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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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兵庫県にある姫路市立美術館で開催されていた特別展「リアル写実の行方」展の感想記事です。
こんにちは、和美です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. 特別展
  3. 所蔵品展
  4. 常設展示

1. きっかけ


リアル写実の行方」展へは、兵庫県立美術館へ怖い絵展を見に行った時に前売り券を見つけて買ったのがきっかけです。
開催期間が終わりに近い事に気づいたので、慌てて行ってきました。

姫路市立美術館は近畿圏の端にあるためか、近畿圏の特別展ではほとんど告知されていないのが時々困ります……。

姫路市立美術館は、白鷺城とも呼ばれる世界遺産:姫路城のすぐ隣にあります。
JR姫路駅から徒歩もしくはバス。
今回はバスに乗りました。


姫路駅にはお昼前に到着したので、何となく姫路駅をうろうろしてお昼ご飯。

2. 特別展


前売り券やポスターに使われている絵は高橋由一の代表作「鮭」が二枚。
……と思っていたのですが、片方は高橋由一の ≪ 鮭 ≫
もう片方は現代画家の磯江 毅が描いたオマージュでした。
写真では分かりませんが、本物の絵では、端に実物の荒縄がはみ出していて、絵に描いてある荒縄と全く継ぎ目が分からなくて不思議でした……。

高橋 由一は京都近代美術館に特別展を見に行った事があるのですが、大量の大きな新巻鮭しか印象に残っておらず。
「こんな絵も描いていたのか」と時々驚きます。
記事は書いていませんが、京都文化博物館で開催されている「絵の愉しみ、画家のたわむれ」展に出ていた絵がすごく綺麗でした。

そして……何となく黒田 清輝と同じ明治時代の画家だと思い込んでいたのですが、江戸末期なので日本で一番古い洋画家だそうです。

写実主義を目指していた高橋 由一ですが、新巻鮭に限っては写実的とは思いませんでした。
≪ 鴨図 ≫ の鴨が纏う羽毛の柔らかさ加減は「目指した場所に到達できたんだろうなぁ」と感じたので、成長過程なのでしょうか。

時代を経るに従い、画壇の傾向は高橋 由一らが目指した写実主義からは離れていったという解説があまり理解出来ませんでした。
非現実的な絵も好きですが、和美は本物は本物らしく描いてほしいので。

写実主義を主題としている割にはあまり写実的ではない絵も出ていたのが不思議です。
以下、印象に残った絵を画家と共に挙げてみます。

五姓田 芳柳 ≪ 婦人画像 於足利 ≫
伝統的な日本の肖像画通り、着物で座った全身を背景なしで描いているのですが、陰影がついているので不思議な雰囲気を感じました。

岸田劉生 ≪ 野童女 ≫
……麗子像ですかこれは。
聞くところによると ≪ 麗子像 ≫ のモデルになった娘の麗子さんはものすごく美人らしいので、岸田 劉生は人物画が下手なのかなと思いました……。
この ≪ 野童女 ≫ も同じく、なぜか後頭部がやけに大きいですしね。

牧島 如鳩はキリスト教の宗教画のように仏教画を描いたそうで。
出展されていた絵も、弁財天が聖母降臨のような雰囲気で描かれていて不思議な感じがしました。
よく考えると釈迦来迎図にも似ている気がしますが……。
キリスト教だと周りは天使(子供)ですが、仏教だと周りは天女(大人)なんだなと今気づきました。

三輪 四郎 ≪ 自画像 ≫
作品自体は普通の洋画なのですが……名前に驚きました。

重松 鶴之助 ≪ 閑々亭肖像 ≫
モデルは三枚目辺りの歌舞伎役者でしょうか。
浮世絵に多い輪郭の特徴を誇張した絵に陰影がついているので、不思議な雰囲気です。

現代画家の上田 薫、一辺2mを超える大きな白い画面に、写真と見間違えるような精密な生卵。
それだけなのですが、大きさとリアルさに驚く絵でした……。
絵画ではスーパーリアリティと呼ばれるジャンルだそうです。
奈良県立美術館で開催される特別展の告知ポスターに使われている、スプーンに乗った生卵の絵の人だと気づきました。
行く予定です。楽しみ!

吉村 芳生は一面のコスモスの絵。
添えられていたコメントがすごかったです。(要約)

私の絵には、特別な技術、才能はいらない。
単純作業である。
小手先で上っ面だけを写す。
自分の手を、目を機械のようにただ動かす。
延々と同じ作業が続くだけである。
一時間に進む量は決まっている。
一定の時間が経てば作品は仕上がるようになっている。
サヴァン症候群や自閉症など、発達障害を抱えた人ってこんな感じなのかなと思いました。

絵とは関係ありませんが、父の実家の苗字で、男系に引き継がれている名前一文字が一致している画家が二人いました。
聞いた覚えはありませんが、父も叔父も絵が好きなので、可能性はあるのですが……親戚かなぁ。
まさか。

3. 所蔵品展

所蔵品展は、新しく美術館のコレクションに加わったという松岡 映丘の下絵でした。
平安時代の女御や戦国時代の武士の絵を描く画家だそうです。
民俗学者の柳田 國男の弟との事。

印象に残ったのが ≪ 室君≫
平安時代ぐらいの屋敷仕えの女性達なのに、すごく気怠げな雰囲気で驚きました。
華やかに描かれる宮仕えですが、疲れる日も休みたい日もあるはずですよね……。
解説によると、正しくは遊女。
第十回の文展で発表され、大和絵に新しい解釈をもたらしたと評価されたそうです。

4. 常設展示

常設展示は近代フランス絵画です。
展示替えすらほとんどないのですが、怖い絵展などに数点貸し出されていたそうです。
ルオー展ちょっとこっち来い。(巡回なし)

そんな展示替えのない常設展示の目的は、バルビゾン派のコローです。
≪ 湖 ≫ という、コロー特有の靄がかかったような木漏れ日の風景画がすごく綺麗で、毎回見に行ってしまいます。

そんなところかなー。
絵葉書はコスモスの絵を描いた吉村芳生のが欲しかったのですが、特別展のは少ないのが残念でした。
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行ったのに書いていなかった美術館の感想記事です。

怖い絵とバベルの塔感想の記事で、

「怖い絵」は兵庫県立美術館で開催。
一度、日曜日午後に行ったら、入場まで二時間待ちと言われて断念。
仕方がないのでB.B.プラザ美術館の特別展を見て帰りました。
と書いた、B.B.プラザ美術館の特別展の感想記事です。



正式名称は『広がる彫刻〜熱き男達によるドローイング〜』という題の特別展です。
……その前に、会場であるB.B.プラザ美術館の紹介を。
兵庫県立美術館と同じ、JRでは灘駅、阪神電車では岩屋駅からすぐのB.B.プラザというビルの一角にある小さな私設美術館です。

