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気ままな一人暮らしの、ささやかな日常
美術鑑賞からプログラムのコードまで、思いつくままに思いついた事を書いています。
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完結まで読み切って集め切った漫画は意外と少ないです。
こんにちは、和美です。

奈良万葉文化館で開催されていた 『 マンガで語る古代大和 ー 学術と創造の融合 ー』 展に行きました。

【目次】

  1. 特別展の概要
  2. 漫画の概要
  3. 特別展の感想
  4. その他の施設
  5. 帰り際に

1. 特別展の概要

特別展の題名 『 マンガで語る古代大和 ー 学術と創造の融合 ー』 からは内容が一つも分からないと思うので、まずは解説です。
里中 満智子先生の漫画 『 天上の虹 ー 持統天皇物語 ー』 を元に、漫画の冒頭部分と史実を照らし合わせて、史実と里中先生が創造した部分を比べてみよう、という話です。
冒頭とは、漫画の主人公である鸕野讃良うののさらら ( 天智天皇の娘で後の天武天皇妃、持統天皇 ) の誕生から、大化改新、白村江はくすきのえの戦いを経て、天武天皇と結婚、皇后として即位するまでです。
……漫画の副題は 『 持統天皇物語 』 なのに、持統天皇になっていませんが……。
持統天皇は、特別展の会場:奈良万葉文化館がある飛鳥ではなく現奈良市で即位するためでしょうか。

2. 漫画の概要

特別展の元となった漫画の話も。
……ごめんなさい完結していたと今回の特別展で初めて知りました。
副題の通り持統天皇の伝記ですが、一巻の後書きによると、『 万葉集の漫画 』 らしいです。
和美が知ったのは二十年以上前。
単行本の七巻だけフリーマーケットで古本を他の漫画と共に買ったのが出会いで、そこから時々思い出したように読んでいました。
十年近く前に単行本版を読んだ時に 「 連載雑誌が休刊して何度も移転して今は描き下ろし連載です 」 というような後書きに驚いたのが最後でしょうか。
今回は会場の資料室に漫画があったので一巻から読み返しましたが、閉館時間までに読み切れませんでした。

3. 特別展の感想

特別展は概要でも書いた通り、漫画の中でもごく初期の部分、七巻の途中で大海人皇子おおあまのおうじが天武天皇として即位するまでです。
特別展の副題 『 学術と創造の融合 』 をテーマに、漫画の一場面を抜き出して、漫画の解説と史実との違いを書いてあって、あちこち驚きました。

まずは大海人皇子が額田王ぬかたのおおきみと結婚したという史実はない、という解説。
作中では大海人皇子と額田王は一度は結婚。
その後、額田王は要請を受けて天智天皇に嫁ぎますが、天智天皇が崩御。
後を継いだ子供が失脚した後、額田王は天皇に即位した大海人皇子=天武天皇と結婚するのですが……。
今後遺跡の発掘調査などで文献が新しく発見されて二人の結婚が否定されると、物語の筋が大きく変わってしまいそうです。

天智天皇と結婚している額田王と大海人皇子が、天智天皇の前で和歌を披露する場面があります。
その和歌が残っていて、酒宴の席の戯れなのか、実際に不義密通があったのかという二種類の解釈があり、作中では両方が成り立つように描かれていました。

恋愛と言えば、万葉集に二首しか残っていない、反逆の罪で亡くなった有馬皇子ありまのみこと主人公の讃良さらら(後の持統天皇)の悲恋も漫画の中では大事な場面として描かれていますが、こちらも想い合っていたという史実はないそう。

和歌の名手として後年まで名前の残る柿本人麻呂が 『 歴史書には名前が出てこない 』 というのも驚きました。
……確かに国語で習ったのは覚えていますけれども。
作中で 『 有馬皇子と顔が似ている 』 と讃良が言っているのは伏線かと思っていましたが、違いそうなのが不思議です。

余談も一つ。
……讃良がいつの間にか年下だと気付いて驚愕です。
天武天皇の即位に伴って皇后になった時点で二十九歳だそう。
一般に成人年齢が早いと精神面の成長も早く、教育のしっかりした天皇家に生まれ育ち、幼くして母親を亡くし、十二歳で嫁いでいるので老成しているように感じられるのは普通なのですが……。

特別展はそんなところでしょうか。
図録もないのに写真撮影も禁止だったので、記憶に頼るしか出来ません。

4. その他の施設


会場である奈良万葉文化館の施設の話でもと思いましたが、地下にある一般展示室はあんまり面白くなかったので特に書くこともなく。
ミュージアムショップに図録はなく、仕方なくクリアファイルを買いました。
…… 『 姫が行く!』 が里中 満智子先生だと初めて知りました。
『 天上の虹 』 と一緒にフリーマーケットで買った古い漫画のうちの一冊です。
カバーは捨てたのか紛失しましたが、漫画は今も実家にあります。

缶筆箱の方が好きな絵柄が多かったのですが、実用性を考えるとクリアファイルですね。
いや絵葉書を発売してくれれば図録代わりに全種類買ったのですが。
万葉文化館の常設展示図録も買いました。

5. 帰り際に

庭が綺麗でしたが、閉館時間の五時半になってしまったので鑑賞は断念しました。
サルスベリと何かです。
写真は省略しますが、歌碑もありました。



近くのお土産物屋さんは四時に、隣接する資料館は五時に閉館という酷さで何も出来ず……。
一時間に一本のバスで帰りました。

もう少し暑くなければ、一応徒歩圏内らしい石舞台古墳や飛鳥寺辺りに行ってみたかったです。

最後は奈良駅で撮った、『 なら燈花会とうかえ 』 という観光客を呼ぶためだけの迷惑な催しの写真です。

税金は湯水のごとく。
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この記事は美術館鑑賞の感想です。



大阪文化館・天保山で開催されていた 『 はがね錬金術師れんきんじゅつし展 』 が、巡回で神戸開催と知ったので、最終日の七月八日に行きました。

【目次】

  1. 初めに:漫画の紹介と感想とか
  2. 神戸ゆかりの美術館
  3. 特別展の感想
  4. 余談

1. 初めに:漫画の紹介と感想とか

はがね錬金術師れんきんじゅつし 』 は、少年ガンガンで連載されていた漫画です。
錬金術が特殊能力として使われている世界で、架空のアメストリスという国を舞台の中心にしたファンタジーです。
アニメ化は二回、連載終了後に実写化されました。
今回の特別展は、実写映画化記念として開催されたものを原画を中心に再構成されました。
実写映画化記念は東京、大阪開催分のみで、その後の神戸、次の北九州市開催分は再構成版です。
京都に来るかなぁ。

一回目のアニメの最後にあった映画も酷かったのですが、二回目のアニメで声優さんの大半が入れ替わったので予告編で切り捨てて全く見ていません。
大佐は大川 透さんしか認めません。
( 病気復帰おめでとうございます )

実写映画化は、単行本の後書きで挙がっていた妄想キャストと一人たりとも一致しなかったので見ていません。
及川 光博さんの大佐が見たかったです。

最近の原作者:荒川 弘先生については、実写化のニュース感想で見た、「連載終了後に生まれた二人目のお子さんに障害か重い病気でも見つかったんじゃ」 という邪推に納得せざるを得ません。

気を取り直して漫画の感想。
話は面白くて好きでしたが、失礼ながら絵は上手いとか思いませんでした。
イベントの無料配布漫画で大阪開催分の感想を読んで行きたくなっただけです。

漫画では、語ってほしかった話がいくつか。
名前すら一度も出て来ませんでしたが、イシュヴァール戦の引鉄を引いた穏健派将校は誰なんでしょうね。
マスタング大佐の実の父親では、という説を聞いてからずっと気になっています。
( マダム・クリスマスは養母 )
あと単行本に載っていた予告漫画を読んでから気になっている、最後のゲームのノベライズが見つかりません。

