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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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河鍋暁斎展
兵庫県立美術館で開催されていた『 没後百三十年記念 河鍋 暁斎 』の特別展に、五月十二日の日曜日に行きました。
こんにちは、和美です。
この記事は、美術館の感想です。

【目次】

  1. 特別展
  2. コレクション展
  3. 常設展示室
  4. 同時開催
  5. 次回開催

1. 特別展の感想

河鍋暁斎展2
河鍋 暁斎はあまり好みの絵がありませんでした。
最初にあった ≪ 柿に鴉 ≫ だけでしょうか。
≪ 夫婦喧嘩は犬も食わぬ ≫ という慣用句の題名の絵を見て、「 じゃあ犬( か獣 )を食う喧嘩が他にあるのか」と、絵とは全く関係ない事を考えてしまいました。
英語にあった 「 チェシャ猫のように笑う 」 という表現からルイス・キャロルが 『 不思議の国のアリス 』 のチェシャ猫を作ったそうなので、慣用句の成り立ちは案外考えてはいけないのかもしれませんが。

骸骨の絵を見ていて、本来なら六本しかないはずの肋骨が妙に多い事に気付きました。
正確な人体図が出回るのは、明治期の『 解体新書ターヘルアナトミア 』 が最初かなとも思いましたが、人骨より見る機会は少ないはずの筋肉は綺麗に正確だったので不思議です。

2. コレクション展

コレクション展
どこかの企業の協賛により、コレクション展が無料開放日でした。
副題は 『 境界線のむこう 』 で、線などの境界や生死、東西、現実、非現実などの方法でこちら側と向こう側を分けるという試みがテーマです。
白髪 一雄の抽象画 ≪ 東方浄瑠璃世界 ≫ が割と良かった以外は、浜田 知明の ≪ 初年兵哀歌 ≫ など、見た事のある作品が多かったです。
そうそう、佐伯 祐三の ≪ タラスコンの遺跡 ≫ という門の絵も良かったです。

コレクション展告知ポスター
コレクション展の告知ポスターに使われていた作品は、過去のコレクション展で何度も見た写真だったのに全く気づきませんでした。
米田 知子の偉人達が使っていた眼鏡を通して、偉人達本人の直筆作品を見る 「 見えるものと見えないもののあいだ 」 というシリーズです。
≪ 谷崎潤一郎の眼鏡 ー 松子夫人への手紙を見る ≫ や ≪ ヘッセの眼鏡 ー 兵士の写真を見る ≫ など、なんでこの人にその作品?代表作は他にあるでしょ?という選択もありますが、直筆原稿が残っていないという可能性も充分ありそうだと初めて気がつきました。

3. 特別展示室

兵庫県立美術館には常設で洋画家の小磯 良平と金山 平三の特別展示室があり、普段はほとんど展示替えがありません。
が、今回は珍しくコレクション展に合わせた展示があり、普段見ない作品が多かった気がします。
小磯良平の静物画はセザンヌにしか見えませんでした。
代表作 ≪ 合唱 ≫ は歌っている十人近くがほとんど同じ顔、というのはTV番組 『 美の巨人たち 』 で知っていましたが、モデルが二人だけだったと今回初めて知りました。

金山 平三は、普段は絵だけ展示されているのですが、今回は過去に開催された特別展でも見た覚えのない写真が展示されていました。
( この兵庫県立美術館で開催されていた特別展では、図録が完売していて買えなかったので確証はありませんが…… )
代表作である最上川の絵は、描かれた場所の写真が残っていると紹介されていて驚きました。

4. 同時開催

別館で 『 不思議の国のアリス 』 展が開催中でした。
併せて行くつもりだったのですが、閉館時間になってしまったので、諦めて後日となりました。
感想記事も後日リンク予定です。
不思議の国のアリス展( リンク修正済み)

5. 次回開催

次は吉野石膏コレクションより、『 印象派からその先 』 展。
印象派を起点に、そこから発展、派生していった新印象派、野獣派フォービズム、青騎士派、抽象画などを含めてエコール・ド・パリまでの特別展です。
チラシの表紙はルノワール。
印象派は特に好きでもないのでまあどちらでも良いかな、と思ったのですが。
十九世紀〜二十世紀の洋画を俯瞰できるようなので、全体的な流れが掴めたら良いなぁと思います。
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餃子フェスの看板
ゴールデン・ウィーク最終日の五月六日月曜日。
友人に誘われて、大阪城公園で開催されていた餃子フェスに行きました。
こんにちは、和美です。
今回はそんな食べ物感想記事です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. 食べたもの感想
  3. その後
  4. おまけ

1. きっかけ

大学の友人のLINEグループで、突然 「 明日大阪城公園に餃子フェス行く人ー」 と誘われたので、入っていた予定を翌日に延期して行く事になりました。

他の友人との都合で、会場には二時からの待ち合わせです。
…… 餃子ってお昼ご飯なのでは …… と思いつつ、二時からなら混雑のピークも過ぎているだろうという判断はあります。
会場は大阪城公園の中にある太陽の公園広場。
会場は一部を除いて現金が使えません。
支払い方法は、一綴り千五百円の食券、交通系ICカードやnanacoなどの電子マネー、iDの三種類です。
iDは対応しているクレジットカードをスマートフォンでApple Payに登録すれば、通常五百円のファストパスも無料で使えるという一番便利なシステムです。
ちょうど旧職場の給料振込み先として使わされていた三井住友銀行が対応していたので試しましたが …… Apple PayはiPhone SEに非対応という罠に引っ掛かったので諦めて、最寄り駅で入金したICOCAにしました。
nanacoも持っていますが、残金は不明です ……。

