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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 美術鑑賞 > 特別展「リアルの行方」に行きました
兵庫県にある姫路市立美術館で開催されていた特別展「リアル写実の行方」展の感想記事です。
こんにちは、和美です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. 特別展
  3. 所蔵品展
  4. 常設展示

1. きっかけ


リアル写実の行方」展へは、兵庫県立美術館へ怖い絵展を見に行った時に前売り券を見つけて買ったのがきっかけです。
開催期間が終わりに近い事に気づいたので、慌てて行ってきました。

姫路市立美術館は近畿圏の端にあるためか、近畿圏の特別展ではほとんど告知されていないのが時々困ります……。

姫路市立美術館は、白鷺城とも呼ばれる世界遺産:姫路城のすぐ隣にあります。
JR姫路駅から徒歩もしくはバス。
今回はバスに乗りました。


姫路駅にはお昼前に到着したので、何となく姫路駅をうろうろしてお昼ご飯。

2. 特別展


前売り券やポスターに使われている絵は高橋由一の代表作「鮭」が二枚。
……と思っていたのですが、片方は高橋由一の ≪ 鮭 ≫
もう片方は現代画家の磯江 毅が描いたオマージュでした。
写真では分かりませんが、本物の絵では、端に実物の荒縄がはみ出していて、絵に描いてある荒縄と全く継ぎ目が分からなくて不思議でした……。

高橋 由一は京都近代美術館に特別展を見に行った事があるのですが、大量の大きな新巻鮭しか印象に残っておらず。
「こんな絵も描いていたのか」と時々驚きます。
記事は書いていませんが、京都文化博物館で開催されている「絵の愉しみ、画家のたわむれ」展に出ていた絵がすごく綺麗でした。

そして……何となく黒田 清輝と同じ明治時代の画家だと思い込んでいたのですが、江戸末期なので日本で一番古い洋画家だそうです。

写実主義を目指していた高橋 由一ですが、新巻鮭に限っては写実的とは思いませんでした。
≪ 鴨図 ≫ の鴨が纏う羽毛の柔らかさ加減は「目指した場所に到達できたんだろうなぁ」と感じたので、成長過程なのでしょうか。

時代を経るに従い、画壇の傾向は高橋 由一らが目指した写実主義からは離れていったという解説があまり理解出来ませんでした。
非現実的な絵も好きですが、和美は本物は本物らしく描いてほしいので。

写実主義を主題としている割にはあまり写実的ではない絵も出ていたのが不思議です。
以下、印象に残った絵を画家と共に挙げてみます。

五姓田 芳柳 ≪ 婦人画像 於足利 ≫
伝統的な日本の肖像画通り、着物で座った全身を背景なしで描いているのですが、陰影がついているので不思議な雰囲気を感じました。

岸田劉生 ≪ 野童女 ≫
……麗子像ですかこれは。
聞くところによると ≪ 麗子像 ≫ のモデルになった娘の麗子さんはものすごく美人らしいので、岸田 劉生は人物画が下手なのかなと思いました……。
この ≪ 野童女 ≫ も同じく、なぜか後頭部がやけに大きいですしね。

牧島 如鳩はキリスト教の宗教画のように仏教画を描いたそうで。
出展されていた絵も、弁財天が聖母降臨のような雰囲気で描かれていて不思議な感じがしました。
よく考えると釈迦来迎図にも似ている気がしますが……。
キリスト教だと周りは天使(子供)ですが、仏教だと周りは天女(大人)なんだなと今気づきました。

三輪 四郎 ≪ 自画像 ≫
作品自体は普通の洋画なのですが……名前に驚きました。

重松 鶴之助 ≪ 閑々亭肖像 ≫
モデルは三枚目辺りの歌舞伎役者でしょうか。
浮世絵に多い輪郭の特徴を誇張した絵に陰影がついているので、不思議な雰囲気です。

現代画家の上田 薫、一辺2mを超える大きな白い画面に、写真と見間違えるような精密な生卵。
それだけなのですが、大きさとリアルさに驚く絵でした……。
絵画ではスーパーリアリティと呼ばれるジャンルだそうです。
奈良県立美術館で開催される特別展の告知ポスターに使われている、スプーンに乗った生卵の絵の人だと気づきました。
行く予定です。楽しみ!

吉村 芳生は一面のコスモスの絵。
添えられていたコメントがすごかったです。(要約)

私の絵には、特別な技術、才能はいらない。
単純作業である。
小手先で上っ面だけを写す。
自分の手を、目を機械のようにただ動かす。
延々と同じ作業が続くだけである。
一時間に進む量は決まっている。
一定の時間が経てば作品は仕上がるようになっている。
サヴァン症候群や自閉症など、発達障害を抱えた人ってこんな感じなのかなと思いました。

絵とは関係ありませんが、父の実家の苗字で、男系に引き継がれている名前一文字が一致している画家が二人いました。
聞いた覚えはありませんが、父も叔父も絵が好きなので、可能性はあるのですが……親戚かなぁ。
まさか。

3. 所蔵品展

所蔵品展は、新しく美術館のコレクションに加わったという松岡 映丘の下絵でした。
平安時代の女御や戦国時代の武士の絵を描く画家だそうです。
民俗学者の柳田 國男の弟との事。

印象に残ったのが ≪ 室君≫
平安時代ぐらいの屋敷仕えの女性達なのに、すごく気怠げな雰囲気で驚きました。
華やかに描かれる宮仕えですが、疲れる日も休みたい日もあるはずですよね……。
解説によると、正しくは遊女。
第十回の文展で発表され、大和絵に新しい解釈をもたらしたと評価されたそうです。

4. 常設展示

常設展示は近代フランス絵画です。
展示替えすらほとんどないのですが、怖い絵展などに数点貸し出されていたそうです。
ルオー展ちょっとこっち来い。(巡回なし)

そんな展示替えのない常設展示の目的は、バルビゾン派のコローです。
≪ 湖 ≫ という、コロー特有の靄がかかったような木漏れ日の風景画がすごく綺麗で、毎回見に行ってしまいます。

そんなところかなー。
絵葉書はコスモスの絵を描いた吉村芳生のが欲しかったのですが、特別展のは少ないのが残念でした。
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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