2. 神戸ゆかりの美術館

こんな名前の美術館で開催されましたが、原作者の荒川先生は神戸出身ではありません。
北海道の酪農家出身という話がファンの間では知れ渡っています。
……どんな所縁があったのでしょうね。

美術館は魚崎か住吉から六甲ライナーに乗り換えた人工島にあります。
神戸ファッション美術館と同じ建物。
この美術館は展示替えのため休館中だったのでがっかりしました。
常設展に興味があったので行きたかったのですが。

3. 特別展の感想

感想。
美術館の職員の態度悪過ぎ。
もう二度と行きたくない。

特別展のグッズには、個数制限をされている物がいくつかあります。
その個数制限を管理するため、だとは思いますが……会計は半券一枚につき一度きりで、会計時に半券の裏にハンコを押されました。

和美は、混雑する特別展では完売を防ぐために先に図録やグッズを買う事があるので驚きました。
今回はリターン式コインロッカーに使うための百円玉がないという理由でしたし。
過去に何度か漫画アニメ系の特別展に行った事がありますが、そんな事をする特別展なんて一度も見た事がありません。
(バブルジャンルには行った事がないのでたまたまかもしれませんが……、ジブリ、ディズニー、ピーターラビット、魔法少女まどか☆マギカ、絵師100人展、カードキャプターさくら、黒執事のとぼそ やな展もそんな頭おかしい事はやっていません)
たまたま会場内で半券を拾ったので、しれっと二回目の清算をしましたけれども。

そしてチケット購入。
手元にあった小冊子 『 阪神沿線ミュージアムガイド 』 で団体料金になると書かれていたので提出したところ …… 通常料金を請求されました。
詰問したら、優待券一覧を見て先輩らしき隣の職員に確認を取ってようやく割引が効きましたが……教育が終わっていない新人を一人で置くな。

音声ガイドは、エドワード•エルリック役の朴 璐美とアルフォンス•エルリック役の釘宮 理恵だけなので借りませんでした。

…… 特別展は実写化記念の企画だったのに、音声ガイドがアニメ版の声優さんというのも不思議ですね。
原画展に来る、アニメ版が好きで真っ当な神経をしたファンは実写映画なんか見に行きませんよ。
映画の続編の企画はどうなるんでしょうか。


原画展……。
参考資料は楽しかったのですが、やっぱり絵が上手いとは思いませんでした。
あと枠外を全く描いていなくて驚きます。
腕とか髪の毛とか、枠外だからって途切れるんだ?
背景に紙の白がそのまま残っているのも不思議でしたが、そこはイラストだからでしょうか。
(古典美術ではご法度です)

参考資料で、シン組が使っている武器が苦無クナイではなくひょうという中国の投擲とうてき武器だと知りました。
形はほぼ苦無と同じですが、持ち手に紐を通す穴が空いています。
用途は日本の手裏剣だそう。

過去に所用で調べた事があるのですが、苦無は武器ではなく、壁を登る時などに使う道具です。
投げて当てればそれなりに怪我もさせられるかとは思いますが、本来の用途ではありません。

原画には、原稿用紙の裏面が一枚のみならず展示されていると思い込んでいたのですが、全くありませんでした。
荒川先生は裏面に落描きやキャラクター設定を描く事が知られています。
単行本のカバー下もトイレの四コマもありませんでした。

参考資料はあったのに、漫画系特別展によくある、過去発売グッズの総覧もなくてまた驚きました。
第一期アニメの頃に発売されたミニ六穴のシステム手帳は今も職場で愛用しています。

マスタング組が並んでいる扉絵の原画では、みんな予想外にスタイルが悪くて驚きました。
軍服だから短足に見えたのかなぁ。
大佐とリザさんって意外と身長差ないんですね。

カラー扉絵のコメントに、二回も 『 仕上げに雪を降らせる予定だったのに忘れた 』 と描かれていたのですが。
原画集の発売時や原画展開催決定の時にでも追加すれば良いのに …… と思いました。

カラーイラストの線画を鉛筆で描いている時期が長くて、勢いのある絵でも線画がぼやけるので綺麗に見えないのかなぁ。

最終回周辺の原画を見ていると、大佐とホーエンハイムが初めて会った時に何もなかったなぁとがっかりした事を思い出しました。
ホーエンハイムは、兄弟が人体錬成という禁忌を犯した事について、ピナコに 「 なんで誰も叱ってやらなかったんだ 」 (自分はどう叱って良いのか分からん )と話しています。
兄弟の過ちを叱ったのは、作中で大佐ただ一人です。
ホーエンハイムと大佐が出会ったら、そんな話が出て来るかもしれない、という話を同人小説で書いた事があるのですが。
同ネタ多数と思っていたのに、結局一度も見かけた事がありません。
第一期アニメ放送中(最盛期)にはまだジャンルにいなかったためでしょうか。

そんな記憶から、イズミさんと大佐の顔が似ている事から兄妹(姉弟)説があった事も思い出しました。
(ロイズミ党 同盟 で検索したらまだ出るはず?)
ただ単に荒川先生が描き分けられていないだけだと、当時から思っています。
ちなみにイズミさんが結婚しているので苗字は違って当たり前です。
……上述の原作の感想で触れた、大佐の父親 = 穏健派将校説を採用すると、別々に引き取られた可能性もありますね。
ちなみに同盟では大佐が兄でしたが、大佐は二十九歳〜三十歳。
イズミさんは兄弟の事を 「あの子(亡くなったイズミさんの実子)が生きていたらあれぐらいの年齢かな 」 と話しているので、大佐よりイズミさんの方が年上だと思います。
豆つぶと大佐だと年齢差がおかしくなりますから。


最後に、描き下ろしポスターの製作風景映像が流れていました。
図録の特典についている三十分のDVDを四分にまとめたものだそうです。
大佐の顔が初登場時より童顔に描かれている事に気付いて嬉しかったのですが(作中でどんどん面長になっていくのが嫌でした)
つまり絵が安定していないという事でもあるのですよね ……。
中盤に過去話(イシュヴァール戦)があるので、年齢による変化ではありません。

描き下ろしポスターと同じ構図でホムンクルス組版も描かれていましたが、……セリムそこ?(エドワードの位置)
そして改めてポスターの人物チョイスが全くの謎ですね。
アームストロング少佐は荒川先生の好みで選んだのでしょうか。

そんなところかなー。

個数制限があるブラインド形式のグッズは、嫌いなエンヴィーが当たらなくて良かったです。
キーホルダーでは無事に大佐を引き当てましたし。

4. 余談

時間があるので小磯 良平記念美術館に行こうかと思いましたが、体力切れと懐事情で諦めました。
一万円以上買うとか思いもよりませんでしたよ。
六月も下旬になりましたが、G.W.に行った美術館の鑑賞記事を今更アップします。
図録を買ってからか、せめて展示目録を見ながら書きたかったのですが……。



G.W.も終わりかけの五月五日。
大阪は中之島にある国立国際美術館で開催されていた、『トラベラー まだ見ぬ地を踏むために 』 展に行きました。

現代アートに限らず、映像作品が苦手です。
こんにちは、和美です。

【目次】

  1. きっかけ
  2. 至点
  3. 茶色
  4. 記録集
  5. 映像作品 1:ジャコメッティ
  6. 映像作品 2:無音
  7. 映像作品 3:その他
  8. ポスター作品
  9. 大阪シンフォニー
  • 余談 1:中之島香雪美術館
  • 余談 2:特別展内容

1. きっかけ

国立国際美術館の今回の特別展はあまり心惹かれる内容ではなかったのですが、『 開館四十周年記念 』 の副題につられて行きました。
五月五日は土曜日、金曜日と土曜日の夜に実施されている延長開館の恩恵を受けました。
ありがとうございます。