家から大阪城公園を調べたところ、なぜか大阪城公園駅を通過した隣の森ノ宮駅が最寄り駅として表示されましたが、会場入り口は大阪城公園駅が一番近いです。

2. 食べたもの感想

餃子フェス食べたもの
先に行った従姉妹が、Instagramの投稿に割り勘で七軒と書いていたのですが。
友人達と別れて並び合いをしていたら、いつの間にか合計五軒も食べていました。
一応食べた順です。
オペレッタ52:鴨餃子
餃子とワイン 果皮と餡:十勝牛の濃厚味噌バター牛カツ餃子
鼎's:羽根つき焼小籠包
麺屋 女王蜂:焦がしネギ香る 濃厚鶏白湯スープ餃子
博多八助:博多ひとくち餃子

香港点心楼のプリプリ海老蒸し餃子も食べたかったのですが、最終日の午後なので完売していました ……。
友人達が狙っていた、近江牛餃子 包王の肉大盛!近江牛餃子は列が伸び過ぎたためか、到着時点で一時販売停止の放送が流れていました。
その後、会場を出るまで再開しないまま。

個人的な当たりは麺屋 女王蜂の焦がしネギ香る 濃厚鶏白湯スープ餃子です。
パンフレットによると大阪府池田市にお店があるようなので、遠いですが行ってみたいなぁ。

最後にティラコッテのROYALミルクティーソフトが食べてみたかったのですが …… お腹に入る余裕がありませんでした。

3. その後

持って行ったマイボトルのお茶がなくなってしまったので、近くにあったローソンでジュースを追加購入しました。
なぜか店内にガラス貼りをして、本物の蒸気機関車が置いてあって驚きました。

ちなみに大阪城公園駅がハローキティと環状線のコラボ中で、パネルが設置されていました。
スタンプ帳代わりに使っているご朱印帳を忘れて押せませんでしたが、大阪城公園駅の記念はんこも欲しかったです ……。

4. おまけ

引っ越し後に部屋の片づけを手伝ってくれた友人の提案で、全員が会場から歩いて家に来る事になりました。
家具の配置もあれこれ悩んだのですが、何も変更出来ず。
ハンガーラック二台はそのうち押し入れに入れようと思いながら、とりあえず床に置いていたのですが。
段ボール箱を出してハンガーラックを入れるという、やる気が出ないと出来ない作業をやってもらいました。
やっぱり人にやってもらった方が片付きますね。
段ボール箱は残り六箱。
引っ越し記事はまた別にアップする予定です。
フェルメール展看板
四月下旬の平日に行く予定が、諸般の事情により休めませんでした。
こんにちは、和美です。
五月十日に行った、大阪市立美術館のフェルメール展の感想記事です。

【目次】

  1. フェルメール展
  2. コレクション展
  3. 次回開催
  4. 現代パステル協会関西展
  5. 水彩連盟展大阪展

1. フェルメール展感想

フェルメール展看板
東京で先に開催され、巡回で大阪に来た特別展です。
フェルメール展と名乗ってはいますが、フェルメールと同時期に活躍した同じオランダの画家の作品も多かったです。
感想。
大阪会場で非出品のため作品目録から飛んでいる番号が全部フェルメールで、 ≪ 真珠の首飾りの女 ≫ も ≪ 牛乳を注ぐ女 ≫ もありませんでした。
≪ 真珠の首飾りの女 ≫ は過去に東京まで見に行きましたが、 ≪ 牛乳を注ぐ女 ≫ は本物を見た事がなかったのでショックです。
大阪初出品を名乗る ≪ 手紙を書く女 ≫ は京都に出ていたので、その煽り文句はどうなのかと思いました。
参考リンク:ベルリン美術館展
≪ 真珠の首飾りの女 ≫ 鑑賞記事。
≪ 手紙を書く女 ≫ は古いため鑑賞記事ありません。

ちなみに ≪ 手紙を書く女 ≫ は和美が多分本物を初めて見たフェルメール作品です。
ミュージアムショップも好みのグッズがなく、その上非出品の作品のグッズがありました ……。
そこのおばはん、恐らく東京で見たのでしょうが、≪ 真珠の首飾りの女 ≫ は大阪非出品ですよ。

大阪初出品の ≪ 手紙を書く女 ≫ も初来日の ≪ 取り持ち女 ≫ も好きではないのでフェルメール展としてはハズレでしたが、ハブリエル・メツーの ≪ 手紙を書く男 ≫ が格好良かったので幸せです。
対になっている ≪ 手紙を読む女 ≫ は今一つでしたが ……。
あとヘラルト・ダウの ≪ 本を読む老女 ≫ も、本物は良かったのですが、絵葉書が別物に見える …… と思いながら買いました。
( 残念ながらよくある現象です )

フェルメールの絵葉書は、兵庫県で開催されていた複製原画展で、盗まれたまま現在も行方不明の一作を含む全種類をセットで買った記憶があります。

2. コレクション展感想

コレクション展看板
コレクション展は中国絵画と仏像でした。
仏像はさっぱり分からないので、感想は中国絵画のみ。

中国絵画を初めてしっかり見た和泉市 久保惣 美術館の印象からか、ピンクの牡丹をイメージしてしまいます。
参考リンク: 中国近代絵画の魅力 展

今回も画家の名前は覚えられませんが、すごく綺麗でした。
どこかで中国の画家の特別展やってくれないかなぁ。
しかし一階のフェルメール展との人数の差が「美術好き」と「ミーハー」の違いだと思いました。
図録も何もないので、気に入った作品名と画家の名前を書いておきます。
≪ 花鳥図冊 ≫ 高其
罌粟けし図 ≫ 王武:添付写真の絵

3. 次回開催

次は浮世絵らしいので行かない予定です。
浮世絵はあんまり興味ない割にはあちこちで見ているので、さすがに良いかなと思います。
…… 時間があったら行くかもしれません。