マリー・ローランサンや具体派の特別展を開催した事もありますが、基本的にあまり知られていない作家を紹介する事が多いように感じます。

和美はこの美術館に単体で行く事はなく、兵庫県立美術館のついでに寄る事が多いです。
……今度は珍しく、和美の興味が沸く特別展を開催するようですが。

わざわざ行く程ではないですが、行くと興味深く見られる美術館です。

さて、改めて特別展の話。
過去の例に漏れず、今回も全く知らない彫刻家です。
……立体作品が苦手なので、和美はアルベルト・ジャコメッティ、ニキ・ド・サンファル、エドガー・ドガ、ヘンリー・ムーアぐらいしか知りませんが……。

三期に分けて、植松 奎二、JUN TAMBA、榎 忠の三人の現代彫刻家が扱われていました。
……が、行った時期が遅く、三期目の榎 忠しか見られませんでした……。
チラシを見る限りでは、丸い棒状の鉄を曲げて作品を制作する第二期のJUN TAMBAに興味が湧いたのですが。

ちなみにJUN TAMBAの作品もいくつか展示されていたので、少しだけ楽しめました。




入場券は会期中何度でも入れる缶バッジで、今回の榎 忠と見られなかったJUN TAMBAで悩んで、JUN TAMBAを選びました。
が、彫刻の写真ではなく絵のような気がします……。
なんでだ。

一番初めの展示は、カーテンで仕切られた部屋でした。
ネットで話題になったブラックボックス展を思い出して微妙な気分で入ったら、かなり大きな全身鏡があり、作品題名は ≪ 一番美しいもの ≫ でした。
……うん、こういうのすごく苦手。

榎 忠は建築廃材を使って作品を制作しているそうで、建築工場で働く和美は 「 これ梁の端っこだ……」 と複雑な気分に陥りました。
スプライスめんどくさいのに。(発注担当の本音)


隅に置かれていたチョコレートフォンデュのようなタワーが可愛くて、ひっくり返して土台をつけたら机になりそうとか妙な事を考えました。
美味しそう。

最後は再びカーテンの中でした。
美術館の展示室にあるような休憩用ソファがあり、正面の壁はテレビを16×9台程並べて作った画面。
ドライブレコーダーで録画したと思われる、夜の道を走っている光景を、全て数秒ずつずらして上映し続けるという全く分からない作品でした。
……どんな意図だったんだろう。
眼鏡を外してぼんやり眺めていると、万華鏡のようだなと感じましたが。
予告をしたので、美術館の観賞記録です。

【目次】(リンクは繋いでいません)
0.京都国立博物館:国宝(断念)
1.堺市東文化会館:知られざる絆 堺ゆかりの日本画家・松岡政信と杉若義幸
1.5.単眼鏡(別記事です)
2.大丸神戸店:オルセー美術館 至高のリマスターアート

0.国宝


10/15日曜日に京都、大阪府堺市、兵庫県神戸市の美術館巡りを企画して……寝坊のために京都を諦めました。
間抜け!

京都国立博物館の国宝展で四回もある展示替えのうち、初回の展示が十五日までなので行きたかったのですが……。
四回行ける割引前売り券も欲しかったのですが。

1.知られざる絆 堺ゆかりの日本画家・松岡政信と杉若義幸



気を取り直して、最初の目的地:大阪府堺市へ。
実は和美の旧居住地なのですが……政令指定都市という事もあって割と広く、全く知らない地名と駅と会場です。

堺市東文化会館で開催された「知られざる絆 堺ゆかりの日本画家・松岡政信と杉若義幸」
入場無料で市の文化会館、とどめに両方とも知らない画家なので、全く期待はしていませんでしたが……駅で見かけたポスターで興味が湧いたので行きました。

添付にもある、告知ポスターに使われていた松岡 政信がすごく良かったです。

二人の画家の解説。
画壇に出てきた、まだ若い松岡 政信に、当時既に高名な画家だった杉若 義幸が興味を抱いたそうです。
師弟関係は結んでいないものの、松岡が求めると杉若は助言を与える、という関係だったようです。


告知ポスターに使われていた虎も、当初は派手な色彩で非現実的な絵を描いていた松岡に、杉若が動物を描くことを勧めたために描いた絵だそうです。
非現実的な絵もKAGAYAのようで綺麗でしたが、この次に展示されていた動物園のペンギンの絵も写実的で綺麗でした。

杉若は東南アジア系の人の絵であまり好みではありませんでしたが……大家だったというので人気があるのでしょう。
和美が苦手なゴーギャンに雰囲気が似ています。

写真は撮れなかった上に絵葉書なども販売されていなかったのですが。
入場の時に、出展作品が全て掲載されたフルカラーの図録が無料でついてきて驚きました……。

最終日という事もあり諦めかけていましたが、行って良かったです。

1.5.単眼鏡


次が大丸神戸店で開催されていた「オルセー美術館 至高のリマスターアート」展。

……の前に、乗り換え駅の大阪梅田にあるヨドバシカメラで、美術館用単眼鏡を買いました。
こちらは別記事です。
単眼鏡を買いました
リマスターアート展にルーペ付き前売り券の設定があった事がきっかけです。

大丸神戸店:オルセー美術館 至高のリマスターアート


三ノ宮駅にある神戸市立博物館の手前に大丸があるので、存在は認識していましたが……全く入った事がありませんでした。
神戸市立博物館も、時間があったら行きたいけど無理なら諦めがつく、程度の特別展しかないので、滅多に行きませんし。
さすがに今開催中のボストン美術館展は行きますが。


という事でリマスターアート展。
正直ルーペも単眼鏡もいりませんでした……。
美術館に展示されている本物は、作品保護のため手前に線が引かれているので近寄れる限界があるのですが。
複製原画なので、作品を覆う額とガラスにさえ触らなければ大丈夫な距離まで近づけます。
肉眼でもじっくり見えました。

残念だったのが印象派。
リマスターアートは、高画質と言えども所詮は「印刷」です。
モネの雪が降った朝の絵がそうでした。
同じ絵の中にある雪でも、日が当たる場所では解けかけ、影の部分は氷状になっている、と状態が描き分けられているのですが。
筆致が残って立体になっているのに、リマスターアートには原画には存在しない筆致の『影』があって「ここが限界か……」と残念でした。

ちなみに日本公開済み作品と同じモチーフで、別の構図が未公開になっている作品も何点かありました。
……和美は公開済み作品の方がぶっちゃけ好みでしたが。笑。
全く記事を書いていませんが、美術館巡りはそれなりに行っています。

最近は「怖い絵」展、「バベルの塔」展、「知られざる絆」展、「オルセー美術館 至宝のリマスターアート展」を見ました。
とりあえず「怖い絵」と「バベルの塔」から。
「知られざる絆」と「リマスターアート」はこちらの記事です。