2. 至点

写真撮影ができる作品が何作かありました。
一作目は、Instagramの公式アカウントで繰り返し投稿されていた作品。
写真ではガラスか何かを重ねて展示されているのかなと想像していたのですが。
50cmぐらいの間隔で並べられた自動ドアに作品が描かれている作品です。
当日予約制で通り抜けもあったのですが、行くのが遅くて参加出来ませんでした……。

3. 音声

その次に展示されていた作品は、所蔵品の作家百五十人以上から集めた生音声でした。
展示室で学芸員の方から音声ガイドのような再生機を借りて、壁に貼られた作者名と題名を見ながらひたすら聴くという鑑賞方法です。
一人何分という制限時間もないらしい上に、日本語以外にも英語や中国語やフランス語だかイタリア語だか分からない言語が翻訳もなく入っていたので、二十人ぐらい聞いたところで全員を聴くのを諦めたのですが。
(他の方に 「 全員分聴くと二時間程掛かる 」 と説明しているのを耳にしました )

音声作品の中に 「 Natural 」 という題名で、水の音などの自然環境音を提供した人がいました。
ただ、借りた再生機がすごく音質が悪くて、自然とは程遠い、耳につく機械っぽい音になってしまっていまして。
この音は作者の意図するところではないんだろうな……と思いました……。
音楽でも、CDや配信やYouTube転載などで音質が変わったのを聴いて 「 こんなの俺が作った曲じゃない!」 と憤慨する作者もいるのでしょうか。

4. 茶色

こちらも写真撮影可能作品でした。
意図がよく分からないのですが綺麗でした。
これのすぐ近くに展示されていた、同じ人の立体可動作品に色々考えてしまいました。
膝をついた人の形をした針金が、中心の棒から伸びる糸で結ばれていて、円形の台座が回ります。
針金の人は糸からは逃れられないのに、中心の棒に糸が引っかかって立ち上がれそうなのに立てない状態です。
糸が縛られた運命、台座が環境を象徴して、自分の上手く行かない人生に重なりました……。

5. 記録集

一般の方が作った、前衛芸術の特別展を記録した作品集がありました。
『 アンデパンダン展 』 という前衛芸術が好きで、特別展を見に行ってから二年間、関係作家の画廊の写真とメモを取り続けた記録集だそうです。
いつ開催されたか分からなくなっていた特別展や、写真でしか残っていない作品などがあるそうです。
三冊中二冊が本人作品で、最後の一冊は記録を元に他の方がまとめたのですが。

ご本人がメモ魔を自称する通り、ちゃんとメモや記録に残せる性格が羨ましいです。
いつ行ったか覚えていない特別展が多いので、可能な限りブログ記事に残したいのですが、それすらままならない状態です。
最近はMastodonの美術館専用アカウントで当日にメモだけは残していますが……。

6. 映像作品 1:ジャコメッティ

この後の作品は、近代芸術を専門に収集する国立国際美術館の真髄を見た気がしました。

映像作品は良さが全く理解できなくて嫌いです。
アルベルト・ジャコメッティの恋人だった人の子供のインタビュー映像なんて、芸術作品とは思えませんでした。
( 資料的な価値はあるかと思いますが…… )
ジャコメッティではない他の彫刻家だったら見なかったな、と思います。

7. 映像作品 2:無音

上述の通り映像作品は苦手なのですが、無音のシリーズはすごく良かったです。
『 無音の合唱 』、『 無音の獅子舞 』、『 無音の弦楽四重奏 』 の三部作です。
まずは 『 無音の合唱 』
声にならない声で合唱しているのですが、楽譜にはどんな指示が書かれているのでしょうか。
次が 『 無音の獅子舞 』
……獅子舞って元から喋ったり吠えたりする印象がありませんが。
本物の獅子舞は機会がなく見た事がなかったのですが、映像では二体の獅子舞が二台並んだ平均台や机の上に飛び乗って踊っていたのがすごかったです。
中の人は、体型的には小学生か中学生ぐらい。
下半身だけ獅子舞の足の衣装を着ていたので、飛び上がった時などに上半身が見えて現実に戻ってしまうのが残念でした……。
全身着ぐるみだったら没頭できたのに。

最後が 『 無音の弦楽四重奏 』
弾いているフリ、だったかな……。
記憶が既に曖昧な上、上記の二作品の印象が強烈です。

8. 映像作品 3:その他

長くて疲れてきたので途中で離脱したのですが、鷹?が笛の音に反応する作品も印象的でした。
あと女性が楽器を弾いている場面を拡大して撮影した作品も。
何がやりたいんだろう……?と不思議です。

床に穴が開いていて、その穴から人が出てきたりした映像作品もありました。
写真が鑑賞券に使われていましたが、何だったんだろう。

9. ポスター作品

ポスターに使われていた作品は、天井から謎の石がぶら下がっているだけ …… だったのですが、パフォーマンスの時間が書かれていたので何かあったのでしょうね。

10. 歌

歌詞が全く分からないアカペラの歌がずっと響き渡っていたので、何かの作品なんだろうなーとぼんやり思っていたのですが。
女性学芸員の方(なのかな?同じ服装でした)がマイクもなしに生で歌声を披露されている事に途中で気づきました。
作品名は不明なままですが …… 音楽も芸術の重要な一分野ですね。

11. その他

他に印象に残っている作品を挙げておきます。
・小説を暗記する
事前応募制で、二時間程掛けて学芸員の方から教えられた一本の小説を暗記するという鑑賞者参加型の作品がありました。
和美が行ったのは会期終了前日だったので募集も当然終わっていたのですが …… どんな小説なのか、覚え切れなかった参加者はいたのかが疑問です。

12. 大阪シンフォニー

最後に体験しましたが、これは何度でも行きたくなりました。
入口で貸されるiPhoneとヘッドホンをつけて10m程の廊下を歩くと、床の場所によって様々な音が聞こえてくるという作品です。
カメラのレンズ部分は隠さないでくださいとの注記があったので、カメラで位置情報を取得しているのでしょうか。

交響曲シンフォニーという名前の通り、歌舞伎のような声から始まり、活気のある市場、雨の音、子供達が遊ぶ声、道路を走る車の音、と大阪らしい音が楽しめました。
音が切り替わる場所を探してみたのですが、結局分からないままです ……。

13. 余談 1:中之島香雪美術館

今年二〇一八年の二月に新しく開館した 中之島 香雪 美術館ってどこにあるんだろうと思っていたのですが。
国立国際美術館と同じ肥後橋駅だった事に、帰りに気づきました。
(特別展の広告看板に 『 美術館はこちら 』 と書かれていました)
場所を調べていなくて逸してしまった開館記念特別展は、国立国際と併せて行けたんじゃ …… とショックです。
開館特別記念展は約一年間に渡って開催されているのですが、第一期がコレクション展、第二期はきんを使った作品のようなので第一期に行きたかったのです。

14. 余談 2:特別展内容

帰り道にぼんやり考えていた事その二。
国立国際美術館の収集・所蔵・展示品は、開館当時から 『 国内外の現代美術を中心とした作品 』 と決まっています。
イギリスで 『 No.9 』 (九番目の芸術 )と呼ばれている 『 漫画 』 がないよなぁと思いました。
特にどの作品をという希望はないのですが、グランフロント大阪のイベントスペースで開催された特別展 『 No.9 』 をここで開催してくれていたら良かったのに、と思いました。
テーマ曲が大嫌いで見に行けなかったのです。

この記事は、美術館鑑賞の感想です。

1/21日曜日、こみっくトレジャーの帰り、大阪市立美術館で開催されていた 『 ディズニーアート展 ≪ いのちを吹き込む魔法 ≫』 に行きました。
今更ながらの感想です。
こんにちは、和美です。