4. 現代パステル協会関西展

現代パステル協会関西展

地下展示場で 『 現代パステル協会関西展 』と書いてあったので、ついでに見ました。
今回は第三十一回目だそう。
無名画家の公募展なのに有料開催というのは驚きましたが、なかなか綺麗な作品が多くて良かったです。
写真撮影ができるので、気に入った作品を撮っていたら、途中でデジカメの容量がなくなってしまい、慌てて整理しました。
一度も削除した事がなかったのですが、手ブレした写真も残っていました。
添付は奥村 陽三郎 ≪ 影 ≫ です。
…… パステルってすごいですね。

5. 水彩連盟展 大阪巡回展

水彩連盟展チラシ
同じく地下展示場、『 現代パステル協会関西展 』の隣で開催されていた、『 水彩連盟展 大阪巡回展 』 の感想です。
こちらも無名画家の公募展を有料開催です。
水彩の定義が分からなくなる作品ばかりだったのですが、次回募集要項を読む限り、「 水彩 」 絵の具ではなく 「 水溶性 」 絵の具らしいので、アクリル絵の具やポスターカラーなども混ざっているようですね。
「 図録があるなら写真撮らなくて良いやー」 と思っていたら、図録が五回分まとめてしか出ないそうです。
今回は七十八回目なので、次は八十回の時に出るそう。
二年後でしょうか。

会場が撮影禁止だったので、添付は次回募集要項のチラシより、すごく綺麗だった髙沢 郁子の作品です。
前回の作品なのか、今回出品されていた絵とは少し違います。
雰囲気が全く同じだったので連作かもしれませんね。
花鳥風月

京都伊勢丹の館内にある美術館「えき 」 で開催していた、「 京都市美術館 所蔵品展 ー 花鳥風月 ー」 へ、一月十九日土曜日の夜に行きました。
こんにちは、和美です。
Mastdonの美術関係用アカウントでトゥートした文章を元に清書しましたが、手元に図録がないので細かい感想はありません。
……同じ日に東京のムンク展にも行ったのですが、感想記事はありません。

【目次】

  1. 京都市美術館
  2. 感想

1. 京都市美術館

今回の特別展は、美術館がある京都市内にある、京都市美術館の所蔵品展です。
京都市美術館は、二〇十九年内中の再開を目指して、現在建て替え工事のため閉館中。
そんな貸し出し特別展です。
第二回目となる今回は、新春( 年明け )なので、晴れやかな 『 花鳥風月 』 が主題との事。
第一回目は着物美人が主題だったそうです。
…… 記憶にないので、もしや見逃してしまったのでしょうか ……。

京都市美術館は職員の態度が悪くて個人的に嫌いなので、嫌な思いをせずに作品だけを見られるだなんて最高だと思います。
もう二度と開館しなくて良いよとすら思ってしまいます。

ちなみに京都市美術館は、時折ニュースに状況が出るのですが。
建物の外、敷地内にある高さ10m程の立体美術作品を、「 切断して移動させる ( 切断した後繋げられるかどうかは不明 )」 という発言が館長か副館長から出た程に、芸術に対して無知な連中がいるようです。
なお、存命である立体美術作品を作った作家本人から、「 搬入できたのだから移動も可能なはず。作品にはあの高さが必要不可欠。切断しては作品に込めた意味がなくなる 」 と強い抗議も出されました。

2. 感想

竹内 栖鳳せいほうの ≪ 驟雨しゅうう一過 ≫ という雨上がりの鴉の絵が素晴らしかったです。
和美は竹内 栖鳳に限らず、日本画の鴉の絵が全般的に好きな傾向があります。

堂本印象の二曲一双の屏風 ≪ 松楓 和鶴 ≫
鶴に松というよくある画題を魅力ある絵に仕立て上げられる、というのは技術なのかセンスなのか。と疑問です。
和美にはどちらもありません。

「 綺麗だなー。帯とかに良さそうだなー」 と思いながら見ていた、山鹿 清華の ≪ 手織錦大和之薫図 ≫ という刺繍作品は解説に「婚礼用の丸帯」と書いてあり、やっぱりかと得心したのですが、丸帯って何……?という新たな疑問が湧きました。
調べたところ、儀式用に少しだけ残る古い帯の形式だそう。
…… 題名を打って気づきましたが、手織りなのですね ……。

ずっと興味だけは絶えない文人画家:富岡 鉄斎は、出展が ≪ 雪月花茶誌書 ≫ という題名の、二曲一双の屏風に仕立てられた書だったのでよく分かりません。

解説に 「 鈴木派の開祖百年 」 とあり、一瞬 「 百周年 」 の意味に取ってしまったのですが、鈴木百年( という名前の画家 ) の事だと分かりました ……。
鈴木 百年もその子供もすごいですね。
自分の語彙力が足りなくて、感動が伝えられません。
フォーエバー現代美術館
開館一周年が最後の特別展という、京都にあった 「 フォーエバー現代美術館 」 に行きました。
こんにちは、和美です。
行ったのは二月二十四日ですが、図録がないので記憶を頼りに感想記事です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. フォーエバー現代美術館
  3. 美術館の感想
  4. 特別展の感想
  5. 畳と美術鑑賞
  6. その後

1. きっかけ

フォーエバー現代美術館
京都の伊勢丹にある館内美術館「えき」に行って、フォーエバー現代美術館が二月末で閉館だと知りました。
つい最近開館したばかりだったような気がしながらも、東京にあったスヌーピー美術館のように元から期間限定の予定だったのかな、と類推していました。
主な収蔵品が草間 彌生である、という事から常に混雑しているように感じてしまったのですが、閉館する前に行く事に決めました。

ちなみに草間 彌生やよいは、過去に行った 『 LOVE 』 展という、多数の作家作品が出品されている特別展で、唯一写真撮影が可能だった作家、という思い出のために割と好きな作家です。
参考リンク:LOVE展他:美術館三軒

2. フォーエバー現代美術館

上述の通り、「 元から期間限定の予定だったのかな 」 と類推したのですが、一応調べてみました。

二〇十七年六月より期間限定で開館。
登録有形文化財である美術館の建物の賃貸借契約が満了するため閉館。
( 公式サイトより抜粋 )
という事で、予想通り期間限定の開館だったようです。
ただし、