「怖い絵」は兵庫県立美術館で開催。
一度、日曜日午後に行ったら、入場まで二時間待ちと言われて断念。
仕方がないのでB.B.プラザ美術館の特別展を見て帰りました。

翌週の土曜日に行ったら、一時間待ち程で入れたのですが……開催前から話題になっていたせいか、質の悪い観客が多かったです。

兵庫県立美術館含めて、和美が行く美術館は限られているのでどこかの美術館の友の会に入会しようかな、と悩んでいるのですが。
友の会の特典によくある入場料の割引より、混雑した時の優先入場権がほしいなと思いました。
前回の特別展の時に前売り券を買って楽しみにしていた和美と、当日に近くのお店で入場券を買って来た人達とを同列に扱わないでほしいです。

展示されている絵は綺麗で良かったのですが、解説の見出しが絵に合わないギャグテイストで興醒めしました。
「お前ももう死んでいる」「けだものだもの」を挙げると、ご理解頂けるかと思います。
ただ、この特別展は、怖い絵とその背景を解説した本が売れた事がきっかけで、その本の作者に企画を持ち込んで実現した展覧会です。
なので、笑えない感性の解説も、元の解説本の作者が書いている可能性が高く……和美が本を買って読む事はないだろうなと思いました。

追記。
たまたま本を見掛けたので確認しましたが、そんな題名は全くありませんでした。
が、学芸員か……?

和美にしては珍しくポスター絵が一番好みでした。
王女が反乱を起こされて、まだ十代にも関わらず処刑される場面です。
隣に立っている男性は、解説によると「優しく誘導する執行人」らしいのですが……処刑台に誘導している時点で、全く優しくありませんが。
背景より絵そのものが綺麗で良かったです。

図録は完売していましたが、再販を郵送してくれるそうなので実家に送りつけました。
無事に届いたようです。


次の国立国際美術館。
バベルの塔は……予想外のハズレでした。
あれだけ大型の特別展だと、一枚ぐらいは好みの絵が見つかるのですが……。
コレクション展の方が全般的に好みでした。
怖い絵には及ばないものの、こちらも大混雑でした。
国立国際美術館は滅多に行かないので、前売り入場券は購入しておらず……。
(クラーナハとピエール・アレシンスキー以来でしょうか)
入場券購入列に並んだのも痛い点でした。
チケットショップをどこかで探すべきですね。反省。

兵庫県立美術館で開催された「ベルギーの奇想」展と似た雰囲気かと思っていたのですが……有名らしい画家:ヒエロニムス・ボス自体に興味がない。
版画作品が苦手なのに多い。(終盤二十作品以上が白黒の版画でした)
バベルの塔自体が見ていて特に綺麗と感じる建物ではない。(装飾のない建物が苦手です)
という理由かなと推測しています。

……ブリューゲルの作品の中に出てくる、魚に食われた人の絵を原型にしたゆるキャラがいたのも一因かと思いますが。
不細工なゆるキャラが和美は大嫌いです。

そんなところかなー。
5/28日曜日、あべのハルカス美術館で開催されていた「マティスとルオー」展に行きました。



本当は前日の5/27土曜日に行く予定だったのですが……開館時間が平日は午後八時まで、休日は午後六時までとは知らず。
天王寺に着いた時点で、開館時間は既に終了していたのでした……。
最終日だよ、おい!

家でだらだらしてしまったので相変わらずの遅出ですが、今度はちゃんと開館中に間に合いました。

さて、目的の美術館です。
ちなみにあべのハルカス美術館は、日本で最も高い商業建築物である、「あべのハルカス」の中にあります。
日本で一番高い建築物:東京スカイツリーから数えると、あべのハルカスは第五位ぐらいに入ります。
十六階にあるので、展望台と美術館だけ止まる高層階専用エレベーターで行くのが早いです。
館内からは一応エスカレーターもありますが、ご飯ついででもないと面倒かと。

美術館と名乗っていますが、一階も占有していない、建物の中の部屋です。
京都伊勢丹にある美術館「えき」と同じぐらいの広さでしょうか。

さて、本題の美術館。
マティスとルオーは、国立美術学校で教授をしていたギュスターヴ・モローの授業で知り合ったそうですが。
生徒が六十人?もいる中でよく知り合ったなとか、マティスが入試に落ちた後の聴講生、ルオーは正規入学って立場が違い過ぎる……。
マティスは一旦就職してから画家を目指した、と略歴に書かれていたので、ルオーと年が離れているのかと思ったら、三歳差ぐらいでした。
(年齢差がある友情だと、本願寺の蓮如上人と禅宗の一休禅師は十九歳差という例があります。一休禅師が年下)

ちなみに出会いの時点では格差があるように見えましたが、この後マティスは正規入学を果たし、ルオーは学校が合わず、モローの勧めで退学しています。
しかも年表によると、後年、同じ年に褒賞を受賞しているので、ほぼ互角の評価だったようです。(図録の年表には見当たりませんでしたが)
ただ、マティスは普通のお葬式、ルオーが国葬、と最期も異なります……。

ルオーと言えば、パナソニック汐留ミュージアムで開催していた「モローとルオー展」に行けなかった思い出が蘇ります。
今回の出展作も、そんな思い出(行った事はありません)のパナソニック汐留ミュージアム所蔵品が多かったです。
特別展自体、パナソニック汐留ミュージアムからの巡回展のようですし。
他には泉屋博古館 別館(先日行った方ではなく、東京にある別館)の所蔵も少し。

さて本題の手紙と絵の話。
手紙はフランス語でした。
翻訳は出来ませんが、何となく読めますね。
サイン以外は割と字が綺麗でした。
館内のあちこちに、二人の手紙から引用した一文が大きく掲示されているのですが。
……展示されている手紙の翻訳文に、その文章が、ない。
手紙の翻訳に(以下略)や(中略)とあるので、翻訳されていない文章があるのだとは分かりますが……。
掲示と手紙の翻訳は一致させてほしかったです。

絵は……ルオーはさすがに絵が上手いなぁと思っていたら、すぐにマティスの画力も追いついて、二人とも割と初期から独特の画風で描いていたのだなあと思いました。

前述のパナソニック汐留ミュージアムに行けなかった思い出から、ルオーのが割と気になっていたのですが……。
全て見て回ると、何度も見に行っているマティスの方が好みの絵が多かったです。
マティスの晩年の切り絵シリーズ「ジャズ」(音楽の意味ではなく、「即興」という意味)なんて、全作を揃えている明石市立美術館の常設展示なので、行くたびに見ているのですが……絵とは違った雰囲気だなぁ。
教会の装飾も手掛けたそうで、映像で紹介されていたステンドグラスはすごく綺麗でした。
見に行きたい。
二人とも抽象画っぽい雰囲気が似合いそうです。

次の特別展は仏像だそうですが、興味がないのでパス。

二回程紛失した近鉄百貨店のポイントカードをもう一度作るかどうかで悩みます……。
なぜか本人確認書類が必要なので、面倒なのですよね。
その割に紛失しても再発行できず、ポイントは全てなくなるのが不思議で堪りません。
それでもICカードなのですよ……。
二度目の小林美術館に行きました。
今回の特別展は「春の息吹と夢見る乙女」です。
こんにちは、和美です。

