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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 雑談 > 実録手記:聞け、" てるくはのる " よ
たまには読書感想文です。

今回は小説ではなく実録手記。
しかもうっかり重い本を読んでしまいました。
こんにちは、和美です。

最近ライトノベルもどきを読んでいた反動でしょうか。
『 図書館戦争 』 シリーズの読書感想文はまた改めて。

【目次】


  1. 本の紹介と初出感想

  2. きっかけ

  3. 本題の感想

  4. 少年法

  5. まとめ


1. 本の紹介と初出感想


今回読んだのは、中村聖志、唯子が書いた 「 聞け、" てるくはのる " よ 」
ざっくり書くと、京都 日野小学校男児殺害事件と呼ばれる、『 てるくはのる 』 を名乗る通り魔に子供を殺されたご両親の手記です。
一応連名ですが、ほぼお父様側の視点です。

被害者遺族感情そのままの勢いの発言が多く、正直読まなきゃ良かったなと思いました。

2. きっかけ


この本を読む直前、途中まで読んでやめたのが 『 葬式ごっこ事件 』 の報道実録記だったので、流れで読んでしまいました。
報道実録記は、豊田充が書いた 『「 葬式ごっこ 」 八年目の証言 』 です。
……脳内で 『 マット死事件 』 と 『 葬式ごっこ事件 』 が混ざっていました。
マット死事件は山形県の中学生が体育館のマットの中に巻き込まれたまま放置されて亡くなった事件。
葬式ごっこは正式名称 『 中野富士見中学いじめ自殺事件 』
教室の机の上に花束を置き、教師四人や同級生らが死を悼む内容の寄せ書きを置くなどしたいじめを受けての自殺です。
……正式名称を書くために検索したところ、加担した教師が自殺後も教師を続けたという恐怖。
Wikipediaの引用元にも使われていましたが、途中まで読んだ限りでは、事件の概要が分かる本ではありませんでした。

3. 本題の感想


さて、本題の 『 聞け、 " てるくはのる " よ 』
最初は父親が事件の連絡を受けたところから始まっていたので、事件をあまり知らなくても問題ない点で、先の 『 葬式ごっこ 』 よりは読みやすかったです。

本の題名にもある 『 てるくはのる 』 は、犯人が現場に残したメモに書かれていた、犯人を識別する記号です。
名言集の索引 「 か 」 行の末尾の文字を組み合わせただけで深い意味はありません。

ざっくり読んだだけで再読する気にもなりませんが、 『 犯人に対して何を望みますか 』 というような質問に対し、母親が 『 精神病に罹っていない二十歳以上の人間だと信じたいです 』 と答える辺り、日本の法律の穴をよく分かっているなと思いました。
精神病に罹っているから罪の意識がない。
罪の意識がない人間を裁けないという詭弁が不思議で堪りません。

犯人は警察に追い掛けられて逃亡中、ビルから飛び降りて自殺しました。
それに対して、 「 犯人が生きていたら、裁判で証言を聞く、長く苦しい日々になる。亡くなった子供がそれをやめさせてくれたのだ 」 と受け取るのは、遺族ならではの視点だと思いました。
……犯人が浮上したきっかけは、聞き込みを行った先の高校で、教師が 「 (犯人) に似ている 」 と話した事なのですが、元生徒の事を 「 殺人を犯しそう 」 という目で見ていないと出て来ない発言だと思いました。
『 葬式ごっこ 』 の本で、教師への印象が良くない中だったせいもあります。
( 和美も似たような教師に当たったので元から教職に対する印象は悪いですが)

あと、著者である被害者の父親が、犯人が殺人を犯す原因を作ったのは、一緒に住んでいた母親と兄だとしたところ。(加害者の父親は既に死亡)
犯罪に手を染めるような人間に育てた親を 『 共犯者 』 と呼ぶのは本当に正しいと思います。
……母親と兄についてもよく分からないままでしたが……。
口先だけの狡猾な人間という描写でしたが、視点が被害者遺族なので何とも言えません。

4. 少年法


そして本当に感情的なのはここ。
朝日新聞に載ったという社説だけを読んで 「 少年犯罪が減ったという何の根拠もない主張 」 と切って捨てるところ。
少年犯罪の年別に起きた件数の統計は法務省から 『 犯罪白書 』 という文書で公式に発表されています。
そして、その統計によると実際に少年犯罪は減っています。
手記発売は2000年。
翌2001年の犯罪白書を引用して書かれた内容があったのでリンクを載せておきます。
少年犯罪は急増しているか:平成13年度版

なお、少年法は2000年に改正された際に厳しくなりましたが、数の抑止には繋がりませんでした。
「少年犯罪は厳罰化しても減少しない」 少年法改正の動きに弁護士が「異論」 :弁護士.com

5. まとめ


全く冷静ではない、激情の 「 手記 」 でした。
もう二度と読む事はないと思います。
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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