開館一周年記念として、最後の特別展は三室だった常設展示室に二室を追加して、合計五室でグランドオープン。
( 同じく公式サイトより抜粋 )
ともあり、開館一周年で最後の特別展だけ拡大開催という、よく分からない会場でした ……。

いつまで存在し続けるか分かりませんが、一応公式サイトです:フォーエバー現代美術館

なお、写真に撮った挨拶と解説を読み返したところ、秋田県に本館の 『 フォーエバー現代美術館 』 があり、分館として京都に開館したようです。
蒐集家は医者の父と、同じく医者で蒐集も跡を継いだ娘との事。

フォーエバー現代美術館

3. 美術館の感想

時々撮影可能エリアがあったのにも関わらず、デジカメを持って来るのを忘れてしまってショックでした……。
この特別展が閉館記念なので、幸か不幸か二度と来られません。

障子の穴を塞ぐために全面貼り替えではなく、障子を切って一マスだけ貼り合わせているなど、修繕が雑なのが目につきました。
格子天井ではなかったのも後世の改変でしょうか。

4. 特別展の感想

草間 彌生
特別展の題名が 「 草間 彌生 永遠の南瓜 」 とついていた割には南瓜が少なく、草間 彌生の創作活動を俯瞰できる程バリエーション豊かではない、という中途半端な出品内容でした。
個人蒐集の悪い面ですね。
『 自分の代になってからは、草間彌生の活動が俯瞰できるように蒐集内容を充実させた 』 と挨拶にはありましたが……。
出品目録に各章の解説が書かれていたのは良かったのですが、特別展の冒頭に掲示されている挨拶はありませんでした。

全六章の中で唯一、建物の二階に展示されていた第四章が花の絵で割と好みでした。

草間彌生

草間 彌生の作品は大半がシルクスクリーンです。
シルクスクリーンは版画の技法の一種なので、同じ作品が何枚もあり、作品の端に何枚刷ったかの合計と、そのうちの何枚目かが書き入れられています。
( 大抵なぜか鉛筆です。同時に作家のサインも入る事が多い )
展示されていた絵のうち、初期作品は百分の九十番台などの終盤だったのに対し、他の部屋で八分の一と異様に少ない枚数の作品がありました。
その作品は人気が出ないと思ったのか、何となく作らなかったのか、何か他の理由があって枚数が少ないのかが気になります。

南瓜の中では、第四章か第五章に少しだけあった、シルクスクリーンではなくエッチングの作品が好きでした。
ベタ塗りのシルクスクリーンに対し、エッチングは色の濃淡があって、私はぼかした背景が好きだなと思い出しました。

5. 畳と美術鑑賞

冒頭の挨拶文に、「 畳の上で鑑賞できるようにした 」 と書いてあったので、帰る間際に、一階で一番好みだった作品で一度試してみました。
当然、立っている時と目線と座った時の目線の高さは違います。
なのに、作品は立っている時の目線に合わせて展示されていたので、座ると作品を見上げる形になってしまい、長時間は見ていられませんでした。

あと、芸術作品を畳に座って鑑賞するというと、壁に貼るより文机に置いて手元で鑑賞する印象があります。
巻物は文机で少しずつ広げながら鑑賞されていた、と泉屋博古館でも紹介されていましたし。
日本家屋の壁は土で塗られているので何かを貼るには不向きで、壁に貼るなら掛け軸の高さが限界だと思いました。

草間彌生

6. その後

帰りに近鉄電車で嫌な目に遭わされました ……。
という話はさておき。
( 近鉄バッファローズを潰した時から、近鉄には嫌な印象しかありません。だから赤字なんですね )

帰りに、チラシでは見るけどどこにあるのか分からなかった「 京都浮世絵美術館 」を初めて見つけました。
狭いビルの二階なので、かなり小規模のようですね。
余程興味のある告知を見つけない限りは期待しない方が良さそうだなぁ、と思いました ……。

永遠の南瓜
こちらは館内喫茶店で売っていた和菓子です。

昨二〇十八年の十二月十六日、京都市立近代美術館で開催されていた、『 没後五十周年 藤田 嗣治 展 』 に行きました。
こんにちは、和美です。
今さらの美術館鑑賞記事です。

【目次】

  1. 藤田嗣治とは
  2. 洗礼と信仰
  3. 恋愛
  4. 自画像

1. 藤田嗣治とは

藤田 嗣治つぐはるは、ピカソと同じ時代に生きた、日本の洋画家です。
陶器のように白い肌の女性の絵が有名で、 一群の作品は『 乳白色の時代 』と呼ばれます。
欧州で画家としての地位を確立させた後、一度日本に帰国していますが、日本の画壇と相容れず、再度欧州に渡ってそのまま客死しました。
キリスト教信者で、洗礼名から『 レオナール・フジタ 』と表記される事も多いですが、れっきとした日本人です。

2. 洗礼と信仰


藤田嗣治といえば 『 乳白色の時代 』 と呼ばれる白っぽい肌の女性像が最も有名です。
今回初めて見た、晩年にフランスに戻って洗礼を受けた前後辺りが一番好みでした。
藤田嗣治は、洗礼名から作者名を 『 レオナール・フジタ 』と表記される事も多いのですが。
呼び名の知名度の割には、洗礼を受けたのは案外遅かったようです。
キリスト教の絵は自分の信仰心を表すために描いていたという説明もあり、商業的ではないというか。
画家の一生を語る時に分けられる、序盤、最盛期の後にある最後の『 円熟期 』 というのはこういう作品群なんだろうかと感じました。
添付の画像は ≪ カフェ ≫ です。