【目次】

  1. 特別展の感想
  2. 常設展の感想
  3. 一日乗り放題切符
  4. 次の予定

1. 特別展の感想

小林美術館
ポスター
さて、特別展の題名は「春の息吹と夢見る乙女」
春っぽい絵と女性の絵です。
以下、良かった絵の画家と内容です。
橋本 関雪の ≪ 巣鶴 ≫ 雛を見つめる親鶴が可愛い。
中村 岳陵の ≪ 薫春 ≫ と川端 龍子の ≪ 香雀図 ≫ だったかな。
両方とも画風は違いますが、どちらも可愛い鳥と梅でした。
竹内 栖鳳の ≪ 春暁 ≫ 木の幹は好みですが、枝に留まるミミズクはイマイチでした……。
でも、何となく眠そうに感じました。
「春暁」は有名な「春眠暁を覚えず」から始まる杜甫の五言絶句ですので、感想は間違っていません。

竹内栖鳳の隣にあった塩川 文麟の ≪ 蛍と蛙 ≫
塩川文麟は初めて聞く名前でしたが、特別展の白眉。
蛍の灯りが灰色なのは不思議でしたが、おっさんのような蛙が本当にいい感じでした。
説明を読んだところ、塩川 文麟は竹内 栖鳳の師である幸野 楳嶺の師匠だそうです。
上村 松園から上に師弟系譜を辿って行くと、ことごとく好みの絵で驚きます。

大橋 翠石 ≪ 猛虎護児之図 ≫ 虎が恰好良い!
眼光が鋭くて、子供でもやっぱり虎は虎だなぁと思いました。

美人画も出展されていましたが、今回は全く好みと合いませんでした……。
藤田 嗣治は割と好みでしたが、素描のような雰囲気だった上、春らしさは皆無です。

2. 常設展の感想

次は常設展「四季の万華鏡 - 春の足音 -」です。
会場に入って真っ先に目に入ったのが、あまり好きではない中島 千波の ≪ 梅花富士 ≫ だったので少し悩んだのですが、飛ばさずにちゃんと一周して良かったです。

……中島 千波の、特に代表作である桜の絵が嫌いです。
以前えき京都で見た富士山の絵はまだ良かった思い出もありますが……。
当ブログ内記事:美術鑑賞:富士山名品展

常設展は現代画家が多めです。

木村 圭吾の ≪ 花あかり ≫ 枝垂れ桜が幻想的でした。

奥村 美佳 ≪ 風の森 ≫
春らしさどころか季節感の全くない風景画ですが……バルビゾン派のカミーユ・コローのような、幻想的な森の中の道がすごく綺麗でした。
が、説明を読んだら、まさかの日本、奈良市 白毫寺からの風景で驚きました。
しかも2014年の展覧会で発表(入選作)という新しさ。

佐藤 太清 ≪ 牡丹 ≫ 徳岡 神泉 ≪ 芍薬 ≫ と、花の絵は良いですね。

稗田 和穂 ≪ 朧春 ≫
こちらも枝垂れ桜が綺麗だったのですが、右下に浮かぶデザイン的な月が……雰囲気ぶち壊しでした。
月明かりが欲しかったのは分かるのですが、見えない月を想像するのも良いと思うのですよ!

最後が梅原 龍三郎 ≪ 静物 ≫
梅原龍三郎は人物画が絶望的に下手なのですが……花の絵は良かったです。
三月頃にあべのハルカスで開催していた特別展を逃したのですが、やっぱり行くべきでした ……。

特別展、常設展とも著作権の関係上、図録は販売されていないので、絵葉書を二枚買いました。

前回の小林美術館 鑑賞記事はこちら→当ブログ内記事「京都 円山四条派 美の系譜展」

3. 一日乗り放題券

今日は、天王寺のあべのハルカス美術館で開催している「マティスとルオー」展にも行きたかったので、いつもの回数券ではなく、「全線1日フリー乗車券 てくてくきっぷ」を使いました。

表紙です。
よくあるポイントカードと同じようなサイズです。


中身。
銀が貼られていて、使う日の年月日だけを爪で削って剥がして使います。

日付は、iPhoneの予測変換で「きょう」と入力して調べました。
平成二十九年で良いでしょ今日は!
(和暦は年の途中で変わる可能性があるので、西暦の方が便利なのだとは思いますが……)

4. 次回の予定

だらだらしていたので、到着は四時半前。
公式サイトで見てから食べたいなーと思っていた、併設喫茶店の氷くるみ餅は無理でした……。
ラストオーダーは美術館の入場と同じく四時半です。

九月二日まで開催予定の、次の特別展も行くつもりなので、次回に持ち越しですね。
(お盆休みにでも行っておかないと……イベントと引っ越しと重なって逃してしまいそうです)

次こそは氷くるみ餅!


この記事は美術館鑑賞です。

5/21日曜日、京都国立博物館で開催していた、海北かいほう 友松ゆうしょう 展に行きました。
当日が最終日で混雑が予想できるのに、この国立博物館は列形成が下手くそで不快なので、開館時間に到着を目指していたのですが……。
寝坊したので間に合いませんでした\(^O^)/

当日は本願寺(浄土真宗 本願寺派の本山。通称:西本願寺)にある国宝:唐門が、修復のため三十四年振りの開門でした。
開門は午後五時までで、一般開放されるのが午後一時までとの事だったので、一度通ってみたかったのですが……。
僧籍、寺族、門信徒のどれかで別に時間をください(真顔)
(一応どれでも当てはまる)

京都国立博物館に話を戻します。
ごりごりと宣伝を流していた割には入場待機列がなく、比較的快適に見られました。
海北かいほう 友松ゆうしょう は、この京都国立博物館 開館百二十周年記念 特別展の告知で初めて知ったのですが、有名な画家だそうです。

狩野 元信か狩野 永徳に入門、永徳の死後に狩野派から離れた後の、六十代以降の作品しかほとんど残っていないとの事。
資料によって入門先が元信か永徳か異なるらしいですが、狩野元信に入門後、永徳門下に移ったとかではないかなぁと思いました。
(日本画家の上村 松園が、鈴木松年に入門後、幸野 楳嶺門下に移り、幸野 楳嶺の死後は兄弟子:竹内 栖鳳の弟子になっています)

出展目録がA4の紙の裏表だけだったので数が少なく感じてしまい、あまり作品が残っていないのかな、と思っていたのですが。
襖絵や屏風など、壁一面を覆う大型の作品が多く、目録の量より遥かに多く感じました。
ポスターなどに使われた龍の絵は、三枚で一部屋を使われていましたし。