【目次】

  1. 入場まで
  2. 感想
  3. ミュージアムショップ

1.入場まで

節約のため、近くのチケットショップで鑑賞券を買ったのですが……。
最終日のためか、会場ではチケット購入が長蛇の列を形成していて、先に買って良かったと心底思いました。

会場内では、マナーの悪い観覧者が多くて驚きました。
スマホで写真を撮っている人がいたので、「 ディズニーだから写真撮影もできる展覧会なのかな?」 と思ってしまったのですが、少し考えると 『 ディズニーだから駄目 』 なのですよね。
(入口に写真撮影禁止と書かれていました )

美術館では、作品の手前の床に白いテープを引いて 「 ここから後ろに下がって見てください 」 という基準線にしてあるのですが、それも守っていない人が多かったです。
後日、あべのハルカスで開催されていた 『 ジブリの立体建造物展 』 にも行ったのですが、もう一般人向けの軽い特別展には行かない方が良いのかなと思いました……。
(ジブリ展も感想記事を書いていません)

2.感想

図録が完売してしまったため、記憶を辿りながらの感想です。

ディズニーと言えば著作権にうるさい事で有名ですが。
そのきっかけとなった、他社に版権を取られたという黒い耳のうさぎ 『 オズワルド 』 は版権を買い戻したのでしょうか。

火山のマグマが映る場面のために、水面から噴き出る泡をスケッチする映像がありました。
( 作品名不明 )
スケッチをする三人とも描く場面は違うのですが、三人ともが迷いのない線を描いていたのでやっぱりすごいなぁと思いました。
和美は実はジブリもディズニーも大して好きではないのですが、ジブリは絵が上手いと思った事がないと今気づきました。

ウォルト•ディズニーが単独で立ち上げたアニメ会社だと思っていましたが、設立当初はディズニー兄弟となっていたそうです。
兄弟はどこに消えたのでしょうか……。

アニメのためにディズニーが開発したという 『 マルチプレーンカメラ 』 がすごかったです。
アナログ時代のアニメでは、画像ソフトのレイヤーのように一番後ろに背景を固定し、前面に置いた複数枚の透明な板(セル画)にアニメの絵を描いて一コマずつ撮影した写真を高速で入れ替えて動いているように見せかけます。
写真の枚数が多いほど滑らかに動きますが、制作に時間は掛かります。
TVアニメとジブリやディズニーのアニメ映画ではそのコマ数が異なります。

遠くから徐々に近づいて行く場面では、絵を固定したままカメラを動かして撮影しますが。
背景に月があった場合、背景が大きくなる(近づく)につれて、月も大きくなってしまいます。
その欠点を克服するために、カメラを固定してセル画を動かせるようにしたそうです。

『 バンビ 』 のアニメを作る際には、スタジオで鹿を飼って、いつでもスケッチできるようにしたのだとか。

ディズニーと言えば、第二次世界大戦時に制作され、莫大な利益を出したという戦意高揚作品があるそうなので見てみたいです。
……永久に公開されないどころか、映像すら処分されていそうですけれども……。

コンセプトボードが色々出ていましたが、『 白雪姫 』 だったかな?決定稿と全く違う印象のキャラクターがいて驚きました。
『 不思議の国のアリス 』 はいまいちでしたが……。(原作が好きなのに)

『 美女と野獣 』 はアニメ版を見ないまま実写版を見たのですが。
参考リンク:『 美女と野獣 』 を見に行きました(当ブログ内記事)
アニメ版は、見せ場のダンスシーンの背景に使われたCGが新しい技術らしいです。
和美はアニメ絵に露骨なCGを使われるのがディズニーでなくとも大嫌いなので、アニメ版を見なくて良かったと改めて思いました。

大人気作品でディズニーのタイトルバックにも使われている 『 シンデレラ 』 がなかったのは、特筆すべき新技術がなかったからなのでしょうか……。
実写とアニメが融合した傑作として知られる 『 メリーポピンズ 』 もなくて不思議です。

ロゴマークにいる処女作の電気スタンドが有名な3DCGのピクサーは、ディズニーが買収してディズニー傘下になっているのですが。
買収前の 『 トイ•ストーリー 』 はなく、買収後の 『 アナと雪の女王 』 と 『 ベイマックス 』 はありました。
合作はピクサー単独で特別展を開催した時に取り上げられるのでしょうか。
追記:後日、大丸心斎橋店でピクサーとディズニーの特別展が開催されましたが、入場整理券が三時間後の午後七時だったので断念しました。

……『 ベイマックス 』 と 『 アナと雪の女王 』 は映画を見てみたいです。
ありのーままでー♪

今回はアニメが多かったので、今度は実写に照準を当ててみてほしいです。
というか、アニメと実写を完全に分割して特別展を組んでほしかったです。
両方とも取り上げた結果、両方とも中途半端になってしまったように感じました。

嫌いなので全く見ませんでしたが、手塚治虫先生の 『 ジャングル大帝 』 の剽窃 として有名な 『 ライオンキング 』 の脚本を書いた人って誰なのでしょうか。
剽窃繋がりで、ウォルト•ディズニー生誕100周年記念作の 『 アトランティス 〜 失われた帝国 〜 』 もありませんでしたが。
こちらはGAINAX作 『 ふしぎの海のナディア 』 です。

3.ミュージアムショップ

和美がミュージアムショップに着く直前に図録が完売してしまったようでショックだったのですが。
巡回中の他の美術館で図録が販売されているようなので、取り寄せようと考え中です。
追記:問い合わせたところ、発送不能と言われました。意味分からん。

更に追記:メルカリでほぼ未使用の美品を無事に購入しました!

ミュージアムショップは絵葉書の数が多く、ショップ入場列が分かれていました。
和美は面倒なので横から掠め取って買いましたが。笑

会場に写真撮影場所がありました。
Instagramが流行している影響か、専用の場所があると記念写真が撮れて良いですね。

こちらは美術館鑑賞記事です。

静岡市美術館に、白隠展を見に行きました。
こんにちは、和美です。

【目次】
  1. 初めに
  2. 到着まで
  3. 感想
  4. 今後の予定
  5. 売店と喫茶店
  6. 帰り

1.初めに

静岡市美術館で、「白隠はくいん禅師 二百五十年遠諱おんき記念展 〜 駿河の白隠さん 〜」 を見てきました。

白隠とは、正式名白隠はくいん慧鶴えかく
禅宗の一派である臨済宗、中興の祖です。
なので、お坊さん兼画家です。

禅宗では 「 禅宗の教えを広める 」 目的で、仏教全般や宗派の話(説話)を元にした絵や書が描かれてきました。
宗派の中でも位の高い僧が、当代の専業画家に引けを取らない素晴らしい絵を描いた、というのは世界でも珍しいそうです。
( どこかの特別展の解説より )

日本にある世界遺産は宗教的な物が多く、その宗教も多岐に渡るという話を思い出しますね。
( 海外だと一宗教に偏りますが、日本は仏教、神道の両方があります。キリスト教は申請中 )

かれこれ五年近く前に東京の特別展を諦めてから、白隠の絵がどうしても見たかったので、新幹線日帰りの強行軍です。

2.到着まで

朝寝坊した上、財布の中身が猛吹雪。
お金を下ろそうにも、通帳もカードも見当たらない、という状況でしたが、部屋に置いていたお金で何とか行けました。

こだましか停まらない静岡駅までだと、さすがに金券ショップには新幹線の切符がありませんね……。

経路は近鉄奈良ー大和西大寺ー京都ー名古屋ー静岡です。

京都駅では、取った指定席より一本前の新幹線に乗ろうとしてしまったり。
途中で浜松駅を通過するので、聖地:YAMAHA本社が見えるかなと期待したのですが……方角は正しいはずなのに割と遠いためか建物に阻まれて見当たらず。
代わりに、磐田いわた市にあるYAMAHA発動機の本社らしき建物が見えました。
ボーカロイド事業部がある聖地:YAMAHA静岡支社はGoogleマップに載っておらず、場所が不明なので探せませんでした。

