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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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ざっくざく > 美術鑑賞 > ロベール・クートラス
この記事は、美術館鑑賞の感想です。

はじめに

全く知らない名前ですが、美術館本体に興味があったので行ってみました。
アサヒビール大山崎山荘美術館で開催されている、「ロベール・クートラス~僕は小さな黄金の手を探す~」です。

美術館の場所は、最寄駅のJR山崎駅か阪急大山崎駅から徒歩で十分。
『 高齢者優先 』 となっている無料送迎バスがあります。
ただ体力が衰えただけの高齢者なんかより、もっと他に優先されるべき方達がいる、と思いながら自力で登りました。
……理由は後に判明します。

JRの駅からデイリーヤマザキとは逆側に、線路に沿って歩き、踏切まで行きます。
という最初の方角さえ間違えなければ、分岐点には必ず、アサヒの自動販売機と同じ色の、青くて目立つ案内板があるので迷いません。
運動不足を自覚する健常者は、かなり急な斜面で息が切れました……。

しかも、送迎バス(と車椅子専用の特別駐車場)の乗降場所からがまた長い!
延々と続く、曲がりくねった一本道が辛かったです。
途中のレストルーム(無料休憩所)にある唯一のコインロッカーに、鞄とコートを預けたら少しは身軽になりましたが。
(無料、と書かれていますが、入れたはずの百円玉が返って来ませんでした……)

山荘の歴史

名前の『アサヒビール大山崎山荘』と、近くにアサヒビールの工場がある点から、アサヒビールが酔狂でこんな辺鄙な場所に作ったのだと思っていましたが。
元はアサヒビール創業者の知人でもあった資産家:加賀 正太郎氏の別荘だったようです。
死後転売され、廃墟になっていた山荘を潰してマンションを建てる計画が出たため、京都市と地元住民がアサヒビールに頼んで買い取り。
整備して美術館にしたようです。

大山崎山荘の命名は加賀 正太郎氏ご本人。
加賀氏が山荘の命名を夏目漱石に頼み、夏目漱石が引き受けて案を出したものの、加賀氏がその案を気に入らず自分でつけた、という酷いエピソードが残っています(笑)

という理由で、後から設置されたエレベーターはあるものの、車椅子の方が一人で来るのは困難。
通路が狭く、段差も多い上、全面カーペットなので観覧もかなり難しいと思います……。
後から作られた、本館の雰囲気をぶち壊す新館はエレベーター完備で床も真っ平らですが。(常設展示用。後述)

行き辛さや会場内の展示雰囲気は、春画展が開催された『永青文庫』を思い出しました。
美術館鑑賞:春画展(当ブログ内過去記事)
行きやすさは断然大山崎山荘ですが、三階建ぐらいあった永青文庫の方が大きいです。
永青文庫のようにミュージアムショップ用の別棟がほしいです。

特別展

元が別荘なので順路が分かりにくいですが、一階のやけに立体的な抽象画から始まりました。
その辺りは首を傾げながら見ていたのですが、次に展示されていた、出世作ともなった架空の肖像画シリーズの横顔が全体的に良かったです。
顔が描かれていない分、自分で想像して補えるからでしょうか。
ここは新設された地下室でした。

地下室の後半と二階は全て、代表作でありポスターにも使われていた「カロン」のシリーズ。
模様や宗教画のような絵や文字などを描いた、iPhone7ぐらいの大きさの厚紙を、縦横四枚ずつ、計十六枚を並べて一枚とした作品の連作です。
十六枚の中に一枚、しれっとサインが混じっているのが面白かったです。
サインが絵に同化した作品が好きです。

サイズ的にもiPhoneのカバーに良さそう、と思っていました。

常設展示その1

余談ですが、一階から二階に行く階段に、バルビゾン派の絵が飾られていて興奮しました。
幻想的な木漏れ日の風景画が特徴だと思っているのですが、牛と人もなかなか綺麗でした。

あと二階では浴室も公開されていて、こちらもなかなか綺麗です。
さすがに手洗い場の水桶は、表面の釉薬が剥がれて底面が灰色になっていましたが……。

喫茶店

美術館自体は五時までですが、喫茶店と売店は四時半まで。
という事で、列が出来ていた喫茶店に入ってみました。
特別展の期間限定ケーキセットと、売店で売っていて、買ってみようかと思っていたワインケーキを食べました。
……買いませんでした。苦い……。

つい気になって食器のメーカーを確認したところ、ウエッジウッドでした。
(コップやお皿の裏側に書いてあります)

元は主寝室で、テラス席と中の席が選べます。
……が、見晴らしの良いテラス席が人気のよう。
和美は寒がりな上、前の親子連れがテラス席希望だったので、早く座れる中の席を選びました。
目の前が常設展示の壺でしたが、立体よく分からない。

