台畳付の幅が細く、繊細さを感じさせる。
との事。
なお、以下の自慢に気分が悪くなったので晒し上げておきます。

自然の光が柔らかく差し込む中、掌でゆっくりと回しながら見込を覗く時に見える景色こそ、曜変天目最大の醍醐味であろう。
…… それをできる立場にいる人ってこの世に何人いるんでしょうね!

見終わった後も、係員が音楽再生機のように 「 待ち列が大変長くなっております 」 を連呼していたのですが、和美が並び始めた時より列は短くなり、待ち時間が一時間を切っていたので、状況が見えていないなと感じました。

3. 特別展の感想:2. その他編

藤田美術館展2
ここからは曜変天目以外の感想です。
京都国立博物館 『 国宝 』 展で見た、二度目の ≪ 油滴天目茶碗 ≫ も出品されていました。
黒地に白の斑文なので曜変天目茶碗に比べると地味な扱いですが、こちらも綺麗です。

途中で良かったのは、≪ 玄奘げんじょう三蔵絵 ≫ の巻第三、四。
雪の峠を越えて死人が出たという悲惨な場面ですが、雪が綺麗でした。
ちなみにこちらも国宝。

個人的に一番良かったのは、 室町時代の ≪八大龍王尊像 ≫ と ≪ 十六羅漢図 伝顔輝 ≫ です。
仏教美術は苦手なのですが、すごく綺麗で幸せでした。
≪ 十六羅漢図 伝顔輝 ≫ は作品表記としては一つですが、十六幅の掛軸が全て一度に展示されていてじっくり堪能できました。

第二展示室で、中国人に「そのパンフレット( 出品目録 )はどこで配られているの?」と聞かれて、中学英語と中国英語とgoogle翻訳でしばらく通じないやり取りをした後、面倒になって場所を案内しました。
第一展示室と第二展示室の間に置かれていたため近く、機嫌も良かったので今回は構いませんが、出品目録の置き場はもっと目立たせるべきです。

通称 『 五月一日経 』 と呼ばれる写経が展示されていたのですが、その通称だけで覚えて「 過去にも見たな?」と思っていたら、今回では ≪ 仏本行集経 ≫ と ≪ 放光般若経 ≫ の少なくとも二種類が同じ通称で呼ばれている事を知りました。
奈良時代に光明皇后が写経させたお経なので、同じ日付が書かれたお経が何種類もあるのでしょうか。
解説によると、正倉院や東京の根津美術館などにあるそう。
…… つまり和美が過去に見たのは 『 正倉院展 』 で、天皇家由来の伝世品を正倉院が放出した可能性が最も高いという事ですね。

≪ 紫紙金字華厳経巻第二十七 ≫ という、銀で罫線を引き、金字の写経が十行で途切れた経巻があって驚きました。
…… 志半ばで亡くなったのでしょうか。

4. 常設展の感想

奈良国立博物館
常設展は正式名称 『 なら仏像館 』 と言います。
本体から欠けた手先など、残欠だけの個人コレクションがありました。
案外、日本中の仏像と合わせたらどこかにぴったり合う元の仏像があったりするような気がします。
さすがに同じ奈良国立博物館内の仏像とは合わせていると思いたいですが。
ずっと寄付されたのだと思い込んでいたら、寄託(預けている)されているだけだそうです。

新収蔵ですごく印象的な仏像があった気がするのですが、会場に出品目録がなく、公式サイトで調べても分かりませんでした。

チューリップを持った仏像があったので不思議に思っていたのですが。
よく考えたらチューリップではなく蓮だったのでしょうか。
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