3. 恋愛

渡仏前に結婚した相手と渡仏中に離婚した後、モデルなど三人ほど交際や事実婚を繰り返しているのですが、最後に選んだのが日本人という辺りに、日本人というか人種の性のようなものを見た気がしました。
いや 「 理想は、アメリカの給料を貰い、中国人のコックを雇い、イギリスの家に住み、日本人の妻を持つこと 」 ということわざがある程なので、理想は理想なのかなとも思いますが ……。

4. 自画像


藤田嗣治は特別好きでもないのに時々見に行っていたのですが。
(好きでもない画家でも、見に行ったらそれなりに好みの作品に出会えるのです)
今回初めて見た、渡仏前の自画像がすごく男前で驚きました。

藤田嗣治といえば、おかっぱ頭に丸縁のダサ眼鏡を掛けた自画像や写真が固定イメージとして有名です。
なので、それ以外の髪型をしていた時があったという想像もつかなかったのですが。
何を思ってあんなダサい格好をしていたのかと不思議です ……。
絵画鑑賞が趣味な父にそんな話をしたところ、「 画業に熱中するために、余計な人が近寄って来ないようにしていたのでは 」という推論が出ました。
( その割には恋多き人でしたが ……)

近年に丸縁眼鏡が流行した理由は、ものすごく可愛い女の子かものすごく綺麗な女性が 「 こんなにダサい眼鏡を掛けても可愛い私 ♡」 という意味で始めたのを、全く可愛くも綺麗でもない人達が真似しているだけ、と聞いたのを思い出します。
( 二次元でも現実でも、縁ありの眼鏡が似合う人はこの世の中に存在しません )

5. 猫


藤田 嗣治は上の写真でも飼い猫を抱っこしている通り猫が好きだったようで、ポスターにも猫を抱いた写真が使われていました。
ただ、特別展のために誰かが描いたらしいイラストの横にいる猫は 「 せめて猫の柄ぐらいは本物に合わせてほしいなぁ ……」と思いました。
最近、特別展に作者や代表作を元にしたイラストが添えられている事が増えましたが、そんなくだらないところに予算を使うぐらいなら、一種類でもグッズを増やしてほしいです。
ちなみに一作だけ、犬の絵も出ていました。
添付写真は ≪ 争闘(猫) ≫ です。
ゴジライラストレーター

実は特撮が好きです。
こんにちは、和美です。
今更ながら、2018年末にルーベンス展と一緒に行った、ゴジラ絵師三人展の感想です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. イラストレーター三人
  3. 感想
  4. 図録と怪獣の描き方

1. きっかけ

ピーテル・パウル・ルーベンスの特別展が東京限定で開催されたので、十二月十日、夜行バスで行きました。
同時期にムンク、ボナールも特別展を開催中だったので、どこに行こうが悩んでいたのですが。
夜行バスの寝不足で体調不良のため、どちらも諦めて、池袋PARCOで開催されていたゴジラ展だけ行ってきました。
ルーベンスは好きなのですが、特別展はイマイチだったので感想記事はありません。
ムンクは後日改めて行きましたが、感想記事は書いていません。

2. イラストレーター三人

正式な特別展の題名は、『 Godzilla Generation 3 Illustrators ー 咆哮 ー』です。
ゴジラの原画を担当された三人のイラストレーター生頼おうらい 範義のりよし、開田 裕治先生、西田 伸司先生の原画が展示されていました。

生頼 範義先生はデストロイアまで の平成vsシリーズと最終作:ゴジラファイナルウォーズのポスター絵を担当。
和美が一番好きな方で、過去にも特別展を見に行った事があります。( 過去記事ありません )

開田 裕治先生は、生頼先生が描かれた絵を元に、子供向けおもちゃのためのコミカルな絵を担当されていました。
映画館のグッズ売り場でよく見た印象があります。
入場特典のグッズも担当されていたかもしれません。

西田 伸司先生は、今回初めて知りましたがデストロイアの後に上映された平成ゴジラ『 ゴジラ vs メカゴジラ 』のメカゴジラ:機龍きりゅうのデザインを担当されたとの事。
脚本のお陰か、過去のメカゴジラとは全く違うキャラクター設定で驚いた思い出が蘇ります。
…… 心を持ったロボットって、時代の流れでしょうか。

3. 感想

生頼 範義先生の金子監督版、平成ゴジラの偽ポスターがあって嬉しかったです。
平成版メカゴジラこと機龍のデザインを手掛けた、西川先生の生原画サイン会が開催されていたのですが、整理券配布終了後だったらしくて残念です。
vs デストロイア以後の平成ゴジラシリーズでは、『 ゴジラ vs メカゴジラ 』が一番好きだったのですけれども。

庵野監督によるシン・ゴジラも、アメリカ版新ゴジラも、虚淵うろぶち氏が脚本を担当したアニメ版ゴジラも、見ていないので見た方が良いんだろうけど ……。のまま放置しています。
先日、ゴジラ中心特撮とアメコミ映画が大好きな大学の友人が、ネタバレ感想でシン・ゴジラが嫌いと書いていて驚きました。

西田先生は生原画サイン色紙が別に販売されていて、『 見ざる、聞かざる、言わざる 』 をゴジラに置き換えたパロディがすごく可愛かったです。
残念ながら完売でしたが ……。

4. 図録と怪獣の描き方

商業ビルの片隅のイベントスペースで開催された、入場無料の特別展でしたが、図録が発行されていたので買いました。

怪獣絵の描き方の本があったので、買わずに立ち読みだけしたのですが。
( 参考書は買って満足するタイプです )

コクーンタワー( 新宿にあるデザイン学校?の校舎 )やスカイツリーなど、「 映画で壊すな 」と言われる建物が増えてきたそうです。
原因がデザインを手掛けた建築家が存命だからなのか、うるさい利権絡みなのかは知りませんが。
( 東京は映画ロケの許可が下りない事で有名 )
特徴的な建物は、舞台になっている場所が簡単に特定できる上、知っている場所が出て来る事で現実と繋がっている雰囲気が味わえて便利なのですよ。
ゴジラシリーズだと、平成vsシリーズの『 ゴジラ vs モスラ 』 で、幼虫モスラが繭を作った国会議事堂が分かりやすいでしょうか。