そんな事もありましたが、静岡駅からはほぼ迷わずに到着しました。
乗り換え検索の目的地を、最寄り駅の静岡駅ではなく静岡市美術館に設定したため、最寄り出口が表示されたのが要因かと思います。

松坂屋静岡店に掲げられた幟に従って地下へ降りると、細かく案内表示がされていて好感が持てました。
途中で案内表示が途切れる施設を頻繁に見かけます……。


静岡市美術館は葵タワーの三階。
閉館が決まってしまった、名古屋ボストン美術館を想起させる立地ですね。
開館当時からの場所とは思えないので、途中で移転したのでしょうか。
富士山を意匠したロゴマークを含め、全体的にスタイリッシュなデザインです。

3.感想

中身は……途中で池 大雅が好みだなぁという酷い結論に達しそうになって少し残念でした。
前半部分にあまり好みの絵がなかったのですが、池大雅ら白隠を支えた周囲の人間を挟んで、後半部分は軽くて可愛い絵が多くて良かったです。

七福神の一人、布袋が特に可愛かったのですが 「 施しを受けて過ごし、貰った物は背負った袋に入れていた 」 という説明が……。
富貴繁栄を司るとして七福神に列せられている伝説の名僧だそうですが、あまり崇拝される対象ではないような?と考えてしまいました。

禅宗の開祖でもある達磨が白隠の代表作ですが、和美は穏やかな雰囲気の蓮座菩薩図が好みでした。
禅画という特性から同じ主題の絵が数多く残るのですが、下山釈迦図はもじゃもじゃの胸毛や髪の毛の表現が微妙でした……。

書(墨跡とも呼ぶ)は……全く分かりません。
名前だけで中国の書聖:おう羲之ぎしが好きですが……狂草体なんて初めて聞きました。
検索したところ、王羲之を学んだ後に形式的でない自由な書を求めて作られた字体のようです。
杜甫が好きだったのだとか。

特別展の外で、白隠の生涯をざっくり紹介する映像が流れていました。
白隠が住職を務めたお寺の現住職さんが「 白隠さん 」 と呼んでいて違和感を覚えました……。
和美は別宗派(浄土真宗本願寺派)のお寺出身ですが、中興の祖を「さん」付けで呼んだ事がありません。
まあ浄土真宗本願寺派の中興の祖:蓮如れんにょ上人しょうにんは本山の門主(同じ宗派のお寺を統括するお寺の代表)なので、白隠禅師とは少し立場が違うかもしれませんが……。
あと、白隠が住職を勤めたというお寺がコンクリート製になっていて驚きました。
檀家さん達から反対の声はなかったのでしょうか。

そんなところかなー。

4.売店と喫茶店

売店では……特別展限定の絵葉書が全くありませんでした。
過去記事で何度か書いた 『 ポスカホリック 』 という美術館の観覧記録に使うため、気に入った作品の絵葉書を一枚買うようにしていたのですが……。
特別展のチラシを切り取って使うしかないかなぁ。
参考記事:ポスカホリックを買いました(当ブログ内記事)


喫茶店で紅茶を頼んでおやつにしました。
静岡県産の紅茶でファーストフラッシュと書かれていたのは覚えているのですが……何だったかな。
新幹線の中で摘もうと思って持参したかりんとうが、良いお茶請けになりました。

5.今後の予定

静岡県内にある「佐野美術館」という別の美術館で、五月末から別の白隠展が開催されるそうなのですが、行こうかどうか悩んでいます……。
時間があったら、YAMAHA本社付近に完成する予定の企業博物館と併せて行きたいのですけれども。

6.帰宅

余裕があったら静岡県内限定で展開するハンバーグレストラン:さわやかを食べてみたかったのですが……。
時間もお金もないので、諦めて帰りました。
この日は部屋の中で通帳を紛失したのでギリギリの金額しか持っていなかったのです。

節約のため、名古屋駅から近鉄特急を使おうかと思っていたのですが……到着予定が十一時過ぎと出たので心が折られました。

交通系ICカードは全国共通なのに、ICOCAではJR東海の新幹線には乗れないようで意味不明です。

乗り換えの名古屋でみそかつえびヒレ重を買って終わりです。


往路と同じく充電コンセント目当てで一番前の席を選んだのですが、往路で充電が終わっていたので、復路は窓際を選べば良かったと後悔しました……。
YAMAHA発動機本社をもう一度見たかったです。
彫刻家のアルベルト・ジャコメッティの特別展を見に、愛知県にある豊田市立美術館に行きました。



こちらは美術館の鑑賞記事です。
記憶を頼りに書いていたら、驚くほど長くなりました。
和美です。

【目次】

  1. 事前の話と到着までのあれこれ
  2. 特別展:彫刻
  3. 特別展:美術館エントランス
  4. 特別展:哲学者
  5. 特別展:絵
  6. 別館
  7. 外側
  8. 常設展
  9. 売店
  10. 帰り

事前の話と到着までのあれこれ

知った時は東京会場で開催中だったので、当時開催中だったアルチンボルド展と一緒に行こうかと思っていたのですが……検索したところ巡回展を見つけたので、アルチンボルドは切り捨てました。
興味はあるのですけれどね……。

東京は夜行バスか新幹線しか選択肢がありませんが、愛知県だと近鉄特急が使えるので当日思い立ったら行ける場所なのです。一応。
(新幹線より一時間遅いですが、半額以下です)

近鉄特急より高速バスの方が安いと気づいたので当日券を取ろうとしたのですが……。
乗りたい時間の乗車券が完売してしまったので、諦めて新幹線にしました。

名古屋駅から……乗り間違いと乗り過ごしを重ねて、結局倍以上の運賃と時間が掛かってしまいました。
検索のためにも携帯の充電大事。
次のバス取った方が絶対早かった。

豊田市美術館は、数年前にフランシスコ・ベーコンという画家を目当てに行った事があるのですが、場所は記憶の彼方です。
駅からバスに乗る予定が、案内板に誘導されるまま、結局徒歩で到着しました。


特別展:彫刻

本題、ジャコメッティ展。
……不思議な考え方をする人だなぁ。というのが最初の感想です。

対象の物と自分の間に距離があるため、対象の物を実物大に描けない。という事に生涯悩んだようです。
実物大に描けないため、距離を把握しながら作ると形が小さくなり過ぎて、制作途中で壊れてしまうほどだとか。
仕方なく自分で【彫刻は1m以上】と制限を設けて制作を再開した辺り、そこまで小さくなってしまうものなのかと不思議でした。

ジャコメッティは、大阪市立近代美術館準備室が所蔵する《鼻》を繰り返し鑑賞したため覚えたのですが。
(今回も出展されていました)
ジャコメッティの中では例外的な作品に当たるようです。
冬休み中に何度もデッサンした事がきっかけで頭蓋骨に執着を抱いていたそうなので、その影響なのかな。
『執着していた』という説明文の割には、頭蓋骨に取材した作品が他に全く見当たらなくて謎でした。

《鼻》もそうですが、ブロンズ製の割にものすごく「作った跡」というか、制作の行程が見えるような表面が気になっていました。
ブロンズ像は、型に溶かした金属を流し込んで作るはずなので、作った跡はあまり残らないと思うのです。