ちなみに出展目録を見ながら作品を鑑賞していたところ、達磨絵など前期のみ出展の作品もあったので、実物を鑑賞できた作品は、目録よりも更に少ないです。

狩野派は年代が下るに従い、装飾的で非現実的な絵柄になってしまっていたのですが。
さすがに狩野派の始祖の直弟子というだけあって、初期の狩野派にあった勇壮な絵柄が残っていて好みでした。
海北友松の真筆と判断されてからは初公開となる初期の絵は、松の幹が真っ直ぐで違和感を覚えていたら、途中はちゃんと折れ曲がった松っぽい松になっていました。
……後年の作品では真っ直ぐの松もまた出てきていましたが……。
盆栽にありそうな松が好きです。

本人の手紙を含め、ちらほらと書も出展されていました。
普段は解説を読みながら「多分これが解説にある文章なんだろうな」と推測しながら眺めているのですが。
たった一人だけ、原稿用紙を下敷きにでもしたのかと疑うほど綺麗な楷書体の方がいて驚きました。
文語体なので、文字が読めても意味が分かるわけではありませんけれども。

一番の見どころは、ポスターにもなっていた龍の絵。
ですが、同じお寺に描かれた消え入るような松の襖絵が、和美は一番好みでした。
襖絵なので、もちろん実際の松よりは小さいのですが、全てを実線で描くより「見えていないだけでもっと上まで伸びている大きな松の木」と、端に見える枝に繋がる枝までも想像させられて、勇壮な松なんだろうなぁとわくわくしました。

そういえば同じ京都国立博物館で見た長谷川 等伯も国宝の松が綺麗で(同じ場所に飾られていた気が……)自分で思うより、松が好きなのかなぁと思いました。
長谷川 等伯は他の絵の方が好みだった記憶がありますけれども。
画題としては梅が好きです。(台無し)

テナガザルの絵が以前大阪市立美術館で見た狩野 山楽に似ていると思ったのですが、長谷川 等伯を含めて、あの時代ののよくある描き方だったようです。

ポスターに使われていた以外にも、龍の絵は大量に出展されていました。
五点か六点あったのかな?

でもポスターの龍がやっぱり一番恰好良かったです。
同じ龍でも「晩年の作品は、勢いは足りないがより荘厳さを感じさせる」とか説明がありましたが、よく分からない。

時間があったので、開催されていたワークショップにも行ってみました。
テーマは、友松の特徴でもある「肥瘦ひそうのある線」を描いてみよう、です。
肥瘦は漢字の通り肥えたと痩せた、つまり強弱のある前回です。
最初が細く、真ん中は太く、また最後が細くなっていて、太い線は体重が掛かっていたり、ボリュームがあったりする部分です。

内容は、出展されていた馬と、酒席の男性のそれぞれの絵で一部の線が消えていて、その消えた線を描いて友松と合作してみよう、との事。
出展作の馬があんまり似ていなかった事と、描ける線が男性は二本(馬は一本)という事で、男性を選びました。
最初の細い線がなかなか難しくて何度も描き直したり、ついでに馬を自力で描いてみたり。
結構時間が掛かって、結局最後まで納得がいかないまま終わりました……。

かなり前に松柏美術館で見た上村 松園の下絵展で、筆であんな絵が描けるのはすごいなぁとずっと感じていたのを思い出しました。

デザインセンス絶無の龍の絵葉書と図録を買って、案内所の人に「いい加減グッズも税込み表示にしてください」とかなり強い苦情を入れて、年間パスポートに悩んでとりあえず辞めて終了です。
美術館と博物館で税抜き表示なんてここだけですし、図録は税込み、絵葉書は税抜きって更に意味不明だし。
(以前からアンケートに書いているのですが、改善されないので直接入れました)
龍の絵葉書は、なぜか全体図と部分拡大の二種類を無理矢理押し込んでいました。
どっちか片方で良いのに。

年間パスポートは国立国際美術館に行った時から入会しようかなと思っていたのですが、京都国立博物館で入会すると、京都府内にある他の美術館やお寺の観光も割引になるそうで。
入会場所によって特典が違うなら、見比べてから入ろうかなと思いました。
……あと、特別展しか行かないのに割引だけというのは得なのか損なのか。
あちこち行っているのに、全く書いていない美術館感想記事です。(最早定型文……)

京都駅にある伊勢丹の中の「えき」で開催していた「芳年」、大阪の国立国際美術館で開催していた「クラーナハ」と、同時開催の「ピエール・アレシンスキー」も書いていませんね……。
三月に行った、姫路市立美術館の「バロックの巨匠たち」も。
グランフロント大阪のピーターラビットは書きましたが。


泉屋せんおく博古館はくこかんは今回初めて知りました。
京都市の東山にある、私立博物館です。
東山駅は国立近代美術館、京都市立美術館、細見美術館と美術館が固まってあるので、割とよく行く場所です。
今年はうっかり行き忘れてしまいましたが、『みやこめっせ』こと京都勧業会館もあります。
細見美術館は、過去に二回程 特別展を逃してしまい、まだ行った事はありませんが……。

今回の目的地である泉屋博古館は、近代、市立、みやこめっせ等とは少し離れた場所にあります。
チラシには最寄り駅である東山駅、蹴上駅から徒歩十五分~二十分となっていましたが、方角が分からなくて結局三十分程掛かりました……。
帰りも迷ったので、バスに乗った方が良さそうです。

泉屋博古館は、政治家の西園寺公望の弟でもある、住友グループの創業者の収集品だそう。
常設展示は中国の青銅器、企画展が今回の目的です。
「楽しい隠遁 山水に遊ぶ ~ 雪舟、竹田、そして鉄斎 ~」という、内容は中国絵画と南画です。
そう言えばちょうど去年のG.W.、兵庫県立美術館で開催された、富岡とみおか 鉄斎てっさいの企画展を行き逃したなぁ、と嫌な思い出が蘇ります……。
(去年のG.W.は引っ越しで忙しかったのです)
富岡 鉄斎は、通っていた芸術大学の授業でを知ってから、ずっと気になっていた画家です。

雪舟は言わずと知れた水墨画家、富岡 鉄斎は中国の想像上の風景を描いた画家。
題名で二人の間に挟まれた「竹田」は、今回初めて知りました。
田能村たのむら 竹田ちくでんという名前の画家です。
和美も勘違いしましたが、「たけだ」ではありません……。
(鉄斎で分かる通り、副題の画家は名前で統一されています)
雪舟は白黒のはっきりした絵、富岡 鉄斎は太い線で描き込みの多い黒っぽい絵、田能村 竹田は細かい描線のほんのりした絵柄……かなと思います。

七賢人とか桃源郷とか、ちゃんと分かっていない事が多いのですが、滝が流れる山奥で隠居生活を送る文人達の絵が多かったです。
とりあえず桃源郷の原作(詩)は、翻訳を読んでみようかなと思いました。

隠居、というと、俗世間の喧騒を離れた印象から、好みは「シンプル・イズ・ベスト」に近くなるのかな、と思っていたのですが……。
出展されていた文具は特に、装飾過多な物が多かったです。
ちょっと高めの宝飾店やアンティークショップの店頭で見かける、「掘り出した鉱石そのままドーン」の置物なら、自然体なのでまだ分かるのですが……。