建物が崩壊する場面の描き方では、「 好きな建物だったので、取り壊される前にスケッチしに行きました 」との解説もあり、日本人は建物も文化財も大事にできないんだなぁ、と思いました。
有名な建物だと、中銀カプセルタワーは残りそうかな、と何となく思っていますけれども。

追記:今検索したら、名古屋PARCOで2019年三月に巡回展があったそうです。
……大阪……には……来ないかなぁ……。原画色紙が再販されたら欲しいです。

最近動く気が起きなくて、美術館に行く予定も遊びに行く予定も逃し気味です。
こんにちは、和美です。
これではいかんと奮起して、四月二十一日、京都の高島屋で開催されていた 『 生誕百年 堀 文子追悼展 ー 旅人の記憶 ー 』 に行って来ました。
そんな美術館鑑賞記事です。

【目次】

  1. 堀 文子
  2. 感想

1. 堀 文子


堀 文子は現代の日本画家です。
巡回展の最中に亡くなったそう。

感性というか構図がすごく女性的というかデザイン的で、非現実というか少し合成っぽいファンタジックな絵柄でした。
風景画の上に、図鑑で調べて描いた植物を付け足した感じで、地面から植物が生えているように思えませんでした。

名前も全く聞いた事がなく、今回の特別展の開催予告で初めて名前を知りました。

2. 感想

全体的にはあまり好みの絵柄ではありませんでした ……。
庭で見つけた蜘蛛の巣や、体調を崩してから始めたという微生物を描いた絵は綺麗で良かったのですけれども。

最初に良かったのは ≪ 浅間厳冬 ≫。
遠くから見た時に富士山かと思った(日本の象徴とか呼ばれるせいで、あまり好きではないです)のですが、題名から察するに浅間山。
近景の隅、葉が散り切った木の枝に止まっている烏が可愛かったです。

≪ 蜘蛛の家 ≫ は冒頭でも書いた、庭で見つけたという蜘蛛の巣の絵。
蜘蛛がやけに彩り豊かでしたが、ぼやけた黒一色の背景に巣の白が映えて綺麗です。

≪ 極微の宇宙に生きるものたちⅡ ≫ も、冒頭で書いた、体調を崩してから始めたという微生物を描いた絵です。
こちらも本物に比べて派手な色彩ですが、逆に宇宙っぽく見えて良かったです。

コラージュ作品のようなファンタジックな雰囲気の絵柄が絵本に似合いそうと思いながら見ていたら、絵本の挿絵も描いていたそうです。
≪ くるみわりにんぎょう ≫ の挿絵が展示されていたのですが、どんな話かさっぱり分かりませんでした。
その前に展示されていた、≪ おたんじょうび ≫ という作品は描かれた女の子の髪型やポットを持ってきたお母さんの雰囲気が古いものの、主線なしの水彩が綺麗で良かったです。
絵本の挿絵としか書いていませんが、定期購読絵本のシリーズでしょうか。

最初が抽象画かな?というぐらいに非現実的な木の絵が出てきたり、徳岡 神泉のようなぼんやりした背景に花だけの絵があったり、中島 千波のような桜があったり、と同じ画家のはずなのに、雰囲気が何度も変わって驚きます。

ポスターやチラシに使われていたこの絵は ≪ 花霞 ≫ 。
桜も絵によって描き方がバラバラでしたが、生家に植えられていたという椿は全体的に安定して綺麗でした。

≪ 幻の花 ブルーポピー ≫ に、高山植物であるこの花を見るため、八十歳にしてヒマラヤに行った、という解説があって驚きました。

絶筆ではありませんが、花の枯れたひまわりを描いた ≪ 終り ≫ の解説に書かれていた、「ひまわりは枯れてこそ実を結ぶ。」が印象に残りました。

最後はNHKのインタビュー映像です。
特別展の映像は長い上に滑舌の良くない人が多いのであまり見ないのですが、字幕があり、時間も短いようなので見てみました。
会場で展示されていた作品も多く写っていましたが、照明が強いのか、異様に明るく補正された絵ばかりで、「 さっき本物を見たけどこんな絵じゃなかった 」 と何度も思ってしまいました。

ちなみに ≪ 幻の花 ブルーポピー ≫ で書いた 『 八十歳にしてヒマラヤまで行った 』 というのは、登山ではなくヘリコプターでした。
BBプラザ美術館の開館十周年記念展

兵庫県立美術館の帰りに、BBプラザ美術館の開館十周年記念展に行きました。
こんにちは、和美です。
前期と後期を見終わったので、まとめて美術館の感想記事です。
BBプラザ美術館

【目次】

  1. BBプラザ美術館
  2. 特別展概要
  3. 前期
  4. 後期
  5. 美術館への要望

1. BBプラザ美術館

BBプラザ美術館とは、兵庫県はJR灘駅、阪神電鉄では岩屋駅の近く、駅から兵庫県立美術館に行く途中のミュージアムロード内に建っている、BBプラザというビルの一階の片隅にある小さな美術館です。
ビルの一階の一角なので狭く、兵庫県立美術館のついでにしか行きませんが、マイナーな画家を取り上げてくれるので、割と好きな美術館の一つです。

2. 特別展概要

今回は開館十周年記念として 『 企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち 』 という題名で、前期と後期に分けて企画展振り返りを開催しています。

会場内に掲示されていた特別展の一覧を見ながら、最初に見た特別展はどれかと思い出してみました。
結果、所蔵品コレクション展の 『 マリー・ローランサン 』 の可能性が一番高い気がします。