アトリエで実際に制作の行程を見た美術評論家によると。
粘土で形を作る→気に入った形ができたら石膏型を取る→粘土はまた形を変える→気に入った形ができたら石膏型を取る
と、同じ粘土で何度も形を変えて作っていたそうです。
現在残っているブロンズ像は、石膏型から鋳造しているそう。
元の粘土の時の形が残っているのですね。

ちなみに石膏型を取ってブロンズ像を鋳造するのは弟の仕事だったそうです。
こちらも鋳造家として長く活動したそうなので、一度見てみたいものです。

代表作らしい《アヴィニョンの女たち》はその方法で作られた九体の女性像です。
……制作方法から見ると、この九人は姉妹かクローンになるのでは……。
と現代科学的な反応をしてしまいました。

特別展:美術館エントランス用

写真撮影可能コーナーがありました。
美術館のエントランスを飾るために制作された、馬、猫、犬、人があり、そのうち馬は鋳造されなかったため、馬以外の作品が残っています。
……石膏型を残すのは難しいのでしょうか。

猫は同じアパートに住む弟が飼っていて、猫が毎朝ジャコメッティに顔を近づけて起こしに来るから、猫の顔しか作れないという謎の解説があり、顔以外は棒のような骨組みだけでした。
ダックスフンドのような犬は、細いながら猫よりはまともな太さがあったのですが、モデルは不明との事。

特別展:哲学者

ジャコメッティを日本に紹介した哲学者は、ジャコメッティとも仲が良かったそうで、一章を割いて交流の紹介がありました。
長時間同じポーズを取らせるため、ジャコメッティのモデルは家族、友人などごく親しい関係に限られていたとは他の章の解説にありましたが、連続で七十二日間だったそうです……。

ジャコメッティも何度も来て欲しいと頼んでおり、哲学者も要望に応えて幾度か渡欧しているのですが。
最後の二年間はジャコメッティの希望にも関わらず全く行かなかったそうで、二人の間に何があったのか気になります。

特別展:絵

セザンヌの静物画との比較もありました。
ジャコメッティが憧れていたそうで、二人ともりんごをよく描き、モデルを長時間拘束するという共通点があるそう。
……セザンヌって人物画も描いていたのですね……。
なぜか静物画以外見た事がないのに気がつきました。
よく思い出すと、大阪市立近代美術館準備室と損保ジャパン日本興亜東郷青児記念美術館(現名称)の合計二作品しか記憶にないのかな……?

最終章は絵。
早く描けるから、とエッチング用の鉛筆を愛用していたようで、すごく惹かれました。
『永遠のパリ』という題名で、大判の画集を出版する計画があったそうです。
(発売はジャコメッティの死後)

特別展はそんなところかなー。
別館で他の人の特別展が開催されていました。

別館

別館は漆工芸家であった高橋 節郎の作品だけを展示する場所でした。
正直一番良かったのは、数点あった普通の絵と、入口にあった彫刻でした。
漆工芸家……というより蒔絵が目立ちます。
技術は素晴らしいのですが、センスも画力も和美とは合いませんでした。
モチーフが簡略化された鹿、土偶、ぐらいしかなく、数と配置が違うだけの作品が多いという……。

ピアノ、フルートを装飾した作品もありましたが、演奏されない楽器の意義って何なんでしょう。

途中にあった作品に、『豊田市美術館を開館させるため、この地にあった小学校が移転した』という説明がありました。
坂の上に美術館があるので小学生は不便だったのかな、とも思いますが……市立美術館を開館させるためって……と市政に疑問符です。

外側

別館に行く途中に広がる、道からの美術館が絶景です。

という事でついでに外の展示作品も。
毛糸玉という作品がなかなかに特徴的でしたが、その次にヘンリー・ムーアがいたので記憶が飛びました。
父が好きな彫刻家です。

又日亭ゆうじつていという古い建物もありましたが……中が見られないので、何がすごいのかは理解不能。

近くの丘に石碑もありましたが、説明文がないので全く文字も内容も読み取れず断念しました。

もう少し先にも石碑があるようですが、時間もあるので諦めました。
又日亭ゆうじつていから戻る時、噴水のある池を手前に、後ろの美術館が夕陽に照らされてすごく綺麗でした。

谷口吉生という全く知らない建築家の設計ですが、角度は計算されていたのかな……と思います。


常設展

記憶が既に怪しいのですが、姫路市立美術館で特別展が開催される予定の刺繍作家の方の作品が本館で常設展示されていました。
ほのぼのしていて、見ると穏やかな気持ちになりますが、お金を払って姫路市(すごく遠い)まで見に行く程ではないなぁ、という感想です。

あと、どこかの施設の障害者アートもありました。
うまくまとめてある作品もありましたが、やっぱりサヴァン症候群みたいなのって少ないのですね……。(当たり前)
芸術の専門指導を受けていない人の作品:アールブリュットが多分苦手です。

他にも普通の常設展があったのですが、記憶が……㍍⊃

売店

売店では、なぜかテンポドロップを見つけたので衝動買いしました。
もちろん図録も買ったのですごく重かったです……。
謎のクッキーが値下げと書かれていたので欲しかったのですが、売り切れてしまっていました。

テンポドロップは説明が長いので記事を分けます。
テンポドロップを買いました

帰り

行きとは違って迷いませんでしたが、人身事故に巻き込まれて乗った電車が発車しなかったので、変な経路で帰りました……。

たまには美術館以外の美術の話です。

今月中旬に終わる特別展が多過ぎて何軒か逃しそうです。
こんにちは、和美です。
先日、法事で父と会った時の美術の話から、つらつらと現代アート系な話をお送りします。

【目次】

  1. サルバドール•ダリの評価
  2. ダリという芸術家
  3. 例えば。
  4. 話は飛んで

サルバドール•ダリの評価

父が、洋画家:サルバドール•ダリの事を、「ダリは天才だと思っていたけど、天才を演じているだけの秀才でがっかりした」と評していました。
父が好きな同年代の画家:パブロ•ピカソやファン・ゴッホと比べてしまったのでしょうか。

和美は、過去に行ったダリの特別展で、本人が全面的に関わって生前に建てられた『ダリ劇場美術館』の複製展示を見た事があるので、ダリは「ダリという役者」を演じている人という認識でした。

ダリという芸術家

少し考えると、和美が思う『サルバドール•ダリ』という芸術家は、「メディアにどう見られるか、どんな報道をされるか」を考えて『芸術家』という人格を演出している人だという認識です。

和美が一番好きなアンディ•ウォーホルや、マルセル•デュシャン、現代では草間彌生やよいという現代アートの旗手達に連なる系譜の先駆けです。

残念ながら実物は見た事ありませんが、ニキ・ド・サンファルも現代アートっぽいようです。
三年程前に東京で開催していた特別展には行けなかったのですが、ポスターがそんな雰囲気でした。
小学校の図工の教科書に載っていた彫刻?しか知らないのですけれども。
大阪にある国立国際美術館が作品を所蔵しているようなので是非とも展示して頂きたいです。

例えば。

パブロ•ピカソやファン•ゴッホら、破天荒な天才はもっと破天荒ですが、見た目でも分かりそうなものだと思います。
日本人だと佐伯祐三が該当しますね。
岡本太郎は計算している気がしますが……。
小説家であれば芥川龍之介ら明治大正時代の一部文豪が、ゴッホと同じくらい破天荒というか破滅的な生き方ですね。

話は飛んで

話は逸れますが、アンディ•ウォーホルの代表作がきっかけで、部屋に飾るためにキャンベルスープ缶が欲しいです。
探したところトマト缶は見当たらず、他の味は写真が入っているのですが、ウォーホルの作品に使われた文字だけのデザインの缶は今も売っているのでしょうか。
この記事は、美術鑑賞の感想です。