文具・茶道具は数点「取り合わせ」として出展されていました。
が、説明文に書かれた制作年代がバラバラで、博古館側の選択なのか、画家達が好んだ取り合わせだったのか分かりませんでした。
何も書かれていなかったので博古館側の選択だと思います。

そうそう。
特別展の入り口には、大体主催からの挨拶というか企画意図のような解説があります。
(特定画家の展覧会だと画家の財団、海外美術館だと美術館の館長と大使館辺りも同時にありますね)
その解説が紙でも配布されていて、展示会場に入る手前に置いてある椅子に座って読めたのが便利でした。

特別展はそんな辺りかなー。
会場の外にポスターが貼ってあった、別館の特別展も面白そうだったのですが。
場所を確認したら東京でしたフザケンナ。
京都市立美術館の別館(本館から徒歩十分程)みたいなノリを期待したじゃないですか。

常設展は大量の青銅器でした。
世界でも最も早く全集と解説を出した事で有名らしいです。
が、青銅器よく分からない。

というか、夏(史実がちゃんと残っていないため実在するかどうか不明)、殷(商)、周(西周)、明以外に興味がありません。
ええ、全て週刊少年ジャンプで連載されていた、藤崎 竜先生の漫画:封神演義の影響です。
(明は原作の封神演義が成立した年代です)

とりあえず錫が入った鏡が銀色っぽくて綺麗でした。
……それを【青】銅器と呼ぶのかはさて置きますが。

出展されていたのは大阪と京都ばかりでしたが、青銅器の鏡といえば、地元から出土してくれなくてモヤモヤします。
箸墓古墳は掘り返せませんが、そこから鏡がざくざく出てきてくれたら邪馬台国の畿内説が確定しますね!
……畿内説の唯一にして一番弱いのが、中国から贈られたという鏡が出土しない点なんですよね……。

他の方に学芸員と思しき方が解説していたのを聞いたところによると、鼎の個数は王族が七個、そこから二個ずつ減った奇数個で地位を表すそうです。
「鼎の軽重を問う」という滅多に使われない慣用句の「鼎」は王族しか持てない二個の重さって事なんですかねー。

青銅器は四室ぐらいに分かれていて、あまりにも色味も形も変わらないので、途中をかなり飛ばしました。
最後の部屋が楽器(青銅器なので打楽器)で、試聴があって良かったです。
周りが静かだったら録音したかった笑
(妖怪:オンゲントロ)
復元模型を使った試し打ちもできました。
結局博古館を出たのは閉館後の五時過ぎでした……。
次?の特別展も面白そうなので、また行きます。

結論:もっと早く行けば良かった


京都伊勢丹の「アニエス・ベー 写真コレクション」も、近代美術館の「技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル  ハイジュエリーと日本の工芸」もついでに行きたかったです。(言うだけならタダ)
今回は、住吉鳥居前駅で乗り換えたので、住吉神社の太鼓橋も見たかったです。

引っ越してしまう前に行かないと。

おまけ。
迷った周辺にあった、結構有名な建物らしいです。

4/2日曜日、大阪駅前にあるグランフロント大阪の北館ナレッジキャピタル:イベントラボで開催されていた『ピーターラビット展』に行きました。

……ここ、自分の中ではイベント会場という認識なので、あまり展覧会を開催しないでほしいです。
ビルの地下( 正しくは一階 )にあるイベントスペースというか、大きなホールを無理矢理使っている印象です。
現在も存命の作家による作品ならまだ分かるのですが、ピーターラビットは作者のビアトリクス・ポターが既に亡く、評価がほぼ確定していますから。

……ちなみにピーターラビット展の前は「No.9」
英国美術館で開催された日本漫画の作品展でしたが……、展覧会主題曲の提供者のせいで、行く気を失くしました。
自分が不快になるので、深くは書きません。

過去には「まどか☆マギカ」展、「世界一」展が開催されました。
後日、各感想記事をリンクする予定です。


直前にスターバックスでお昼ご飯を食べたら、意外と財布の中身が怪しい事に気付いて戦慄しました。
そういえば昨日も今朝も買い物に行ったんだった……。

題名は 『 ピーターラビット展 』 となっていますが、原作の絵本を描いたビアトリクス・ポターの全作品を取り扱っています。
ビアトリクス・ポターの名前では、ピーターラビットの作者だと分かり辛いとでも感じたのでしょうか。
……普通は知っていると思いますけれど。

観覧していて気づきましたが、和美はピーターラビットの絵本自体を読んだ事がなく、キャラクターとおおよその設定しか知らない状態だったようです。
挿絵が綺麗ですし、作品の粗筋は側に書いてあるので充分楽しめました。
最初の「ピーターラビットのおはなし」を含めた数作は、挿絵の下に全て本文が書かれているので、読み進めて行けば話も分かりますしね。

最初の展示は日記、だったのですが……。
自作の暗号で書いた日記を、死後ファンによって解読された上、展示会で公衆の目に晒されるって、日記の作者(ビアトリクス)はどんな気分なのでしょうね……。
一応、この展覧会はビアトリクス・ポターの生誕百五十周年記念なのですが。

日記は基本的に、他人に見せるための内容ではありませんし、もしかしたら不満を書いていたかもしれないのに。
( 例外として、アンネの日記は何かに応募する予定があったそうで、本人によって二回ほど加筆修正が行われたそうです。NHK番組『 100分 de 名著 』より )
なお、この暗号を解読した日記は 「 ビアトリクス・ポターの日記 」 として出版もされたようです。

もやもやした気分で始まった展覧会ですが、その後はひたすら、ピーターラビットと愉快な仲間達の話です。

……ピーターって兄妹がいたんですね……。
少なくとも展覧会の出展作品には全く出て来ませんでしたが。
出版社から断られて初版が自費出版だったため、最初から設定が変わっていないようですが、兄が二人もいる必要性が全く分かりませんでした。
……うさぎは多産だと聞いたので、その現実を反映したのでしょうか。
後に生まれた妹は、別の話が描かれたようです。

後ろにいた見知らぬ女性二人組が、ピーターのお父さんについて話をしていたのですが、「 お父さんがパイにされた 」 というのは有名な話だと思っていました。
過去に開催されたピーターラビット展で、特別展コラボメニューとして提供された事もあるそうですよ。
食べてみたかった……。( 酷い )

ちなみにナレッジキャピタルの隣に喫茶店が併設されていますが、今回はコラボメニューはありません。
基本、特別メニューはべらぼうに高いので、今回は懐事情が許しませんが。

単発作品もありましたが、ピーターラビットシリーズを含めて、登場生物達はどこかで繋がっている事がほとんどでした。

出展目録の裏面に二枚の絵があり、作品番号のヒントを元に、文章の空欄に当てはまる名前を答えるミニクイズがありました。
登場生物の相関図でほぼ分かったのですが、筆記用具を持って来ていなかった上、正解が目録のどこにも書いていない不思議……。
名前なんて覚えられません!