3. 前期

過去の特別展で、印象的だったものをいくつかご紹介します。
まずは五月十二日の日曜日に行った前期から。

1. T氏のコレクション

開催時の題名は 『 T氏コレクション ― 内外の近現代絵画と彫刻たち ―』
近畿圏在住の蒐集家T氏が半世紀、五十年間程に渡って蒐集していた所蔵作品を、兵庫県内の四館で合同開催したそうです。
紹介文によると、合同開催した各館で特色を出した、とあり、つまりコレクションが幅広いジャンルに渡るという事です。
BBプラザ美術館では前後期に分けて日本画と版画を展示したそう。
和美も絵画が好きなので本物が欲しいなと思う事はありますが、日本画は欲しいと思った事がないので、蒐集家はジャンルを決めるか広げるかが重要な分岐点なのかなと思いました。

京都近代美術館でも、作家の遺族から「 お好きな物を何点でも 」と寄贈を提案された時、制作遍歴が概観できるように、既に持っていたコレクションに足りていなかった初期の作品を選んだという解説がありました。

2. 石井 一男

開催時の題名は 『 2011年秋季企画展 ― 無垢の画家 石井一男 ― 』
時期的に間違いなく見ていない特別展なのに、なぜか見覚えのある絵柄だったのが不思議でした ……。
コレクション展か他の美術館で扱われていたのでしょうか。

3. 菅井 くみ

開催時の題名は『 パリと日本を駆けぬけた画家 菅井汲の眼差し ー版による色彩と記号のシンフォニー ー』
逸話を読んでいたら、兵庫県立美術館のコレクションに展示されていた人かなと思いました。
コレクションでは 『 ポルシェで高速で走るのが好きで、パリで事故に遭った事がある 』
BBプラザ美術館は 『 渡仏中に(地方名)の高速道路ハイウェイで事故を起こした 』 という書き方です。

4. 後期

五月十五日の水曜日に行った後期から、印象的だったものをいくつかご紹介します。

1. マリー・ローランサン

BBプラザ美術館に初めて来た時に開催していたマリー・ローランサンは後期の期間に含まれます。
開催時の題名は 『 パリに彩られた画家たち マリー・ローランサンとその周辺 』
他館から作品を借りて来る企画展ではなく、BBプラザ美術館の所蔵品で作られるコレクション展なので、振り返り展の対象ではありません……。

ただ、冒頭でも書いた通り、兵庫県立美術館のついでにしか来ないので、その後に開催されていても逃した特別展が何件かあります。

2. 西村 功

このBBプラザ美術館の企画展で名前を覚えた洋画家です。
開催時の題名は 『 シスメックスコレクション 生誕90年・没後10年 西村 功 パリの情景 』
…… BBプラザ美術館のホームページにある過去の特別展の紹介で、記憶と絵の雰囲気が全く一致しなくて困惑していたら、マリー・ローランサンの一つ前に開催していた『 新収蔵品展「―唐代の詩と多重都市の協演―高山辰雄・西村元三朗」 』の西村 元三朗と覚え間違えている可能性が出てきました。
こちらが初めて見た特別展かもしれません ……。
参考: 高山辰雄と西村元三朗展
参考:クラークコレクションと西村功

3. 須飼 秀和

開催時の題名は 『 日本の風景をみつめて 須飼秀和 ふるさとのうた
絵本「うなぎのうーちゃん だいぼうけん」の原画が全て展示されていて、原画で読んだのを覚えています。
うーちゃんがお兄さんに対して抱いていた、自覚のない淡い片思いなのかな、というぐらいの憧れが可愛らしく、また故郷との距離が程よく遠くて良かったです。

新聞連載されたエッセイ『 故郷の風景 』 の挿絵で ≪ 佐野邸の大イチョウ ≫ の絵が描かれた絵が特に気に入って、絵葉書を買ったのを覚えています。
特別展の開催時は絵毎にエッセイも掲示されていました。
感想記事ありません。

4. 熱きドローイング

開催時の題名は 『 拡がる彫刻 熱き男たちによるドローイング 植松奎二 JUN TAMBA 榎忠 』
前期でも似た題名で別のメンバーによる特別展が開催されていた、第二弾のようです。
三期に分かれていて、行った時は既に第三期でしたが、第二期を見たかった!
と思っていたら、ロビーに数点だけ作品が展示されていたのを覚えています。


入場券の代わりに期間中何度でも入場できる缶バッチを販売していて、第一期:植松 奎二と第二期:JUN TAMBAですごく悩みました。
買ったのは一番好きなJUN TAMBAですが、作品が鉄の太い丸鋼を曲げた立体物なのに、缶バッヂはなぜか写真ではなく絵(スケッチ?)でした。
彫刻も立体物も見方がよく分からなくて苦手なのですが、JUN TAMBAは好きです。
参考:熱き男達によるドローイング展

美術館への要望

毎回入場時に作品一覧と共にアンケート用紙を渡されるので、回答しています。
前期:特別展の一覧を紙で欲しいです。
後期:JUN TAMBAをもう一回やってください

まあ一番の要望は、毎回絵葉書を発売してほしい、できれば特別展専用の図録も、というのが大きいです。
あと通年の入場券があったら便利なのですけれども …… 前期の入場券を提示すると後期も無料になる、と聞いていたのにわずか三日で紛失してしまったので、本当に発売されても和美には役立たないかもしれません。

中之島香雪美術館で鳥獣戯画が展示されていると知ったので、三月二十四日の午後、突発で明恵上人の特別展を見てきました。
こんにちは、和美です。
そんな美術館鑑賞記事です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. 中之島香雪美術館
  3. 特別展の感想
  4. 特別コーナー感想
  5. 茶室
  6. 次回開催

1. きっかけ

大阪中之島にある国立国際美術館で、友人に誘われて『 クリスチャン・ボルタンスキー 』 展を見に行きました。
感想記事:ボルタンスキー展
朝から行ったのですが、人も少なかったため午前中に見終わりました。
その後、予定があるという友人と別れて帰るために駅に行ったら、特別展のポスターと共に書かれた 『 国宝 鳥獣戯画も特別公開!』 の文字につられて、初めての中之島香雪美術館となりました。