テラス席から山が三座見えるとの説明を楽しみに見に行ったのですが、現実に引き戻される眺めでがっかりしました。
山の麓に迫る住宅街が、邪魔。

端に飾られてあった、石に描かれた絵二作品の方が余程綺麗です。

喫茶店の出入り口横に有名メーカー製(らしいです。解説より)の壁掛けオルゴールがあり、出た時がちょうど演奏時間でした。
うーん。

常設展示その2

最後は地下にある新館へ。
何をどう間違ったのか、安藤忠雄です。

建築をよく知らない方に、同じくよく分かっていない和美からの解説。
安藤 忠雄は建築家です。
日本の現代建築家では一番有名なんじゃないかなぁと思いますが、兵庫県出身なので、和美がたまたまよく目にするだけかもしれません。
和美がよく行く、兵庫県立美術館もこの人の作品です。
東京五輪(笑)三輪(笑)のメインスタジアムを決めるコンペで 『 アンビルドの女王 』 故ザハ・ハディド女史を選んだ選考委員の委員長です。
この人が設計したら良かったんじゃ。

コンクリート打ちっ放しが好き……なようです。というより、それしか見た事ありません。

という事で、新館もいつもの通り、山荘の雰囲気ぶち壊しです。
が、コンクリート打ちっ放しがこの人の作風なので、依頼した美術館の人選が悪いです。

中はモネの睡蓮が三枚……だったかな?
と、ヴラマンク他三人が各一枚ずつ。(名前失念、作品目録と買った物が行方不明)
モネの一枚は晩年の作品かなぁ。
ピンクではない睡蓮が珍しいです。

一応解説しておくと、モネの睡蓮は大量にあります。
国内では他に、東京都の国立西洋美術館でも常設展示されています。
同じ睡蓮でも、白内障を患った晩年は緑色から橙色などの暖色系で描かれるようになり、睡蓮とは程遠い雰囲気に変わっていきます。

ヴラマンクの空が金山平三に似ていて綺麗でした。
和美は綺麗な青空の絵が好きなのですが、冬の寒そうな白い空も好きなようです。

売店では……特別展の図録がなし。
特別展の絵葉書は、出展作なし。(完売したそうです)
という有様でした……。
泣く泣く、出展されていない(前期出展作かも?)の絵葉書と、所蔵品の図録、山荘のガイドブックを買いました……。

美術館の外

無事に見終わったので外に出ると、出入り口のすぐ横に、加賀氏が特注した泥落としがありました。(使用可能)
……ものすごく目立たないのですが、今でも販売されていそうな普通の形でした。

すぐ近くには茶室。
なのですが……すぐ後ろがコンクリート打ちっ放しとガラス張りの新館なので、写真写りが悪いです。
躙口(お茶席に出席する方の入り口)が見当たらないのが不思議でしたが、当然のように非公開です。
(常時公開されている茶室は珍しいです。多分)(時間・曜日を限定して公開が普通)

そして庭園を散策。
季節柄何も咲いていませんでしたが、なかなかに綺麗でした。
端にある芝生に不細工なうさぎの彫刻があり、「飛び跳ねる野うさぎ」とかいう何の捻りもない題名に失笑しました。
立体よく分からない。

往路はレストハウス(休憩所)から一本道を登りましたが、庭園の中を歩いていくと、レストハウスの少し下側に出ます。
レストハウスでチラシとコインロッカーの荷物を回収。
ちょうどバスが来ていたので乗って帰りました。

美術館周辺

美術館から少し先にある宝積寺というお寺に、鎌倉時代の仏像(重要文化財)があるらしいので見たかったのですが……五時前だったので断念しました。
(お寺の拝観時間も美術館と同じく五時までが多いです)

駅前周辺

駅前には千利休が建てた国宝の茶室(があるお寺)があり、こちらは往復葉書(今時……)による予約制で公開。
近くにある歴史資料館で復元展示が見られると案内がありましたが、五時までなので既に閉館しています……。

すぐ近くにあるお土産物屋さんでホワイトチョコクッキーのお菓子を買いました。
裏面の大山崎の名所旧跡地図が便利です。今。

JR大山崎駅の改札横にある部屋?に名刺サイズの観光案内が置いてあったので、気になった場所だけ持って帰りました。
JR大山崎駅が昭和二年建築と紹介されていたので、慌てて外に出て写真を撮りました(笑)
工事中な上、ずっと人通りがあるのでなかなか撮り辛いです。
裏面には、ホームに京都と大阪の府境を示す看板があると載っていたので、こちらも探して写真を撮りました。
改札と繋がる階段からかなり離れた、電車が止まらない端です。

比較的近いので、余裕ぶっこいてお昼から行きましたが……朝から行けば良かったですorz
山荘のすぐ近くには夏目漱石の歌碑があるなんて今知りましたよ。
(自分用のお土産に買ったホワイトチョコクッキーの包装裏面、大山崎の名所旧跡地図より)
アサヒビール工場も見てみたいですが……ビール飲めない。

次回予告

次回特別展は、夏目漱石の生誕150周年を記念した「漱石と京都」です。
加賀氏が育てていた蘭を描いた画集「蘭画譜」が展示されるそうなので、行きたいなぁ……。
めっちゃ綺麗です。

追記。ぼんやりしていたら逃しました……。
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