原作絵本の対象者である、小さい子供向けのクイズだとは思いますが、展覧会自体、横型の葉書程の小さい原画を、大人が見やすい高さに展示してあるので、原作絵本の対象者と展覧会の対象者が一致していない感覚を受けました。
小さい子供が機嫌を悪くして怒られる場面も見ましたが、抱っこしてあげないと暇だと思うよ、その子……。

片仮名に平仮名の振り仮名が振られた、明らかに子供向けのタッチパネル式の展示も、同伴者に抱っこしてもらう高さに設置されていました。
あと「カラー」って、読み仮名を振っても言葉の意味は分かるのかな。

綺麗な原画とは対象的に、割と酷い話が多かったです。
処女作 『 ピーターラビットのおはなし 』 は、禁止されていたマグレガーさん( お父さんをパイにした人 )の庭に入り、勝手に野菜を食べ漁って、服と靴を失くした上、食べ過ぎでお腹を壊すという粗筋です。
……どう見てもピーターの自業自得ですが。

猫とネズミがお茶会をして、猫がデザートにネズミを食べようとする話や、掛け売りをしていた犬と猫の雑貨屋さんが、売掛金を払ってくれないせいで税金が払えなくて潰れる話とか。
売掛金を払わないって窃盗と同じです……。

作品題名間に挟まる、風景の水彩スケッチがすごく綺麗でした。
絵葉書が欲しかったのですが、最終日のためか見当たりませんでした……。
多分図録には載っていると思いますけれども。

ちなみにビアトリクス・ポターは絵本作家になる前、絵葉書の原画を描いていた時期があったそうで。
という事はつまり、絵本の出版を断られた理由は 『 話 』 なんだろうな、と余計な分析をしてしまいました。

ピーターラビットのぬいぐるみやゲームを自分で作って商標登録をしたため、キャラクタービジネスの創始者でもあるそうです。
図録にはありませんでしたが、会場の解説にあった「 キャラクターの世界観を大切に展開していく、現代のキャラクタービジネスに繋がる 」 の一文に首を傾げました。
( 北の離島にある某VOCALOID会社の 頭 と 耳 がおかしい だ け )

ゲームはすごろくに見えたのですが 「 ピーターラビットのおはなし 」 を元に、ピーターをマグレガーさんが追いかけて、ピーターが捕まったら負け、というボードゲームだそうです。
もう少し詳しいゲームシステムの解説が欲しかったです……。
( ボードゲーマーになれない人の感想 )

ちなみにビアトリクスの画力は、両親から受け継いだ物。
母親の絵はありませんでしたが、父親は他の本から模写したという、動物が描かれた綺麗な絵皿が展示されていました。

中流貴族の家に生まれ、絵の才能を受け継ぎ、婚約者の死には遭遇したものの、他の人と高齢ながら結婚をし、絵本作家として成功を収めたなんて、ほぼ順風満帆な人生を送っていてすごかったです。

特別展本体はそんな辺りかなー。

グッズの話。
図録に、音声ガイドを務めたディーンフジオカがピーターラビットの故郷を訪ねるDVDが付属したバージョンがありました。
金額的に厳しかったので断念して、普通の図録を買いました。

絵葉書は展覧会の感想にも書いた通り、風景画がありませんでした。
「 布だより 」 という布プリントと、普通のピーターラビットの二枚の絵葉書を買いました。

追記。
コラボメニューではありませんが、図録にAfternoon Teaで使える特別券がついていました。
普通に買いたい物はあるので、ついでに食べようかな。

グランフロント大阪にサブウェイがあるらしい事を、入っていたチラシで今知ったので、行けば良かったです……。
観覧券か半券を提示すると割引になるのですが、それとは関係なく、近くにサブウェイがなくて行けなくなっていたのです。
サブウェイって何となく、繁華街とは少し離れた場所にお店があるように感じます。
この記事は、美術館鑑賞の感想です。

はじめに

全く知らない名前ですが、美術館本体に興味があったので行ってみました。
アサヒビール大山崎山荘美術館で開催されている、「ロベール・クートラス~僕は小さな黄金の手を探す~」です。

美術館の場所は、最寄駅のJR山崎駅か阪急大山崎駅から徒歩で十分。
『 高齢者優先 』 となっている無料送迎バスがあります。
ただ体力が衰えただけの高齢者なんかより、もっと他に優先されるべき方達がいる、と思いながら自力で登りました。
……理由は後に判明します。

JRの駅からデイリーヤマザキとは逆側に、線路に沿って歩き、踏切まで行きます。
という最初の方角さえ間違えなければ、分岐点には必ず、アサヒの自動販売機と同じ色の、青くて目立つ案内板があるので迷いません。
運動不足を自覚する健常者は、かなり急な斜面で息が切れました……。

しかも、送迎バス(と車椅子専用の特別駐車場)の乗降場所からがまた長い!
延々と続く、曲がりくねった一本道が辛かったです。
途中のレストルーム(無料休憩所)にある唯一のコインロッカーに、鞄とコートを預けたら少しは身軽になりましたが。
(無料、と書かれていますが、入れたはずの百円玉が返って来ませんでした……)

山荘の歴史

名前の『アサヒビール大山崎山荘』と、近くにアサヒビールの工場がある点から、アサヒビールが酔狂でこんな辺鄙な場所に作ったのだと思っていましたが。
元はアサヒビール創業者の知人でもあった資産家:加賀 正太郎氏の別荘だったようです。
死後転売され、廃墟になっていた山荘を潰してマンションを建てる計画が出たため、京都市と地元住民がアサヒビールに頼んで買い取り。
整備して美術館にしたようです。

大山崎山荘の命名は加賀 正太郎氏ご本人。
加賀氏が山荘の命名を夏目漱石に頼み、夏目漱石が引き受けて案を出したものの、加賀氏がその案を気に入らず自分でつけた、という酷いエピソードが残っています(笑)

という理由で、後から設置されたエレベーターはあるものの、車椅子の方が一人で来るのは困難。
通路が狭く、段差も多い上、全面カーペットなので観覧もかなり難しいと思います……。
後から作られた、本館の雰囲気をぶち壊す新館はエレベーター完備で床も真っ平らですが。(常設展示用。後述)

行き辛さや会場内の展示雰囲気は、春画展が開催された『永青文庫』を思い出しました。
美術館鑑賞:春画展(当ブログ内過去記事)
行きやすさは断然大山崎山荘ですが、三階建ぐらいあった永青文庫の方が大きいです。
永青文庫のようにミュージアムショップ用の別棟がほしいです。

特別展

元が別荘なので順路が分かりにくいですが、一階のやけに立体的な抽象画から始まりました。
その辺りは首を傾げながら見ていたのですが、次に展示されていた、出世作ともなった架空の肖像画シリーズの横顔が全体的に良かったです。
顔が描かれていない分、自分で想像して補えるからでしょうか。
ここは新設された地下室でした。