11/4土曜日、あべのハルカス美術館で開催されていた「北斎」展を見に行きました。
今更な記事ですね。
こんにちは。和美です。




目次

  1. 初めに

  2. 北斎展……その前に

  3. 本題:北斎展

  4. 終わり



初めに


普段、美術館へは一人で見に行っているのですが、今回の北斎展は、とあるSNSで知り合った方と一緒です。
朝に着いて、天王寺公園内にある大阪市立美術館で開催中のディズニーアート展にも行こうと思っていたのですが……。
家を出るのが遅くなったため断念。
お昼ご飯を軽く食べて合流となりました。
(ディズニーアート展は、結局年が変わった一月の最終日に行きました……。図録完売)

北斎展……その前に


北斎展は……大混雑でした。
あべのハルカス美術館には年二、三回は行っている和美ですが、入場時間を指定した整理券を配布しているのは初めて経験しました……。
入場券を買う時に貯められる来館スタンプを目当てに当日券が欲しかったのですが、それを断念する程の行列。
ご一緒した方がオンラインで買うというので便乗させて頂きました。
……近くのチケットショップに行ったら安かったかなぁ……。

無事に整理券は取れたものの、入場時間まで一時間程空いてしまったのでお茶にしました……。


北斎展


中もかなりの混雑。
作品が展示してあるガラスまで近づけず、単眼鏡で人の頭の隙間から見ていました。

北斎展は何度も行っているのですが、未だに初めて目にする絵が多くて驚きます。


『駿雨』など、浮世絵の技法で描かれているのに洋画のような陰影をつけた作品群があり……不思議な気分に陥りました。
線画は普通の浮世絵なのに、色だけ立体的。

花の絵が続くと、サイトで勝手にシリーズ化していた植物の絵を描きたくなります。
(農業高校出身なので、植物を描くのが好きです)

『詩哥写真鏡』は中国と日本の有名な詩歌を元に絵画化したもの。
李白も杜甫も覚えていますが、作品は各一編ずつしか覚えていないので何の作品かは全く分からず……。
北斎はその教養があったという事なのでしょうね。
とか思っていたのですが、作中に安倍仲麿あべのなかまろによる『天の原 ふりさけみれば春日なる 三笠の山に いでし月かも』がありました。
百人一首にも採用されている有名な歌ですが、絵を見ても分からないのでやっぱり絵と詩を一致させるには難易度が高いと思います。

次は『百人一首乳母がとき』
北斎は気合いを入れて描いたようですが、当初の版元が破産、引き継いだ次の版元も途中で刊行を断念しているそうで……。
結局下絵も含めて六割が残っているだけだそうです。
図録を見ても特記がありませんが、富嶽三十六景と同じく北斎が愛用したベロ藍(ペルシャン・ブルー)でしょうか。

『北斎漫画』……一般書店で発売されている小冊子が欲しくなりますね。
三冊セット、手のひらに載りそうな程小さい版型なので、さすがに買っていないのですが……。
A4辺りで見つけたら欲しいです。
肉筆画帖も企画があったそうで、こちらも一般販売されないかなぁ。
線画の練習には不向きなので買わないと思いますが。

色と彩色の方法について述べた『画本彩色通』もあるので欲しいなぁ。
……こちらは翻訳が必須ですけれども。
……いや彩色に関しては日本画の人以外はあまり不要かもしれませんが。

人物画では北斎を上回る才能を発揮したという娘、応為の作品もありました。
『吉原格子先之図』光と陰の対比が素晴らしいですね。

最晩年に描いたという、雪が降る中を駆けて行く虎が可愛かったです。九十歳と長寿でしたが、解説を読んでいると、まだまだ生きたかったんだろうなと思います。
しかし死亡通知の手紙が残っているというのもすごい話ですね……。

終わり


ご一緒した方はこの後の予定があるため、先に帰られてしまいました。

会場のあべのハルカス美術館で次に予定されている特別展は『ジブリの立体建造物』なので、また混雑するのかなぁ……。
(前売券を買いました!)
十月から始まった三館連携の木島櫻谷 生誕百四十周年 記念特別展に、最終日になってから行きました……。



目次
  1. はじめに
  2. 京都文化博物館
  3. 泉屋博古館
  4. 木島 櫻谷 旧邸

はじめに

木島このしま 櫻谷おうこくとは誰ぞや、という話から。

日本画家です。
京都の写実主義である円山四条派の今尾 景年の元で学び、文展(現:日展)で活躍しました。
当時は竹内たけうち 栖鳳せいほうと並び称された腕だったとか。
京都の美術学校の教師を引退してからは隠遁生活を送り、最期は電車による事故死という経歴からか、画壇から完全に忘れ去られてしまっていた様子……。

狸と虎を特に好んで描いていましたが、動物全般が綺麗でした。

京都文化博物館

最初に行ったのは、京都文化博物館。
特別展『画家のたくらみ 絵画の愉しみ』展と同時に、常設展で『木島櫻谷の世界』を開催していました。

孔雀の絵が綺麗だった思い出。
※記事を書こうと思ってまだ書いていないシリーズ。(他にもあるのか)

……ちなみにこの京都文化博物館だけ開催期間が長かったので、他を先に行くべきでした……。
京都文化博物館の最寄り駅が乗り換えなので、少しだけ他の二軒より近いのです。

泉屋博古館


今年二度目。
前回行った時の告知で、今回の三館連携特別展を知りました。多分。

通し前売り券を買い損ねたのが悔やまれます。

三館中で一応ここが最も大きな会場です。
……一階しかありませんけれども。

とりあえず感想。
水を飲む虎が!可愛い!
ライオンは頭が大きいような……。
カラスはもう少し黒い方が好みです。
狸が可愛い。

元は掛け軸に描かれていたのに、軸装も剥がされて、丸めて旧邸に保存されていた行方不明の作品が見つかったそうで。
TV番組で修復の様子が放送されていたらしく……人が多くてげんなりしました。
TV番組を見て特別展に来る連中と、混雑した美術館が大嫌いです。
別の理由もあって、可能な限りTV放送局は後援に入らないでほしいです。

ほとんど大きな絵ばかりで、そのほとんど全てに動物がいる、というのも珍しい気がします。
……一枚だけ、琳派かと思うような金地に菖蒲と竹の屏風絵があったのですが……はっきりと分かるような櫻谷の癖がなくてがっかりしました。
東京にある、泉屋博古館 分館で開催された特別展には、金地に桜の屏風絵が出展されたようなので、他にもあるのかもしれません。
『櫻谷』という名前なので、桜が好きなのかなとも思いますしね……。

円山四条派に、付立つけだてと呼ばれる、輪郭線を引かず筆の腹だけで面を表す技法があるそうです。
櫻谷はそれを二十代で使いこなしていたとか、三十歳になる前には既に画塾を主宰していたとか、芽が出るのも早かったようです。

猫が不細工で残念に感じたのですが。
櫻谷の絵に出て来る猫は全てハチワレの細面、下絵帳には同じ模様で幼い猫の絵もある事から「おそらく櫻谷の飼い猫」と解説にありました。
写真はなかったのですが、モデルになった猫が本当にこんな顔だったんだろうなと推測する他ありません。

代表作は≪寒月≫
月が煌々と照る夜、雪の積もった林の中を狐が一匹歩いている、という作品です。
狐の眼光が鋭く、どんな絵なんだろうと思いました。

一番可愛かったのは≪月下遊狸≫
縦長の掛け軸で、月の出る夜、草むらから狸がひょっこり顔を出した絵です。
京都の端(旧邸がある場所)に引っ越した頃から絵に狸が多く描かれるようになり、本当に庭先に狸が出ていたのでは、と推測されているそうです。