2. 中之島香雪美術館


美術館の名前に「中之島」と地名がつく通り、兵庫県御影みかげに本館の「香雪こうせつ美術館」があります。
名前の 『 香雪 』 は朝日新聞の創業者:村山 龍平の雅号で、美術館も本人の蒐集品です。
中之島は昨年、一年間を五期に分けて開館記念特別展が開催されていた、出来立てほやほやの美術館です。
第一期と第二期は行きたかったのですが …… 場所を調べ忘れて逃しました!
場所を知ったのが第三期開催期間中で茶器、第四期が仏画、と興味の持てないテーマが続いたのでした。
最後の第五期は絵巻物と書だったようなので行ってみれば良かったと思いました。今。

3. 特別展の感想


特別展は展示替え前の前期で、鳥獣戯画もまだ前期で有名な甲巻でした。
以前京都国立博物館で開催されていた、 『 修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺 』 展で見たような気がします。
過去記事:京都四軒
( 記事を読み返したら、全巻展示のうち乙・丙巻だけを見たようですね。
というか、丙巻もこの時に見たのか ……)

横にあった英訳で甲巻をvolume1と翻訳されていて、『 甲巻 』から想像される『 最大でも四巻 』が出て来ないと思うのですが、ともやもやしました。
鳥獣戯画は甲・乙・丙・丁の四巻あるから一番目が甲巻とついているのです。
他の例では、上巻で始まったら上中下か上下しか組み合わせはないので、最大でも三巻です。
Volume1からでは、何巻で終わるのか見当もつきません。
そんな英語のぼやきはさて置いて。

鳥獣戯画は正式名称が 『 鳥獣人間戯画 』で、丙巻は人間だと今回初めて知りました。
(上述の 『 修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺 』展で見た記憶がさっぱり残っていませんでした ……)
甲乙巻は同じ一枚の紙の表裏を薄く剥がした、『 合いぎ 』 という技術を使っているので同じ年代の同一作者、丙丁巻は別人が描いたというのが定説だそうですが。

ちなみにこの『 合い剥ぎ 』という技術を、和美は立ち読みしたコンビニ漫画(題名失念)で知ったので、名前が出て来るたびにびっくりしてしまいます。

今回の特別展の題名は 『 明恵上人の夢 』 です。
表題の 『 夢 』 とは、明恵上人が見た夢の内容と、その夢から考えた仏教の教えについて書かれた記録です。
実は、告知画像にも黒地に白文字で 『 四十年間、自分の見た夢を書き続けた高僧 』と書いてあります。
夢の記録は十九歳の時から毎日ではないものの、晩年までつけ続けてられていて、遺言では焼き棄てるように、との指示があったそう。
展示は数篇だけですし、莫大な記録の全てを香雪美術館が所蔵している訳ではないのですが。
明恵上人は、高山寺というお寺にとって歴代の住職の中でも重要な人であるはずです。
その意向を無視して夢記を遺したのはさておき、その夢記を売却した(と推測される)事実に驚きを隠せません。

午前中に国立国際美術館で見たボルタンスキー展は映像や立体作品だったので、単眼鏡を忘れても問題なかったのですが。
こちらは絵や書の展示が多く、単眼鏡が必要でした ……。
ガラスに顔を貼り付けて見ていましたが、近眼には限界があります。

明恵上人が重視していた春和夜神しゅんわやしんという神様が繰り返し出てきていたのが印象的でした。

4. 特別コーナーの感想

前述の通り香雪美術館は朝日新聞の創業者の蒐集品です。
なので、創業者である村山 龍平の生涯の解説コーナーがありました。
芸術方面に理解を示す人は基本的に全員素晴らしい人だと思っていますが、高校野球を開催した事に関しては失策としか思えません。
阪神タイガースの本拠地である甲子園から出て行ってくれればまだしも …… とも思いましたが、私が高校野球を大嫌いになったのはNHK(教育)が通常番組を潰して放送するからなのでした。
現地で見るならまだしも、TVで見るのは高校野球好きではなくただの暇人です。

5. 茶室




美術館最後の展示は、本館にある茶室を複製した、展示用の茶室「中之島玄庵」でした。
展示用なので一面の壁がなく、茶室に入らなくても中の部屋が見えるようになっています。
元になった本館にある旧村山邸の茶室「玄庵」は、藪内流家元の茶室「燕庵」を複製して作られたうちの一つで、同じ写しの茶室が合計三軒ほどあるそう。
本来、写しを建てられるのは藪内流の弟子の中でも家元となった人だけなので、家元となっていない村山龍平は例外だそう。
元の茶室「燕庵」が潰れてしまった時、写しの中から一番綺麗に残っている茶室を移築するように、という遺言が藪内流にはあるんだとか。
…… ちなみに元の「燕庵」と美術館の隣に建つ「玄庵」とも同格の重要文化財です。

招かれた客人の付き人が待機するための部屋がある事が特徴だそうですが、茶室はにじり口(と呼ばれる半畳ぐらいの狭い入り口)から屈んで入ったら、そのお茶席では全員が平等、という信念を聞いた事があるので、付き人が待つ部屋があるというのは正しい茶道から外れているように感じてしまいました。
一応、にじり口から入らなくて良いという立場もあるにはありますが …… 具体的な条件は忘れてしまいましたが、褒章受章者などかなり特殊な立場です。
( 文化勲章を受章していても、人間的に素晴らしいかどうかは全く別の問題ですし )

5. 次回開催

本館の香雪美術館は次が能舞台のお面など、中之島香雪美術館の次はお茶の焼き物らしいのでどちらも行かない予定です。
お茶は習いたいですし、すごく興味はあるのですが、茶器でも焼き物はさっぱり理解できません。
本館にある茶室「玄庵」は時々公開されているようなので、いつか行きたいです。
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更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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