地下室の後半と二階は全て、代表作でありポスターにも使われていた「カロン」のシリーズ。
模様や宗教画のような絵や文字などを描いた、iPhone7ぐらいの大きさの厚紙を、縦横四枚ずつ、計十六枚を並べて一枚とした作品の連作です。
十六枚の中に一枚、しれっとサインが混じっているのが面白かったです。
サインが絵に同化した作品が好きです。

サイズ的にもiPhoneのカバーに良さそう、と思っていました。

常設展示その1

余談ですが、一階から二階に行く階段に、バルビゾン派の絵が飾られていて興奮しました。
幻想的な木漏れ日の風景画が特徴だと思っているのですが、牛と人もなかなか綺麗でした。

あと二階では浴室も公開されていて、こちらもなかなか綺麗です。
さすがに手洗い場の水桶は、表面の釉薬が剥がれて底面が灰色になっていましたが……。

喫茶店

美術館自体は五時までですが、喫茶店と売店は四時半まで。
という事で、列が出来ていた喫茶店に入ってみました。
特別展の期間限定ケーキセットと、売店で売っていて、買ってみようかと思っていたワインケーキを食べました。
……買いませんでした。苦い……。

つい気になって食器のメーカーを確認したところ、ウエッジウッドでした。
(コップやお皿の裏側に書いてあります)

元は主寝室で、テラス席と中の席が選べます。
……が、見晴らしの良いテラス席が人気のよう。
和美は寒がりな上、前の親子連れがテラス席希望だったので、早く座れる中の席を選びました。
目の前が常設展示の壺でしたが、立体よく分からない。

テラス席から山が三座見えるとの説明を楽しみに見に行ったのですが、現実に引き戻される眺めでがっかりしました。
山の麓に迫る住宅街が、邪魔。

端に飾られてあった、石に描かれた絵二作品の方が余程綺麗です。

喫茶店の出入り口横に有名メーカー製(らしいです。解説より)の壁掛けオルゴールがあり、出た時がちょうど演奏時間でした。
うーん。

常設展示その2

最後は地下にある新館へ。
何をどう間違ったのか、安藤忠雄です。

建築をよく知らない方に、同じくよく分かっていない和美からの解説。
安藤 忠雄は建築家です。
日本の現代建築家では一番有名なんじゃないかなぁと思いますが、兵庫県出身なので、和美がたまたまよく目にするだけかもしれません。
和美がよく行く、兵庫県立美術館もこの人の作品です。
東京五輪(笑)三輪(笑)のメインスタジアムを決めるコンペで 『 アンビルドの女王 』 故ザハ・ハディド女史を選んだ選考委員の委員長です。
この人が設計したら良かったんじゃ。

コンクリート打ちっ放しが好き……なようです。というより、それしか見た事ありません。

という事で、新館もいつもの通り、山荘の雰囲気ぶち壊しです。
が、コンクリート打ちっ放しがこの人の作風なので、依頼した美術館の人選が悪いです。

中はモネの睡蓮が三枚……だったかな?
と、ヴラマンク他三人が各一枚ずつ。(名前失念、作品目録と買った物が行方不明)
モネの一枚は晩年の作品かなぁ。
ピンクではない睡蓮が珍しいです。

一応解説しておくと、モネの睡蓮は大量にあります。
国内では他に、東京都の国立西洋美術館でも常設展示されています。
同じ睡蓮でも、白内障を患った晩年は緑色から橙色などの暖色系で描かれるようになり、睡蓮とは程遠い雰囲気に変わっていきます。

ヴラマンクの空が金山平三に似ていて綺麗でした。
和美は綺麗な青空の絵が好きなのですが、冬の寒そうな白い空も好きなようです。

売店では……特別展の図録がなし。
特別展の絵葉書は、出展作なし。(完売したそうです)
という有様でした……。
泣く泣く、出展されていない(前期出展作かも?)の絵葉書と、所蔵品の図録、山荘のガイドブックを買いました……。

美術館の外

無事に見終わったので外に出ると、出入り口のすぐ横に、加賀氏が特注した泥落としがありました。(使用可能)
……ものすごく目立たないのですが、今でも販売されていそうな普通の形でした。

すぐ近くには茶室。
なのですが……すぐ後ろがコンクリート打ちっ放しとガラス張りの新館なので、写真写りが悪いです。
躙口(お茶席に出席する方の入り口)が見当たらないのが不思議でしたが、当然のように非公開です。
(常時公開されている茶室は珍しいです。多分)(時間・曜日を限定して公開が普通)

そして庭園を散策。
季節柄何も咲いていませんでしたが、なかなかに綺麗でした。
端にある芝生に不細工なうさぎの彫刻があり、「飛び跳ねる野うさぎ」とかいう何の捻りもない題名に失笑しました。
立体よく分からない。

往路はレストハウス(休憩所)から一本道を登りましたが、庭園の中を歩いていくと、レストハウスの少し下側に出ます。
レストハウスでチラシとコインロッカーの荷物を回収。
ちょうどバスが来ていたので乗って帰りました。

美術館周辺

美術館から少し先にある宝積寺というお寺に、鎌倉時代の仏像(重要文化財)があるらしいので見たかったのですが……五時前だったので断念しました。
(お寺の拝観時間も美術館と同じく五時までが多いです)

駅前周辺

駅前には千利休が建てた国宝の茶室(があるお寺)があり、こちらは往復葉書(今時……)による予約制で公開。
近くにある歴史資料館で復元展示が見られると案内がありましたが、五時までなので既に閉館しています……。

すぐ近くにあるお土産物屋さんでホワイトチョコクッキーのお菓子を買いました。
裏面の大山崎の名所旧跡地図が便利です。今。

JR大山崎駅の改札横にある部屋?に名刺サイズの観光案内が置いてあったので、気になった場所だけ持って帰りました。
JR大山崎駅が昭和二年建築と紹介されていたので、慌てて外に出て写真を撮りました(笑)
工事中な上、ずっと人通りがあるのでなかなか撮り辛いです。
裏面には、ホームに京都と大阪の府境を示す看板があると載っていたので、こちらも探して写真を撮りました。
改札と繋がる階段からかなり離れた、電車が止まらない端です。

比較的近いので、余裕ぶっこいてお昼から行きましたが……朝から行けば良かったですorz
山荘のすぐ近くには夏目漱石の歌碑があるなんて今知りましたよ。
(自分用のお土産に買ったホワイトチョコクッキーの包装裏面、大山崎の名所旧跡地図より)
アサヒビール工場も見てみたいですが……ビール飲めない。

次回予告

次回特別展は、夏目漱石の生誕150周年を記念した「漱石と京都」です。
加賀氏が育てていた蘭を描いた画集「蘭画譜」が展示されるそうなので、行きたいなぁ……。
めっちゃ綺麗です。

追記。ぼんやりしていたら逃しました……。
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プロフィール
書いている人:七海 和美
紹介:
更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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