木島 櫻谷 旧邸


全く場所が分からなかったので、こちらを先に行くべきでした……。
地図を見ても、検索しても、場所がよく分からず。
諦めてタクシーを使ったのですが……往復の交通費+特急料金代ほど掛かってしまいました。
検索結果ではバスを二路線乗り継ぐ必要があると出たのですが、地下鉄の駅から徒歩でもなんとか着けそうな場所でした。
京都の路線バスは常に混雑しているのであまり乗りたくありません。
時間があったら、泉屋博古館の最寄り駅である地下鉄東山駅に、行きたいお店があったのですが。

改めて旧邸の話。
文展(現:日展)で一度特賞を受賞すると、家が一軒建つほどの収入が得られたそうで。
三度特賞を受賞した櫻谷の旧邸は、母屋、別館(洋館)、画室(離れ)と三棟あり、更に現在はテニスコートになっている場所には元々池があり、まだ畑もあり。
ものすごく広かったです。
櫻谷が引っ越してくる前は竹藪だったので土地代は安かったものの、建築は当時一級の棟梁が手掛けたそうです。

母屋

まずは母屋から。
こちらで虎の下絵が限定公開されているのが今回の見所だったのですが、それ以外にも随所に小品が飾られていました。

櫻谷直筆の打掛も飾られており、櫻谷の玄孫が結婚式の時に実際に着用した時の写真が載った雑誌『家庭画報』が展示されていました。
本文も読んでみたかったので、二〇一四年の六月号を探そうと思います。
ちなみに最初の回顧展が開かれた年だそうですが、全く情報が拾えていなかったようで残念です。

同じ部屋の押入れに画材があり、「別棟の画室から割と遠い母屋になぜ?」と不思議に思いました。

割ときつめの階段を上った二階は、本題:虎の下絵。
我が家もそうなのですが、昔の家の階段は割と段が高くて幅が狭いですね。
下絵と言いつつ70cm×50cm程の彩色ですが、本当に虎だけでした……。

十五枚程あったのですが、見た目の変化に乏しいので今ひとつでした。
他には、櫻谷が師の今尾 景年達と共に参加した、南禅寺の天井の龍の下絵も。
……今だったら誰に依頼するんでしょう……。

洋館

最初に勾配がきつい階段。
上がると廊下、そして部屋があり、部屋の中に大きな掛け軸の絵が展示されていました。
先に続く物置のような部屋の襖には、櫻谷が描いた蕨の絵が。
ちなみにこの洋館は、櫻谷が自分の絵を飾って眺めるために建てたんだそうです……。
不思議な人だ。

京都全域の美術館に対応するらしい、学芸員のような方から解説が聴けました。
作品集に写真が残っているものの、今どこにあるか分からない作品がある。
金銭面が厳しくて旧邸の中もまだ調べ切っていないため、紛失した、未発表などの作品がまだあるかもしれない。

……おい。
少なくとも櫻谷本人はかなりの高額を稼いでいますし、遺産とか……使い尽くしたのでしょうか……。

洋館には、「まぼろしの作品」として、過去の図録に載っているものの行方不明の作品が六枚ほど挙がっていたのですが……。
ボロボロになる前にとっとと調べ切ってくれませんかね。

画室


……の手前にあった教室(後年建てられたコンクリート製)の脇に、竹の花が咲いたのでついでに公開されていました。

竹の花は枯れる前兆なので良いものではないのですが……。
しかもイネ科なので全く花らしくないという。


改めて画室。
手前に生える楓の古木は、絵にも展示されていた絵にも描かれたとあったのですが……どの角度から見たら絵と一致するんですか。

画室は洋風小屋組キングポストトラス構造という方式で作られているとの説明があったのですが……屋根に隠れてトラスが見えません!
建築業なので見たかったです……。

住宅は好きですが、工場に使われるトラスって何の意味もなくて、制作の面倒臭さに殺意だけが湧きます。

以上です。
岡本神草の時代展に行きたかったのですが……京都近代美術館への行き方が理解できなくて諦めました。
※翌週の記事です。

美術感想の記事を探していると、こんなブログを見つけました。
僕がなるほど!と思った美術鑑賞のポイント

美術鑑賞に慣れた熟練者と初心者を比較して、特別展の見方、考え方の違いをまとめた記事です。
おそらく熟練者の側にいる和美からは、同意できる部分もあり、できない部分もあり。

知識がないけど行く(予定がある)方に、和美の視点から『こんな見方はどうですか』という提案です。

今回は事前情報編。
実例を交えて、特別展の題名だけで「どんな特別展か」が分かる方法を五種類に分けて解説します。

目次
  1. 題材一覧
  2. リアルの行方
  3. マティスとルオー
  4. バベルの塔/怖い絵
  5. ピーターラビット
  6. まとめ


特別展の題名には、凝縮された「こんな作品を集めましたよ」が現れています。
『リアルの行方』
『マティスとルオー』
『バベルの塔』『怖い絵』
『ピーターラビット』
全て、当ブログに感想記事がある特別展の題名です。
この五件の題名を元に、企画主旨を読み解いていきます。

まずは一件目。
リアル写実の行方』
写実の反対は幻想。
現実にある物を描いているのかな、と想像がつきます。
「こんな絵を集めました」ですね。
『バベルの塔』と同じ記事でまとめて感想を書いた『怖い絵』もこちらに当てはまります。

『マティスとルオー』
いずれも人名ですね。
人名がつく特別展は五種類あります。
  1. 画家の名前
  2. 収集家の名前
  3. 描かれた絵の人物
  4. 美術館の名前
  5. 派閥の名前
例に挙げた『マティスとルオー』の場合は1.画家の名前です。
友人であったマティスとルオー。
二人の絵と交流が取り上げられています。
2.収集家の名前:『松方コレクション』
3.描かれた絵の人物:『マリー・アントワネット』
4.美術館の名前:『ランス美術館』
5.派閥の名前:『円山四条派まるやましじょうは美の競演』(円山四条派の円山は"円山"応挙から始まりました)

チラシやネット、ポスターなど、調べた情報に絵があれば、必ずどこかに絵の情報が書いてあります。
題名、画家の名前は必須で、所蔵者、描いた年、油彩・版画などの表現方法が追加されている事が多いです。

『バベルの塔』
作品名にして、モチーフの名前です。

その民達は、名声を得るため、天まで届く程の高い塔を建てようとした。
神の怒りを買って塔は潰された。
同じ事ができないように、神が言葉を乱し、その民は別々の言語を使うようになった
という有名な伝承/神話を元にしています。
特別展の企画主旨で最も分かりやすい「この有名な絵を出展するから見てね!」です。

この主旨の特別展に同時出展される作品は、三種類あります。
  1. 同じ画家が描いた違う絵
  2. 違う画家が描いた同じ絵
  3. 同じ美術館が所蔵する他の作品
『バベルの塔』展の場合は、1.同じ画家が描いた違う絵です。

『ピーターラビット』
これまでに挙げた、特別展の題名のつけ方の二種類に当てはまる複合版です。
一つ目は「人名がつく特別展」のうちの『3.描かれた絵の人物』の派生。
二つ目は企画主旨「この有名な絵を出展するから見てね!」
絵の題名ではありませんが、ピーターラビットの絵は誰もが知っているでしょう。
副題が『ビアトリクス・ポター生誕150周年記念』なので、もちろん出展された絵は「同じ画家が描いた違う絵」です。

まとめ

特別展の題名は以下の四種類に分かれます。
  1. 同じ主旨の絵を集めました
  2. ある人をピックアップ
  3. この絵を見て!
  4. 複合型
電車の中吊りやTVの宣伝、新聞広告など、行けなくても特別展の題名を目にする機会は意外とあるものです。
今度特別展の広告を見かけたら、「どんな特別展なのかな?」と想像してみてくださいね。
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プロフィール
書いている人:七海 和美
紹介:
更新少な目なサイトの1コンテンツだったはずが、独立コンテンツに。
PV数より共感が欲しい。
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